リーダー決め
冒険に出るのは、まだまだ先です。
ユリは、マキなる人物を怪しいと勘ぐっていた。
ヒロ、カズは、ユリから見ればゲーム好きの子供といった感じで微笑ましくもある。悪い子じゃないみたいなので仲良くやれそうだ。
これから、生活を共にしなければならないのに、女子高生ひとり。親も友人もいない状況で自分の身を守らなくてはならない。不安があっても当然。
街に繰り出し買い物も普通に付き合ってくれたし、洋服、下着類も一緒に選んでくれた。
尚更、おかしい。男子って女性の下着売り場着いてこないよ。
しかも、落ちた下着畳んで元に戻してる。
盗まないだけマシだけど。
「あなた、女でしょ」いきなり切り出した。
動揺している。諦めた様に「そうよ」って。まあ隠しても意味ないしね。でも、見た目が男で転移しちゃったから男子で通そうとしているのね。
やった。頼れる人見っけ。しかも、OLって言ったよね。歳上じゃない。イマイチ頼りなさそうなのが気になるけど。
「じゃあ、マキさんは歳上?ひと回り歳をサバ読んで登録したとか」
「うん、登録時に男性で登録したからこうなったのかも」
「そうだよね。27歳のおばさんって登録出来ないよね。普通」
(この子何気にひどい事、言うな。悪気がないトコが凄く傷つく)
「あなただって10年後には私と一緒だよねー」
「私、結婚しているかも。マキさん、彼氏とか婚約とかいるの?」
(この子、明朗快活なのはいいけど、何だろう。とても傷つく)
「じゃあさ、リアル戻ったら私が紹介するね。約束する」
(もしかして玉の輿。良い子だわ。この娘)
「無事にリアルに戻りたいね」
「じゃあ、私から男子に上手く説明するわ」
「お願いします」
「ヒロ、カズに話があるの!」
「なんだよ」「なに?」
「これからは、マキさんがリーダーになればいいと思うの」
「なんで?」「突然だね。リーダー必要だけど」
「マキさん。歳上だよ。私達みたいな親のすねかじりじゃなくて、自活しているんだもの」
「面倒だしいいぜ」「楽が出来るしね」
そんな理由でリーダー決めていいの?君たち!
「それとね。マキさん、リアルで女装する変態だよ」
「なっ」なんて事言い出すの!
「変態なのか」「ぱねえ」
「だから、言動おかしくなるけど、気にしないで」
「ど変態なのか」「ぱねえ」
「でも、ナメちゃダメだよ。元暴走族だから」
「暴走族って今いるのか」「ぱねえ」
「リーダーお願いします!!」
私って元暴走族のリーダー?おまけに変態って。酷くない?
まあ、なんか良い子達だし、上手くやれそう。
ただ、生き残れるの?心配でならない。