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第22話 変態という名の紳士

◇◇◇夢華◇◇◇


夢がぐったりしたまま動かなくなった・・・


夢華

「き・・・貴様・・・」


今すぐにでも、目の前の誠也ゲスを殴り飛ばしたい・・・いや蜂の巣にしても足りない・・・

だが、身体が動いてくれない・・・情けない。


誠也

「さぁて、次はどうすっかなぁ・・・確か夢が何か言ってたな・・・ま、いっか・・・」


誠也は立ちあがると、薄汚い笑みを私に向けた・・・虫唾が走る。

やはり、こいつは初めから約束など守るつもりなんて無かったんだ。


夢華

「この・・・下衆ゲスが!!」


誠也

「あ?ゲス?良いねぇ・・・んじゃ、ゲスらしくこの前のやってみるか?」


誠也の手の平に光があつまる・・・

その瞬間、私の顔が蒼ざめた。

何をするか直ぐに分った、私のトラウマとなったあの行為だ・・・


一歩、そしてまた一歩と誠也が私に近付いて来る・・・


夢華

「や・・・やめろ・・・やだ・・・やだ!!」


情けない話だが、頭の中はこの前の悪夢で完全に塗り潰されてしまった。

この場から逃げたい!それだけしか無くなってしまった。


必死に私は身体を動かし逃げようとする・・・が動かない・・・

その間にも誠也がゆっくりと近づいてくる。


夢華

「く・・・くるな・・・くるなよ!!」


パニックになり私は叫ぶ・・・何てザマなんだ・・・私はこんなにダメな奴だったのか・・・


きっとこの後はこの前みたいに・・・・嫌だよ・・・誰か助けて・・・


涙で視界がぼやけた・・・




その時、


"キンッ"という金属がぶつかる音と共に、私の身体が急に動くようになった。


誠也

「なっ・・・誰だ!!」


誠也が私の後ろに向かって叫んだので、確認してみると、豪華な刺繍を施された貴族の様なロングコートにオペラ座の怪人を思わせる怪人マスクを付けた男がサーベルを持って立っていた。


怪人マスクの男

「我はSKBE第4列車総隊司令官そして高慢なる元帥、ダーク=キッド!貴様の下品さは非常に不愉快だ!同じ空気を吸うのも汚らわしい!直ちにご退場願いたいものだな・・・この薄汚い下等種族が・・・」


凄いのが出て来た・・・どうやらSKBEの元帥らしいが・・・変というか・・・どこかのヒーローの出来損ない?にしか見えない・・・あの恰好で平然と自分はカッコイイと思っている感じだ・・・


誠也

「下等生物だとこの仮面野郎!!」


ダーク元帥

「レディーへの蛮行・・・正しく下等生物・・・そうは思わないかね?レディーに対しては常に紳士でなければならない!それが高等種族である理である。」


ダーク元帥は、そう言いながら何時の間にか夢の近くに移動し、彼女を抱き上げお姫様抱っこをしている。そして・・・


ダーク元帥

「そしてこの姫君の痛々しい姿・・・これを見て何とも思わないのかね?嘆かわしい下賎の種め・・・恥を知るが良い!」


そう言いながら、私の元に歩み寄り、私に夢を渡し深々と頭を下げこう言った。


ダーク元帥

「ご安心ください、わたくしは姫君達をお守りする誇り高きナイトでございます。命に代えてもお守りいたします。」


そして、ついでに薔薇の花を差し出すと・・・何処のオペラの世界だ?これ・・・

ダメだ・・・この人の行動に理解が追い付かない・・・味方みたいだけど・・・変人?そうだこの人変人なんだ!きっとそうだ!!

強引に理解する事にした・・・もう訳わからんし・・・何だか夢のいい加減さが移ってしまったようだ。


そうだ、お礼を言わなきゃ・・・助けてもらった訳だし。


夢華

「あの・・・ありがとうございます。」


思い出した様にお礼を言う・・・相手が変な人でも礼儀は礼儀だ。


ダーク元帥

「例には及びません。当然の事をしたまでです。あ、そうそう、これも一緒にお渡ししなければ・・・」


ダーク元帥は、そう言うと虚空に手を突っ込みそこから天叢雲剣あめのむらくものつるぎを取り出し、私の腰に付けてくれた。


夢華

「え?ええ?えええええ?!」


意味が分らない、なんでこの人が持ってるの?


ダーク元帥

「たまたま隠してある場所を発見致しましてね・・・天使の殲滅ついでに取り返しておきました。」


もう、訳が分からない・・・私達の目的は天叢雲剣あめのむらくものつるぎの奪還とこの教会にいる天使の殲滅だったはず・・・

何でこの人がやっちゃってるの?私達要らないじゃない!!


ダーク元帥

「不思議に思われているようですね・・・わたくしは、お二人の障害を取り除きこの相手と対峙できる環境を整えるよう、邪神様より命ぜられております。そして万が一の時には危険を排除せよとも命ぜられております。」


つまりは、私があのトラウマを乗り越えられるよう最初から・・・

だが、そこまでしてもらっても、無理だった・・・ダメじゃないか私・・・

完全に期待を裏切ってしまったな・・・何と弁明しよう・・・

それに・・・夢まであんな目に合わせてしまった・・・


ダーク元帥

「ご安心ください。邪神様はお二人に完全な敗北を経験させたかったのだと思います。そしてそこから何かを得る事に期待されているのでしょう・・・全くお人が悪い・・・さてと」


私達に対して優しく紳士的だったダーク元帥の声質が変わる。


ダーク元帥

「我が前で、姫を傷付けた蛮行・・・ただで済むと思うなよ下等種・・・」


誠也に向き直り、彼は優雅にサーベルを構えた。


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