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毒舌少女とこれからと 2

料理を作り始めた時は空が茜色に色づいていたが、作り終わった時にはもうすっかり日が暮れていた。ここではガスという概念がない代わりに魔法が主流らしく、キッチンに火の魔法がかかっていたが使い方はほとんど一緒だった。魔法とかすっごくファンタジーな単語を聞いて興奮していると白雪ちゃんにじゃあ、何で火を起こしてるのか尋ねられたがうまく説明できずに冷めた視線を頂きました。

出来た料理を持っていき席に着いて、白雪ちゃんが夕ご飯を食べ始めたのを見て私も野菜のスープを食べ始めた。

「(うん……味はそこまで悪くないはずだ。食材もあっちの世界と殆ど変わらないから安心したし不味くはないはずなんだけどーーーー。)」

さっきから無言で食べ続ける白雪ちゃんに若干の…いや、物凄く気まずさを覚える。せめて、リアクションが欲しくて料理をしていた時から疑問に思ったことを口にしてみた。



「それにしても此処って私の住んでる世界とホントに似てるんだね。目の前の調味料棚に醤油があって驚いちゃったよ。レシピとかも変わらないのかな?」

私の声に反応した白雪ちゃんは無言で食べ続けていたことに気が付いたのかすこし気まずそうな顔で答えてくれた。

「最初に言ったけど、旅人はこっちに来ること自体が珍しいけど全然ってわけじゃない。昔に来た奴らが自分が帰る準備が出来るまで少しでも環境を良くしようと動いていたらしいよ。昔の旅人たちにとっては住みにくい環境だったんだろうね。」

そう言った白雪ちゃんはハッと目を見開き、考えるそぶりを見せて私をじっと見つめてきた。

「な、何ーーーー。「提案があるんだけど。」……っえ?」

ポカンとしている私を気にするそぶりも見せず言葉を続けた。


「あの魔術師はハッキリ言って一か月とかじゃ帰ってこない。こっちの世界でも今大きい問題を抱えてるから君の存在をいろんな国が知ったら事態はもっとややこしくなるかもしれない。ーーーそれでは、僕が困るんだよ。」


最後の方は聞き取ることができなかったが、このメルヘンな世界でも深刻な問題が有るのかと興味を持ってしまった。

「その問題って私が聞いても大丈夫?出来たら聞きたいんだけど……。」

「王の選定だよ。」


以外にもあっさりと話してくれた。聞いておかないと納得しないでしょう?という正論と呆れ顔と共に。

「この世界には一国ごとに王がいるけどその王を決める事はそこまで重要じゃない。せいぜい、その国がごたついたり凱旋パレードするくらいだよ。」

いや……それって結構凄いことじゃ?と思ったが言える雰囲気ではなかったので黙ったままでいることにした。


「今回の王はこの世界の王。先代の王が居なくなってそれぞれ国の王が領土を支配してきたけど選ばれた者は全ての国の支配権が得ることができる。まぁ、早い話が正攻法な世界征服みたいな感じだよ。」

思った以上に規模が大きい話だし、物騒だ。メルヘンな世界から一気に印象が崩れてきている。

「今までは王になり得る人すら決まらなかったのに数年前からもう王の候補は決まっていて有り得ないくらいスムーズに事が進んでる。……たった一つの問題を除いて。」



白雪ちゃんの顔が急に険しくなった。その気迫にたじろぎながらも、自分の中の答えを確認するように尋ねた。

「えっと、もしかしなくても王を決める人がまだいない……とか?」

「そう。何となく予想は出来たと思うけどまだ選定者は見つかってない、確実に面倒事に巻き込まれるよ。」

確かに面倒な展開になるのは避けたい…が、話を聞いて思った事を口にした。

「あのー、その選定者?が私って事はないの?」

こんなタイミングで此処に来たんだ。その可能性の方が高いんじゃないだろうか?そんな私をみて白雪ちゃんはそれは無いと断言した。

「選定者はこの国の住人しかならない。が、旅人はいつも賢者として讃えられてた。ーーーそこで提案の話になるんだけどさ、この世界の問題が落ち着くまで僕の家にいなよ。」


さっきは直ぐにでも追い出そうとしていた人から出る言葉とは思えないが話を聞く限りでは落ち着くまでは隠れていた方が賢明かもしれない。ーーーやっぱり彼女は優しい。

「あ、ありがとう。これからよろ「あ、居候の身になるからにはこの家のことやってね。てか、それくらいやるよね?」……はい。」




前言撤回、やっぱり彼女は優しくない。











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