三六 カミのシオつくね
たいへんご無沙汰しております。
「暇だから、株でもやるか…」
セシウムの半減期は近いと感じたオレは一株50円で購入したシソを庭に植えた。
豊かに繁る葉を眺めては水をやったりするオレ。
「小説、書けよな、オレ。」
何年経ってもタイトル通りにならないストーリーの日々。
そんなある日、通勤途中の三鷹駅で声をかけられた。
「あの、豊洲さんですか?」
超、爽やかな笑顔、美人さん!
「やぁ、やぁ。」
旅回りで修行を積んだ彼女はすっかり大人になっていた。おどおどする初老のオレ。
「近くで公演があります。観に来てくださいますよね。」
「えーっ…」
「そのあとで大人のお楽しみがありますの、うふふ。」
「ワーォ…」
そうか、そうか、そういうことね。だって大人だものね。ウフ、ウフッ、ウフフ、ウルル、ガルル、ガォ(腹が鳴っている音です念のため)、僕だって大人だもんね、うふっ。
そして公演のあと、オレはなぜか国分寺の焼き鳥屋にいたのだ。
「シオつくね、おかわり!」
つくねって普通はタレだよね、でも。
あえて、シオ味のつくねを噛む。若い地鶏の油、旬のシソの香り、凝縮された旨味成分、シオ、クラスター弾けます。
タレなんかなくても素で旨いぞ、旅芸人イチオシ。
これは発見だぁーっ!ディスカバリーシオつくね。
うふっ、庭のシソが高騰するぜ。
アナライサー、分析開始だ。
この話が終わっていないのに、新作を発表するようです。




