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第七十二話 デート2

 スイーツをお互い交換しながら、そして、ネリアの口にスイーツを持っていって給餌する幸せと、真っ赤になるネリアを堪能した後、俺達は店を出る。



(さて、次は……)


「ネリア、次はどこに行きたい?」



 未だ、顔を赤くしているネリアに尋ねると、ネリアは慌てたように俺を見て、戸惑う。



「っ、えっ、えっと……」


「服飾店や宝石店もあるが、あそこには本屋もある」


「本……」


「何箇所かあるが、品揃えが豊富なおすすめの店もあるんだが、どうだろう?」


「……本屋さん、行きたい、です」



 真っ直ぐにネリアを見つめれば、ネリアはさらに顔を赤くしながら素直にうなずいてくれる。



(素直な言葉を聞きたい時は、見つめると良さそうだな)


「では、行こうか。ネリアは、どんなジャンルの本が好きなんだ?」


「好きな、本……っ!?」



 ただ、なぜか、好きな本を聞くと、ネリアはボフンと頭から湯気を出す。



「ネリア?」


「な、にゃんでも、ないですっ」



 何か不味かったかと焦って問えば、ネリアは噛みながらも必死に否定する。



(焦るようなジャンル……何か、マニアックな趣味でもある、とか?)



 そうは思えども、そもそもそんな本をネリアのところに持っていくはずはない。となれば、現状を連想させるもの。例えば……。



「ネリアは、恋愛ものとかは「冒険ものの本、とっても楽しみですね!!」……あぁ、そうだな」



 図星だったらしく、ネリアはその後、必死に冒険ものの小説の良さを力説し始める。



(恋愛小説か……なら、あの作家の作品辺りが良さそうだな。あぁ、もう一人、有名な作家も居るし、純愛の作品だったはずだし、あったら買っておこう)



 冒険ものの本も良いが、ネリアには是非とも、恋愛ものの作品を心行くまで読んでもらって、そこから様々な好みを分析しておきたい。そして、ネリアに喜んでもらいたい。

 それはただただ純粋な思いであって、けっして、下心はない……はずだ。



「ネリア、俺も本を選ぶから、よければ同じ本を読んでくれないか? 感想を共有できたら嬉しい」


「は、はい、もちろん良いですよ」



 言質をしっかりと取った俺は、早速とばかりに目当ての本を見つけるべく、ネリアと一緒に店内を歩く。もちろん、ネリアの興味が優先ではあるので、俺の買い物は片手間で済ませるように、店内の本のジャンルの位置関係はバッチリ頭に入れている。



「これ、最近有名な作家が書いた冒険譚なんだ。敵に囚われた家族を救い出すために旅をする少女の物語だったはずだ」



 当然、ネリアのためにおすすめできそうな本の知識もある。とはいえ、俺自身が読んだわけではないものの方が多いため、色々と調べた結果という形にはなるが。



「あぁ、こっちは、中々マニアックな作家だな。作家自身が鍛冶の知識に特化しているらしくてな、独特な表現とモノ作りの過程が緻密に描かれている。冒険ものとしても面白い作品が多くて、剣やら斧やらが擬人化したり、精霊が宿るなんて設定で、主人公を最強の地位にのし上げるというタイプの話が多いらしい」



 有名どころをいくつか紹介すると、ネリアは目を輝かせて、食い入るように様々な本へ目移りしている。



「今日は、二冊ずつ買って、また今度、ここに来よう」


「はい!」



 さりげなく次の約束を取りつけながら、俺は悩みに悩んで二冊を選ぶネリアを見つめ続けていた。

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