其の9
外は空は夕方から夜になりかける時間であった。
「漫画とかだとこういう時になにかの扉が開いたりするんだよなぁ」
そんな事を考えつつ、手をブンブン振り回す選挙カーとすれ違うと、すぐそこにお昼にお世話になった (というかほとんど)コンビニに到着する。
そして、焼肉弁当があるであろう棚に行く前に、レジの前を通ると建設業の人なのだろう、ペンキのついたツナギをきた体格の良い30代後半くらいの男性が焼肉弁当を手に持っていた。
それを見て胸に不安をつのらせつつも、まさかそんな事ないよなーと思いながら弁当の棚を見ると、無かった、売り切れだったのだ。
「あー!!」
せかいの終わりがきたのかというくらい心の中でそう叫びつつ、これは厄介な事になったとまた1人会議を始めるのであった。
「焼肉弁当のかわりになるやつはと・・・」
1人会議にあけくれていると、後ろから声をかけられる。
「あれ? さっきぶり奇遇だねー」
後ろを振り返るとレンタル家の彼女であった。
「どうしたの? 晩御飯悩んでるの? だったらこれオススメだよ」
と、いつつ彼女は矢継ぎ早にしゃべり、タンドリーチキン弁当を渡す、こころなしか店内のBGMも進めにきているような感じがした。
しかし、彼女が手に持っているのは、チキンパスタであった。
「私? 私は小食だからこれでいいの」
そういうと、彼女は清算をすましてコンビニをでるのであった。
彼はというとせっかくのオススメだし、これにするかと、タンドリーチキンをレジにもっていくのであった。