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ネカマ冒険伝説(仮)  作者: このみ
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【初の依頼】

「ペット探し」の依頼を受けた。


依頼者の家を訪ね、ペットの情報を尋ねる。

「シシィは黒猫なの。特徴は脚の先と尻尾の先が白くなってるから、見つけたらすぐわかる」

ヒロもカズもメイドさんに夢中のようだ。

リアルでメイドカフェとか行きそうな二次元大好き少年っぽいもんね。その二人をユリが睨みつけている。

ねえ、依頼の内容だけはちゃんと聞いてよね。


早速、依頼スタートだ。


「見つけた」

全員で猫を追うが、猫の方が速くて捕まらない。

黒猫は、コッチを見ている。

ユリ「ファイアーボールで仕留めちゃう?」

カズ「猫を傷つけたら、怒られちゃうよ」

いやいや、その前に街中で攻撃魔法はダメでしょ。一般人いるんだから。


マキ「私が路地を回って来るから、逃げられない様に挟み討ちにしましょう」

黒猫は両側から、挟まれても余裕綽々。私の頭の中に着地し逃げて行った。

「待て!」盗賊の意地にかけて捕まえてやる。

走った。走った。壁の上も屋根の上も。怖かったけど。

「ゼエハア・もう走れない」

『スタミナ+1up』

えっ ステータス上昇するんだ。

猫は頭の上で欠伸している。


私はナイフを出した。「へへへへ」

ヒロ「マキさん、壊れたぞ」

カズ「だから、猫傷つけちゃダメだって」

ユリ「ファイアーボール打っとく?」

軽々と逃げる黒猫。


「どうする?罠とか網とか用意する?」

「餌で釣るとか」

「あの猫性格悪そうだよね」

「兎に角、魚 買って来ましょう」

魚を持って黒猫を探す。


見つけた。黒猫が野犬に囲まれている。

私はダッシュして野犬の鼻頭を切る。生物を傷つけることには抵抗あったが、ライバルの黒猫を守る為だ。

驚いてる黒猫を抱きしめたら、背中から犬が遅いかかって来た。ユリのファイアーボールが炸裂。ヒロとカズが助けに入った。ヒロとカズの攻撃は当たらない。野生の動物は動きが素早い。ユリも魔法の照準を合わせられない様だ。

さっきの仕返しとばかり野犬がユリに襲いかかる。

私は左手で黒猫を抱いたまま、右で野犬を攻撃。勢いよく噛まれてた。激痛でナイフを落とす。噛み付いた犬にユリのファイアーボールが至近距離から当たり野犬を一匹倒す。痛みで踞る私に野犬が次々と襲いかかった。

「我を離せ。人間よ。お前は見所がある助けてあげよう」

「は?」

「年増の婚礼期を過ぎた女!お前に言っておる」

「このクソ猫か!」手が緩む。

「我を守る必要など無いものを。でも、お前の懐は心地良い」


黒猫が野犬の前に進む。

シャーって威嚇すると野犬の方がタジタジになり、逃げて行った。(訳わかんない)

私はそのまま、気を失ってしまった。


気づくとベッドの上だった。手当されてる。

「そこの男子2名。ここに正座!」

「あなた達、しっかりしなさい。死んだら生きて帰れないんだよ。もうゲームじゃなくリアルだって認識しなさい」

「すみません」「生る努力します」

「ユリ、あなたもココ!」

「街の中で魔法は、やめなさい。第三者を傷つけ、加害者になったら自分が傷つくから。仕方ない状況だった事は認めるわ」

「先生。ごめんなさい」えっと先生?

「そうだよな。俺らの身近な大人の人って親と先生くらい。その方が呼びやすいもんな」

「つい、口走ったけど、これから先生って呼ぶわ」

「まあいいけど、なんだかなぁ。野犬に負けて猫に助けられるって。あっ。私に酷い事言ったあのクソ猫どうした?」

「黒猫ならそこにいますよ」「へ?」


あの後の事の次第は、こうだ。

みんなが病院に向かうと黒猫も着いて来たとのこと。

その後も依頼主の家まで着いて来て報酬と私の治療費を受け取って帰ろうとしたら、黒猫はまだ着いて来た。

飼主さんが黒猫が気に入った様だから、しばらく連れてってくれとの事らしい。


「お金は、先生が預かってくださいね」


初めての依頼はこうしてクリア出来た。

なんともしょっぱい滑りだしだ。




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