第二十六話 見えるネリア(ネリア視点)
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今回は、ようやく、ネリアちゃんが……。
それでは、どうぞ!
(ん……随分と、寝てしまった気がするけど……今、どのくらいの時間、かな?)
目が見えないと、こういう時が不便だと思いながら、無駄だと分かっていても、そっと目を開けて……。
「え……?」
薄暗くはあれど、何かが……いや、おそらくは家具の類が見える。そして、ここが、見たことのない部屋だということも、理解できた。
城に着いてから、私は、それまでの疲れが出たのか、いつの間にか眠ってしまったらしい。ただ、ゼス様が医者を呼ぶという話をしていたのは覚えているし、起きたら話をしようと言っていたのも覚えている。
「…………いたっ」
無意識に頬を抓った私は、その痛みに、これが現実なのだと理解した。そして……。
「……お医者様って、こんなに早く病状を回復させられましたっけ??」
私が知るお医者様は、問診をした後に、薬を処方する人、くらいの認識だ。当然、私自身がお医者様にかかった記憶はない。それでも、こんなに早く、目が見えるようになるというのは考えられなかった。
(まさか……私、案外長い間眠っていた、とか??)
目が見えない、という状態をどうやって治すのかは知らないが、治療によって眠り続けることになった、とかであれば、もしかしたら、あれからもう何日も経っているのかもしれない。
ひとまず、隣のサイドテーブルに置かれた水差しの水を少しだけ飲ませてもらった私は、つい、体をモゾモゾと動かして、どこにも異常がないかを確認する。
公爵家に居た頃は、色々と怪我をしていることが多くて、目が覚めていきなり動こうとすれば痛い思いをしていたのだ。そっと、小さく動いて、痛みがあれば、その痛みを覚悟するくらいの時間がほしいと、そんな習慣がついていた。
しかし、体の痛みといえば、ずっと馬車に乗っていたせいでお尻や腰が少し痛むくらいだった。
「……今は、夜になったばかり? それとも、明け方?」
今の薄暗さは、そのどちらかではないだろうかと推測して、私は窓の方へと歩いてみる。もしかしたら、外を見れば分かるかもしれない。そう思ったからだ。
「……うん、分からない」
結果として、私はそういう結論を出した。そっとカーテンの間から覗き込むものの、人気は全く感じられなかったのだ。
そうして、首をかしげていると、ふいに、ノックの音が響く。
「ネリアさん、入るよ」
ゼス様の声っ。
そう思った直後、扉が開いた。
さて、愛しのゼス様を見た、ネリアちゃんの反応やいかに!?
それでは、また!




