物事が思ったよりも壮大だった
彼女に話しかけようとしたら、何と家に入れてもらう事が出来たよ‼︎やったね!
「言っとくけど、善意で入れてあげたわけじゃないよ。どう見たって面倒事っぽいし君と話してるのを見られて困るのはどう考えても僕だ。」
美少女は外見に似合わない喋り方するなぁ、一人称僕だし。って聞き捨てならない言葉が聞こえた気がする。
「美少女とお近づきになりたい願望があったのにも驚いてるのに、まさか自分の夢の中で面倒事って言われるとは……。」もしや、自分にはマゾの気質
でもあったの? 己の深層心理には気付きたくなかったよ。
私がうなだれていると、彼女は少し驚いた様な顔をしており、確認する様に私を見てきた。
「 いや、アンタはここを夢の世界とでも思っているのかもしれないけど見たこともない格好、間違いなくアンタは"旅人"だよ。」
たまにいるんだよねぇと言ってるが全く意味が分からない。何だよ旅人って。私はここに旅行に来るプランは考えた事もないぞ。
私の思ってる事を感じ取ったのかわからないけど真剣な顔で私を見ていた。
「君も薄々感じとっていたんじゃない?ここが夢じゃないかもしれないって。だから君は、この家に人がいるって分かり必至に会おうとした。諦めて当てもなく彷徨うよりもこっちの方が情報を得られる確率が高いもん。」
言葉に詰まってしまった。だって、無意識のうちにそう考えていなかったとは言い切る事が出来なかったからだ。ーーーでも、
「私はさっきまで寝てたんだよ?これは夢でお母さんが起こしにきたら覚める夢じゃないの?
私はーーちゃんと帰れるの?」
思わず縋るように見てしまい彼女は迷惑そうな表情をしながらも答えてくれた。
「ここから西にある国に世界を渡らせる事が出来る魔術師がいる。そいつに頼んだら帰してくれるんじゃない?そいつ、女のお願いにはめっぽう弱い奴だから。」
意外な言葉が返ってきて驚いた。正直に言って帰る方法がないと思っていた、安心してると思い出したかのように彼女が言った。
「でも、今は違う国に行っている筈だから暫くはこっちに戻って来ない。嘘つかれたって戻って来られたら嫌だから先に言っておくね。」
ご愁傷様と言って家から出ていくよう彼女が促してから足元を見て眉をひそめた後、2階に登って行ってしまった。……思ってたけど、この家って意外と大きいし広いな。
心に余裕が出てきてキョロキョロしてると何かを抱えて戻ってきた。
「昔履いていた靴だけど、まだそこまで傷んでないしアンタのサイズと合ってると思って持ってきた。ここら辺を移動するのに裸足はおススメしない。まぁ、靴を履かずに歩く趣味があるのなら余計な世話かもしれないけど。」
彼女の手に持っているのは革靴だった。