三五 友よ、ウットラマン変身のときがきた。
チッ・ゲバラ師曰く、チッ、チッ、チッ、革命には時間がかかるのだ、
体制の変革よりも自己味覚の変革を、、、。
ふぅ、この作業を始めてから、、、まもなく延べ36時間が経過します。
それにしても見事な平面だ、たとえ宇宙の広さに拡大してもモノリスの表面のごとくに完璧な平面。
この世の硬いもの、鋼鉄と砥石を何十万回もすり合わせた結果です。
輝ける水面に鰯の黒雲がたち、それを青い包囲網が突き上げて、黒と青と銀の豊饒が泡立って海が沸騰する、そんな妄想もこれまで。
満足しています。
やっと私の刺身包丁のシミ、取れました。
全ては手筈通り、大振りの茶碗も湯煎してある、飯も蒸らしている。
たっぷりの新茶が急須に煎れてある。
「ふふっ、ふふっ、最近、、、私の腹の中が騒々しいが、いま、飢えているのはお前らだ!」
このカミの刺身包丁で切るのは、鯖の塩ぬか漬け、、、へしこだ。
薄くスライスしたへしこを火鉢の炭で炙る。
有り余る旨味と脂がジュワッ!と煙を上げる。
友よ、ウットラマン変身のときがきた。
ジュワッチ!!
あぁ、熱々の飯にカミのへしこを乗せて、新茶をかける。
出汁もあられも山葵もいらない、、、薬味は萩のわかめのみ。
この茶碗に日本海がある。
我が腹のソドムとゴモラよ、、、
カミの茶漬けを受けてみよ!
見よ!飯が膨らみ、塩味と鯖の旨味が喉を突き抜けて脳に達する。
そしてこの作品がグルメファンタジーだったことを思い出すがよい。
食欲司令官は、断固、私である!
音のない真空世界に、茶漬けを啜る音のみ響くのであった。




