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6.恨むなら俺(作者)じゃなく柏木を恨め…!(ネタバレ)

ここまでが序章って感じです。

遅くなりました。気長に待ってくれると嬉しいです。

 咲良はゆっくりと言葉をこぼしはじめた。

「私ね、お母さんについて行ってここから離れている中学校に入学したの…。」

 それは知っていた。県外の中学校に行ったはずだ。


「最初はね、きれいな髪ときれいな眼の色って言われていたんだ。」

 小学校を卒業し、琉人と離れた咲良が進学したのはいわゆるエスカレーター式の学校だった。やはり、綺麗なシルバーブロンドの髪は目立っており学校中の話題になっていた。

 咲良のシルバーブロンドの髪は、光に当たるとまるで本物の天使が降臨したかと錯覚するほど輝き、見た人を魅了するだろう。しかも、咲良自身の放つ優し気な雰囲気に加え、10人中9人は振り向くような美少女だ。注目を集めるなという方が無理な話だろう。


「みんなは小学校から一緒だったみたいだから、もうとっくにグループみたいなのができていたんだけど、柏木瑠璃ちゃんって子が中心に集まったグループに混ざれたし、順調だったんだ。」


「時々髪の色について聞かれたけれど、ちゃんとお母さんと同じ色だって説明もして、友達もいっぱいできた……と思っていたんだ…。」

 話をしている咲良は今にも泣きそうで…おもわず抱きしめてしまいそうになるような表情をしていた。


「運動祭っていう行事が7月にあってさ、私はクラスの中でもかなり足が速い方だったから、クラス代表リレーっていう競技に出たんだ。リレーで一位になれて、もっとクラスみんなが仲良くなれるかなって考えていたんだけど、午後の協議の前にアンカーをしていた人に付き合ってくださいって告白されちゃったの…。」


「ごめんなさいって断って、少し気まずい空気で過ごしていたから気づけなかったのかな…なんだかクラスの空気がおかしかったの…。」

 あまりにも辛そうだったから、軽く手を握ってしまった。しかしその手はわずかに震えていて、でも握ったことにより少しずつ収まってきていた。


「私は知らなかったんだけど、クラスの中で、この人はこの人が好きだから告白しちゃダメみたいな暗黙の了解があったみたいで、そのアンカーの子を好きだったのが……柏木瑠璃ちゃんだったの…。」


「次に学校に行ったらさ、最初何を言われているのか分からなかったんだけど、私が告白して振られたことになってた。いつもみたいにおはようって言ったら盗人とかドロボーとかって言われてね、告白されたのは私だって言っても信じてくれる人が居なくてね、友達だと思っていた人はみんな瑠璃ちゃんの味方になっちゃったの…。」


 柏木瑠璃は良くも悪くも影響力が高い人物であった。クラスの中心で活動し、周りからも頼りにされる人気の少女だった。その彼女が好きな人というのは周知の事実だった。瑠璃にとっては、咲良が告白した側でも、例え告白された側であったとしても邪魔になった…なってしまった。


「夏休みの直前だったから、夏休みが明けた頃には噂なんて収まるだろうって思っていたんだ。でも、夏休み中に何回断っても…付き合ってくれとか、最後には自分で流したくせに噂を何とかしてやるとか言われて…それなのにまた、夏休みが明けたら、私が諦められずに何回も告白した事になっててね。しかも、体を使って誘惑しようとしたとか身に覚えのないことばかりだった。そんなことするはずないのにね……。」


 徐々に言葉がおかしくなっていることに気づき、ふと咲良を見ると、目から涙が流れていた。それを見て俺は反射的に抱きしめて声をかけた。

「もういい…。もう分かったからあとは話さなくても大丈夫だ…。」


「あっ…。ううん、お願い。りゅうくんにだけ聞いてほしいの…。私の言葉を最後まで聞いてほしいの…お願い…このままで……。」

 辛そうで本当に見てられないが、話してしまった方がすっきりする事もあるのだろうか…。あぁ、もう———

「———本当に辛くなったらやめろよ…?」

「うん…。」

 深呼吸をして落ち着いた後、また続きをしゃべりだした。


「いっぱい悪口も言われて、大好きだった髪も眼の色も魔女みたいって馬鹿にされて……魔女狩りだとか言って消しゴムを取られたり、朝靴がなかったりいじめられた…。ひどいときは美術の時間に髪に絵の具をかけて浄化とか言われて…学校に行けなくなっちゃった。」

 その時期に咲良は自然に笑うということができなくなってしまっていた。


「学校に行こうとするとふるえて吐き気がするようになっちゃって…。そのせいでお母さんにばれちゃってまた転校したの……ウィッグを被った状態で。」

 髪を染めた経緯はそういうことだったんだな…。目立ったせいで人気になった。人気になったせいで告白され、狙われた。なら目立たなければいい。そう考えるのは当たり前だ。


「次の学校でも珍しい時期だったからっていっぱい質問とかされたんだけど、話そうとしても言葉が出てきてくれなくて…独りぼっちだった。人と関わりを作ることができなくなっていたんだと思う。どうせ友達になってもすぐ切られる。関わりを持ったら狙われるって…。」


「それでもね、ずっと話しかけてくれたり、学校に行っていなかったせいで分からない部分とかを教えてくれる子がいたの。ご飯を食べようとしても、帰るときも、いつも自分がつるんでいるメンバーを気にせずに話しかけてくるの。無表情だし私は全然しゃべらないのに。」


「だから思い切って聞いてみた。なんで無表情でしゃべらない私に関わろうとするの?って。そしたら、寂しそうな表情に見えたからって言われたの。一瞬何を言われたのか分からなくて…でもなぜだか、言われてから私は寂しかったのかなって思って…名前を聞いてみた。覚えてなかったの~?って少しすねたように言われたけれど教えてくれた。西宮楓です。って。」


 楓とであったのは中学だったのか…。一番落ち込んでいた時期の咲良を、流れでとはいえ元気づけてくれていたのか…。今度飯でもおごってやろう。


 私たちは、毎日少しずついろんな話をした。


「……どうして西宮さんはそんなに私にかまうの?」

「楓でいいよ。私も咲良って呼ぶから。…咲良を放っておけなかったからだよ。」


「…どうして楓さんはいつもそんなに笑顔でいられるの?」

「楽しいからだよ。楽しんでいるから。」


「どうやったら楓みたいに笑顔になれるの?」

「…とにかく笑うんだよ。苦笑いでもいい。愛想笑いでもいいから、とにかく笑う。そこから始めてみない?」

「あっ…。」


『まあ、なにか困ったらとりあえず笑っておけ?』


 その言葉を聞いて私の大好きな幼馴染を思い出して泣き出してしまった。

「えええぇぇ!!咲良!?どど、どうしたの!?」

 楓は突然泣き出してしまった私を見て珍しく焦っている。


「なんでもないの。ちょっと思い出したことがあって。」

「そう?…あ!今少し笑ってたよ!」

「そうかな?……ねぇ楓、聞いてくれる?私ね———」

———前の学校でいじめられたこと、本当は髪の色がシルバーブロンドだということ。そして私の大好きな幼馴染の琉人のこと、琉人を思い出して泣いてしまったことなどを話した。楓も泣きながら話を聞いてくれて、時間が来るまで抱き合っていた。


☆★☆


「そして、私はりゅうくんと離れてから初めて本当の友達を見つけたの。」

 咲良が不安そうな目で下から俺を見る。

「ねぇりゅうくん。私まだ怖いの。誰かがまた噂を流していじめられたりしないよね?髪とか眼の色とかで仲間外れにされたりしないよね…?私、何も悪いことしてないよね?……もう、一人にならなくてもいいんだよね…?」

 その言葉に、琉人ははっきりと断言する。

「大丈夫だ。俺がついている。」

「もしも、もしもそうなってもりゅうくんは私の味方でいてくれる…?」

「あたりまえだろ?学校中が敵になっても俺だけは咲良の味方であり続けるよ。」

 そういうと、咲良は小さく「良かった…。」と言って疲れて俺の腕の中で眠ってしまった。


 さっきまでの不安気な表情を感じさせない咲良の寝顔を見て、改めて咲良の自信と笑顔を取り戻す決意をした。


過去をさんざん引っ張る系は好きじゃないんですよね。「だって俺は…」とか、「どうせ昔みたいに…」とか、せめてその内容話せや!って思うんですよね。

ダンまちみたいに乗り越える系は好きというか大好物ですけどね?

散々引っ張った挙句にヒロインが肯定してくれて、はいおしまい!って今までそれだけ引きずっていたくせになんなん!?君の心は換気扇がついているの!?って思う気持ちわかりませんか?

だから過去にあったことなんかすぐに出しました。


あ、読んでくださりありがとうございます。

もう1つの作品もよろしくお願いします。

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