1.留学
こちらの作品は一人称となっています。
「やだぁ!行かないでよ!りゅうくん!!」
空港で、シルバーブロンドの美しい髪と碧眼を持つ、日本人離れをした母親譲りの、数年後には美人になるであろう少女、つい先日俺と一緒に小学校を卒業した幼馴染の東雲咲良が涙をこらえている。
「おいおい……泣くなよ。三年間留学するだけだ。ちゃんと帰ってくるぞ?……ったく、そんなんで中学やっていけんのかよ?」
「…………咲良は泣き虫だなぁ。いつも見せてくれるような花が咲くような笑顔で見送ってくれよ。」
「…………泣いてない……もん。」
いつものように、頭をなでながらからかってやると、目に涙を浮かべながらもぎこちない笑顔を浮かべた。
俺は、親父が咲良の母親から引き継いだ研究の為に母のいるイギリスへ行くため、3年間留学することになっていた。中学生で一人暮らしというという選択肢もあったが、高校生になって戻ってきてから一人暮らしをすることに話がまとまった。
咲良は、俺が勉強を教え続けた甲斐あって、県外の中学校に進学する。そんなことをしていると、いつの間にかフライトの時間が近づいてきた。
「じゃあ、行ってくるからな。落ち着いたら連絡するし、高校で再会しようぜ?」
「絶対だからね?りゅうくんが居ないのはさみしいけど……頑張るから……。戻ってきたら結婚しようね!!…………婚約の指切りして!!」
「またそんなこと言って……まあ、なにか困ったらとりあえずさ、笑っておけ?」
いつものように指切りしながら話を流しつつもう一度頭をなでた。そして俺こと工藤琉人はイギリスへと旅立った。
読んでくださりありがとうございます。幼馴染が負けフラグすぎて辛かったのでもう書いてしまおうかと思い、書き始めました。
ずっと想い続けていた幼馴染がぽっと出チョロインに負けるとか何なん?
さすがに短いので今日中にもう1話更新します。