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15.ここはどこ?もしかして異世界?

「本当にどこに行くの?」

「ん?もうすぐ着くから楽しみにしてなって」

「…むぅ…」


 そんな可愛い表情…表情?をしても無駄だ。今日はインパクトを強めるために目的地をまだ伝えていないのだ。

 今向かっているのは秋葉原、そして目的地はメイド喫茶だ。今日は晃や楓は誘わずに咲良と俺の二人きりだ。まぁ、交通費と目的地を聞けば断られたとは思っているが…。

 まさか俺がメイド喫茶に行く日が来るとは思っていなかったがこれも全て目的地のコンセプトに惹かれたためだ。


「よし、付いたぞ!」

「…ここは?」

「外に出てみると分かるぞ。まぁ咲良は多分初めてくるんじゃないか?」

「えっと、りゅうくん…ここはどこ?もしかして異世界?」

「あほか!秋葉原だよここは!」

「え、でもメイドさんとか装備着けている人とか…あれ?普通のビルだ」


 装備を付けているようなコスプレをしている人がいたのは正直予想外だが、メイドはメイド喫茶の宣伝だろう。しかし、俺が向かおうとしているメイド喫茶はこの宣伝されているものではない。


「咲良、もう少し奥に行くぞ。あっちの方に目的地があるからな」

「え?はーい。…聞いたことはあったけれど秋葉原ってすごいんだね…」

「いや、今日が特別多いだけで普段はもっと普通の格好の人が多いはずだぞ」

「そうなんだ…でも、すごいなぁ…」


 この凄いという言葉にはどういう意味が含まれているのだろうか。咲良の視線の先にあるのは様々な色に染まった髪やコスプレのためにつけられたウィッグなど、そんな自由な色に対してまるで遠い何かを見るような眼を向けていた。


「よし!ここだ!」

「えっと、ここはコスプレ喫茶…?」

「そうそう。メイド喫茶のメイドさんの格好がコスプレなんだ。ま、今日の目的地はここだから嫌だと言っても連れていくぞ」

「ええ…行くよ!楽しそうだし…一人で行かせたくないし…」


 少しは渋ったようだがやはり好奇心が勝ったようで一緒に入ることを了承してくれた。こういうところは偏屈な人間じゃなければ大抵は楽しめるものだからな。

 中に入るとお馴染みの掛け声が響いてきた。


「おかえりなさいませ、ご主人様!こちらの席にどうぞ!」

「…わぁ…綺麗…」


 出迎えてくれたのは髪を水色に染めて白黒のメイド服を着た少女。確か、異世界に行った少年が死んでも過去に戻る能力によって運命を変えようとする作品に登場するメイドのキャラクターだったはずだ。この対応は主人公にデレた後か!?と思ったが、これはコスプレであり本物の登場人物ではないのだ。


 しかし、その完成度は俺の予想をはるかに上回っており、多分作品を知らない咲良ですらそのコスプレを見てうわごとのように綺麗と言っていた。


「りゅうくん…名前でメニューが分からないよ…」

「こういうのは大体担当の作品に出てくる食べ物の名前になっているんだが、ほら!こういうパフェとかケーキとかなら分かりやすいんじゃないか?」

「じゃあ私は少し怖い名前をしているけれどオムライスにする!」

「ご注文はお決まりでしょうか?」


 呼び鈴を鳴らすと、やってきたのは黄緑の髪にヘッドドレス付きのメイド服を着た少女。これはそもそもファンタジー作品であり、主人公が憧れの人を目指してダンジョンに潜るというかなり有名なアニメ化もされた作品のキャラクターだ。

 コスプレされているキャラクターはエルフであり、自分が認めた人としか接触しないという設定どおり手袋までつけていた。

 …っと、感動している場合じゃなくて注文しなければ。


「オレンとリガンの手作りミックスパフェと紅弾のオムライスをお願いします」

「かしこまりました。ただいまお持ちいたします」

「いやぁ…ここにいる人たちは、どんな髪色(・・・・・)でも似合っているよな」

「っ!…そう、だね!みんな堂々としているね…」


 少々露骨すぎたがこれでいい。咲良をここに連れてきた理由は簡単で、ここで働いているメイドさんたちの様々な髪色と、堂々とした自信にあふれた態度を見てほしかったからだ。咲良に足りないのは多分自信、否定されないだろうかという恐怖心に打ち勝つための自信だけが足りていないのだ。


「お待たせいたしました!オレンとリガンの手作りミックスパフェと紅弾のオムライスです!ごゆっくりお過ごしください!」

「オレンはオレンジでリガンはリンゴ…少し考えれば分かりそうだったね」

「ここに入ってきたときに迎えてくれた水色の髪のコスプレをした人がいただろ?オレンとかはそのコスプレの作品内での呼び方なんだよ」

「そうなんだ!あ、このオムライス一口食べる?」

「お、じゃあ貰おうかな?」

「はい、あーん」

「え、あ、あーん…う、うまいな…」


 正直あまり味を感じることができなかった。いつもは自分がされると慌てるくせに自然とあーんをしてきやがった。これはやられっぱなしで終わるわけにはいかないだろう。


「ほら、咲良もこのパフェ食べるだろ?あーん」

「え…ちょっと…うぅ…あ、あーん…」

「ふっ、どうだ?パフェの味は美味しいか?」

「わ、分からない…」

「不意打ちであーんはダメなんだぞ」

「うぅ…分かった…」


 この結果は痛み分けだろう。少し気まずい雰囲気になったが、食べ終わってからチェキを撮ったり会話を楽しんだりすることができた。会計は中々大きかったが、咲良の表情を、表情?を見るに今回の計画は大成功だろう。


こんな話の内容ですが、メイド喫茶には行ったことなどなく、猫カフェくらいしか経験がありません。すり寄ってくる猫様やツンデレな猫様など、メイド喫茶も猫カフェもあまり差はありませんよね(錯乱)

次の更新は未定ですが、題名だけ。『文化祭準備』


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