第二十三話 帰還するゼス(ゼス視点)
ブックマークや感想をありがとうございます。
眠くてちょっと寝ぼけかけてるかもしれませんが、とりあえず更新です。
それでは、どうぞ!
旅は、それなりに刺客と遭遇することはあれど、順調に進んだ。しかし、ネリアとの関係は、依然として進む様子はない。ネリアさん自身が、俺達を信じようとしないのもあるが、それはそもそも、俺達の行動がネリアさんの信頼を勝ち取るに足るものではなかったということでもあるのだろう。
「もうすぐ、城に着く。ネリアさん、長旅だったが、大丈夫か?」
「はい、何も、問題ありません」
ネリアさんは基本的に、俺達の言葉に否定を告げることはない。そして、だからこそ、俺は、その言葉を信用するわけにはいかなかった。
「失礼します。姫君」
旅を始めて二週間と五日。そして、四日前に、俺はやはり、同じような質問をして、大丈夫だと告げるネリアさんに安心していた。しかし、その時からすでに、ネリアさんは熱を出していたようで、その頬の赤さから熱に気づいた時には、ネリアさんは朦朧としていた。だから、アルマが居る時にはアルマが、居ない時には俺が、ネリアさんの体調を気遣って、実際にどこにも不調がないか確認している。
「熱は完全に引いています。ちゃんと、問題はなさそうですよ」
「そうか、良かった」
額に手を当てて確認するアルマに、戸惑った様子のネリアさん。熱が出ている時も、似たような反応だったが、やはり、こういう気遣いには慣れていないようだ。
(本当は、城に着くまでにネリアさんの心をある程度解きほぐしたいところだったが……)
ネリアさんとて、俺達の対応を嫌がっているわけではない、と思う。しかし、それでも、ネリアさんは頑ななまでに、自分の領域に俺達を入れようとはしない。何が、ネリアさんにそこまでさせるのか、それすらも分からないまま、とうとう今日、城に着く。
「こんにちは、マビア城へようこ……そ……? で、でででででっ「こんにちは、どうか、お静かに」は、はいっ」
御者として、アルスが馬を操っていたのだが、当然、アルスは変装している。ただ、予想外だったのは、ウォルフ王国の城の番人が透視の目を持っていたこと。時折、そういった特殊な能力を持つ者が生まれるこの国で、透視の目は確かに、門番や城の番人に重宝される力だ。ただ、温泉などとは縁がなくなってしまう能力でもあるが……。
馬車の中を検める際にだけ、カツラでも被るつもりだった俺は、王族特有の髪を見られたらしい。
アルスが、そっと彼に何事かを告げれば、彼は快く通行の許可を出す。アルスには、王家の側近としての紋章があるので、それを使ったのかもしれない。
そうして、俺達は無事、帰還を果たした。
さて、次回からお城で王位継承の争い(笑)
それでは、また!




