第二章③:奇妙な流行り
*この小説の作者は医学知識が全くない素人ですので、この小説に書かれた知識を鵜呑みにしないでください。一切の責任を負いません。
前回のあらすじ
たぶん膣カンジダ症。
最近一部の間で、変な流行があるらしい。
それはベルト葉をふんどしのように股間に巻きつけることらしい。
ベルト葉とはこの地域に生える一種の水生植物である。
海岸によくあるようなあの長い海藻とよく似ているが、このベルト葉は水辺ならどこでも、雑草のように生えている。
「ちなみにどこでそのベルト葉を拾ってきたの?」
「それはきまって『聖なる淵』からだよ」
『聖なる淵』とはこの集落の森の中にある汚い淵のことだ。
集落の住民はゴミや生活排水をその淵の中に流し込む。
なぜ『聖』か。
それはこの淵の中に或る祈祷師が住んでいるため。その祈祷師のおかげで捨てたものは全て浄化されるんだとか。
「そんな流行にのっちゃ駄目よ。悪いものは陰部からも出ていくのだから、ベルト葉をふんどしにしたら、逆に封じ込めてしまうでしょ」
締め付けの強く、風通しが悪い下着は膣ガンジダ症の原因になる。なぜならカンジダ菌は高温多湿な場所で繁殖しやすいため。
ベルト葉は海藻みたいなだけあって風通しが悪く、湿気もある。強く引っ張っても簡単には千切れない。
一番下着にしてはいけない植物だ。
「知ってる。だから祈祷師様が言ってた。その泥をオメコに塗りなさいと」
彼女は彼女の横においてあった丼ぶりを指した。
丼ぶりの中を覗いた。
……なるほど。
この部屋やけに臭いなあと思っていたんだ。
犯人がわかったぞ。
「これを塗れば、悪いものが消えていくんだって」
カンジダ菌に効きませんね。
人には効きそうだけど。
膣カンジダ症は不衛生さも発症の原因となるので注意。
一応この部族にはそれなりに衛生観念はある。
ちゃんと体は水と薬草で洗うし、服や道具なども洗濯する。
糞尿の処理もしているわけだから中世パリより道は綺麗だ。
しかし謎の伝統のせいで台無しになっている。
今回もそうだ。
祈祷師がそう言うからといって集落の娘たちはあんなゲテモノを自分のデリケートゾーンに塗りたくってふんどしを巻いた。
それで悪化したことに本人たちは気づいていないのだろうか。
まあ、地球でも習慣の違いに圧倒されるなんてよくあることだからこれ以上は触れないけど。
でもなんだろう。
奇妙な風習というだけではない予感がする。
もっと時流に絡んでいそうな。
無駄のない文章をかけるよう努力します。