第7話 かわいいものにはご注意を
自動放送
「間もなく37番線に列車が参ります。危険ですので白線の内側までお下がり下さい。この列車は、エアール第84世界、倉吉駅から来ました特急〃Super RABBI〃ルイーネフリーレン行きです。この列車の停車時間は4時間43分です。」
やる事が無く暇な私は、ホームのベンチに座りぼーっとしている。
向こう側のホームに、また場違いなステンレスの気動車が駆け込んできた・・・って、智頭急行?!
・・・まぁ、今更驚いてもしょうがないよね、なんせ私の居るホームには、名鉄の気動車が鎮座してるわけだしね・・・気にしたら負けだと思う。
ちなみに、今の私の服は、浴衣からフード付きの水色のトレーナーに同じ感じの生地のスカートを履いている。
スノウが調達してくれたもので、私のライフスタイルに合っていて、しっくりくる。
コラそこ!子供服とかパジャマとか言うんじゃありません!
まぁ、中学生なのに小学生体型の私にはこういう子供っぽい服でも全く問題無いし、何よりけばけばした今風の服は苦手だしね。・・・発育障害言うな!これからきっと伸びる筈だし・・・たぶん
ちなみに、このホームは片面で、乗降側もスノウの列車が占有しているのでほとんど人が居らず、ひきこもりの私でも安心して出歩ける空間となっております。
かわいい物体
「ぬくぬく♪こうごうせい♪ぬくぬく♪」
後、私の頭の上にはさっきのかわいい物体が乗っている。
この子は〃フィロ〃という名前で、ある魔法都市で産み出された植物の魔法生物で、色々あってSKBEが保護したらしい。
現在は、Snow Expressの食堂車、ウェイターとして働いている。
さっきも私の紅茶を頭に乗せてトテトテと運んで来るかわいい姿に大変癒されました。
そして、何故か懐かれ現在に至ると・・・
理由を聞いてみたところ、撫でくり回された時に流れ込んできた私の魔力がとっても美味しかったからだそうだ・・・非常に単純かつシンプル、だけど人間相手より解りやすくて良いよね。
と、この子はやたらスキンシップという魔力提供を求め抱き付いたり頬擦りして来るが、嫌な気はしない。
まぁ、人間にやられたら当然の事ながら、嫌悪感全開のドン引きですよ。あくまでも、犬や猫になつかれてるって認識なので受け入れられるってだけね。
そもそも、人間嫌いだし私・・・
と考えていたら、さっきまで頭の上でもぞもぞ動いていたフィロが動かなくなり、寝息が聞こえてきた。どうやら、頭にしがみついた状態で寝てしまったようだ。
・・・地味に凄くね?これ・・・
ともあれ、落っこちると大変なので・・・
グイッ
あれ?取れない?!
グイグイッ
フィロの身体は、その手足により私の頭に完全に固定されている。
そして・・・
フィロ
「もうたべらえ・・・フニャ」
寝言と共に、ヨダレ垂らし始めやがったよこの子!!
いい加減起きなさい!!てか人の頭に水溜まり造るのやめ・・・ノォォォ!!顔に垂れて来た!!
この後、スノウが来てくれるまでの数十分間、私はフィロを頭から剥がそうと、のた回る羽目になりました。
来てくれたスノウの話しでは、フィロは寝る時に何かにしがみつくと、起きるまで絶対に放さないので気を付けて欲しいとのこと、さらに一度眠ってしまうと何をしても起こす事は不可能で、自分で起きるまで待つしか無いそうだ・・・
先に言えや!!
そして、フィロが目覚めるまでの数時間、頭の上を占拠中のそれから垂れてくるヨダレの不快感に耐える事となりました。
スノウ君?何下向いてぷるぷるしてるのかな?
まさか、必死に笑いを堪えてるとかそんなこと無いよね?