醜態
「もういいんじゃないかな、オヤジも反省してんでしょ?なら、いいじゃん」
オレは話を逸らそうと必死だ!
「ん~、何か納得いかないとこもあるけど…お父さん帰って来た時に聞いてみようかしら?」
セーフ!セーフ!間一髪セーフだよ、おいっ!
オレのビデオじゃないと思ってくれてる!
しかし!オヤジ帰って来たらまたこの話続くのか?
いつ帰ってくるんだ、オヤジは?
帰って来たらまたオレがヤベェじゃん!
「じゃ、これお父さんが帰ってくるまで預かっておこうかしら」
えぇ~っ!最悪の状態じゃん!
オヤジ帰ってくるな!病気になって帰ってくるな!
もしくは、ヒットマンに殺られてもうこの世にいなくていい!オレが許可する!
「で、オヤジはいつ帰ってくるの?」
とりあえず帰ってくる日にちを聞こう!それまでに対策を練る!
「来週には帰ってくるんじゃないかしらね」
そうか、来週か!
よし、来週までに策を練らねば!
とりあえず今日は凌げた。
「ヨシヒコ」今度は何だ一体?
「なに?」とりあえず返事する。
「これアンタのでしょ?正直に言いなさい!」
何だって~?まだ続くのか?
いい加減にしてくれよ~(泣)
「オレのじゃねえってば!」とりあえず抵抗出来る限り抵抗しよう!いざとなりゃ逆ギレしちゃる!
「何でお父さんがアンタの部屋に隠す必要あるの?」
またそれか…
「だから知らねえって」
とにかくごまかすしかない!
「別にお父さんがこういうの観ても何とも思わないわよ、アタシは」
何だと~?それじゃ犯人はオレ確定じゃないかっ!
「それ、アニキのだよ、アタシ今朝アニキがそれ観てるの見たから」
!!
振り返ると鬼畜がいた!いや、妹がいやがった!
あのヤロー、オレから口止め料として一万パクったくせにもうバラしやがった!
鬼だ!悪魔だ!テメーなんざ妹でも何でもねぇ!
卑劣なグズ人間だ!!
「やっぱりアンタのじゃない!どうしてそう言い訳するの!」
(終わった…何もかも…)
オレはジョーとの激しい試合を制した力石の最期の言葉が浮かんだ。
「アニキいっつもこんなエッチなビデオばっか観てるよ。アタシの部屋まで聞こえるんだから」
何ですと~?
「ヨシヒコ!アンタ毎晩こんなのばっか観て…アンタにはまだ早いわよ!それより勉強しなさい、勉強を!」
あのバカ妹め…‥…
あんなゲスは将来ろくでもない男に引っ掛かって堕ちていくに違いない!
オレが今すぐにでも神社に行って藁人形に釘打ち込んでやりたいぐらいだっ!
…かくして妹に裏切られ、母ちゃんにはこっぴどく叱られ夜は過ぎていった…




