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例えば凄い車なのにハンドルが無いみたいな?



「リリィ、大分と魔力の操作に馴れてきたわね」


「ありがとう……、リゼットさん」


今、私はリゼットさんと向かい合い手を繋いでお互いの魔力を送ったり受け取ったりしながら魔力譲渡の練習をしている。


「リリィの魔力は私が今まで出会った人達の中でも1番多いかもしれないわね、それにリリィの魔力譲渡はとても温かいわ……、魔力に癖が殆どないのかもね」


「魔力の……癖?」


「ええ……、魔力には人それぞれに癖があるのだけれど、その癖によって得意な属性の魔法や苦手または使えない属性の魔法が出てくるのよ、その癖があまりにも強い人は魔力譲渡をする相手も似たような魔力の癖を持っていないと殆どの魔力が身体に入らず外に漏れてしまうわ」


「……癖が……無い人は、どんな属性……が……使える……の?」


「癖が少なければ少ないほど使える属性が多くなっていくわ、言ってしまえば全く癖の無い魔力を持つ人は全ての属性の魔法を扱えてしまうわ」


「…………」


「リリィは……、残念だけど本当の名前がわからない限り、どの属性の魔法も使えないわ……」


「……うん」


「……でも安心して、魔力の癖が少ないほど魔力譲渡の際、誰に対してもスムーズに魔力を受け取って貰えるから、このまま送り方をマスターすればリリィは魔力譲渡の天才になれるわ!」


「……リゼットさん……ありがとう。」



…………………………



それは1週間前のこと。


私を狩りに同行させ、ゆくゆくはノエルとコンビを組むという話をしたところやっぱり待ったが掛かった。


「リリィ、貴女が凄い魔力を持っているから魔力譲渡が使えれば確かに役立つかもしれないわ……。

でもね、私はリリィに命懸けの仕事をさせたくないの。」


「それに魔力譲渡が出来てもリリィの身体では強くなる条件が厳し過ぎる。

冒険者や兵士などは仕事上危険が多いからお前のように五体満足ではなくなる事はよくある……しかしそうなった者は戦いの世界から引退するか、引退をしなくても高確率で命を落とす者が多い。」


やっぱり私には無理だったのか……。


「しかしだ……」


「……えっ?」


「狩りに同行はさせない代わりに、護身や魔力操作だけを教える事はできる。」


「あなた……」


「ノルベールさん、……良いの?」


「さっきも言ったように引退した者も居る、だがその後の職として魔力譲渡を専門とした奴も少ないが存在する。

魔法訓練で疲弊した者や、病院で治癒魔法を酷使した医者などに魔力を譲渡し、その回復量に応じて報酬を得るという具合にな」


「それじゃあ!、父さん…母さん」


「……もう、仕方ないわね」


「リゼットさん……ありがとう……」



そして、それからはリゼットさんからは魔力譲渡をノルベールさんからはもしもの時に備えた短剣や棍棒の片手で使える武器の扱い方を学ぶ事になった。



…………………………



入浴を終え、これから就寝しようとした時、私の部屋にノエルが入って来た。



「リリィ、母さんとの魔力操作の練習どうだった?」


「うん、……結構……上達したと……思うよ、リゼットさんの……補助が……なくても出来るように……なるのは……すぐ……だろうって」


「すげぇな、俺は剣の扱いのコツは結構早く掴んだけど、魔力操作が下手だから無駄に魔力を出すだけで威力がからっきしなんだ」


「私とノエルは……まるで、反対……だね」


「ははっ、そうかもな」



そんな会話から更に1年が経ち、

私とノエルは無事に8歳を迎えた。



私は、近い内に不幸な出来事が起きようとしているとは思いもしていなかった。

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