第十三話 安心のネリア(ネリア視点)
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さぁ、ネリアちゃんはゼスと歩み寄れるでしょうかね?
それでは、どうぞ!
休息が必要で、栄養が必要。そんなことを言われて、最後、眠ってしまったのは覚えている。そして、次にまた目が覚めて……私は、視力を失ってしまったということを自覚する。
(……ここ、どこなんだろう……?)
真っ暗な闇の中、何も見えないということの恐怖を、私はこの時になって、ようやく自覚していた。
「あっ、起きたか?」
そっと、気遣うようにかけられた声に、ビクッとしながらも、それが、眠る前にゼスという名前で自己紹介してくれた人なのだと気づく。
「わ、悪い。唐突過ぎたな。えっと、何か、飲むか? あっ、食べ物は、すぐに持ってこさせるからなっ」
前回よりも意識がハッキリしている私は、ちゃんと、これが現実だと自覚できている。どうやら私は、ないと思われていた外の国の王子に助けられたらしいということと、精神的な影響で目が見えなくなっているらしいということは分かっていた。
「水だが、今、口元に持っていくな。えっと、頭に触るぞ?」
コポコポと何かを注ぐ音の後に、そんな注意を受けて、そっと、後頭部に添えられる手を感じる。
「今、コップが口の前にあるから、唇に持っていくぞ」
丁寧に、私の目が見えないことを気遣って行われる看病。そっと唇に当たった冷たいガラスの感触は、そのまま、ひんやりと心地の良い水を流し込む。
「ん……」
「っ、今、声が! 良かった! ちゃんと、声が出るんだなっ!」
吐息とともに思わず漏れた声。たったそれだけなのに、ゼス……様は、大袈裟なくらいに喜ぶ。
「あぁ、良かった。本当に……」
と、いうか……。
「な……いて、る……?」
少し掠れてもいるし、声の出しづらさがないとは言えないものの、私は、嗚咽混じりの声にどうしても問いかけてしまう。この人が安全かなんて分からないのに。誰かに期待することも、未来に希望を持つことも、もう止めなければならないと思っていたのに、それでも、声を、出してしまう。
「え……? あ、あぁ、嬉しくて、な。姫が回復してくれたことが、ちゃんと、こうして、声を聞けることが」
ゼス様の姿は、全く分からない。それに、私から人に何かをするということは、今まで許されることではなかった。それなのに……。
「ひ、め……?」
「なか、ない、で……」
そっと、持ち上げた手は、暖かなものに触れる。感覚からすれば、きっと、ゼス様の頬に触れたのだろう。少ししっとりとしているのは、きっと、涙のせい。
「あぁ。大丈夫だ。……なぁ、姫? 姫の名前を、教えてくれないか……?」
そう問われて、私はそっと、自分の名前を告げた。
いやぁ、良かった良かった。
これでハッピー……エンドにはまだ早いですね(笑)
ネリアちゃんの祖国のことも、ネリアちゃんたちの今後も書かなきゃですからねっ。
むしろ、そこが結構メインですし?
それでは、また!




