第8話 暴走!シスコンお姉さん
◇◇◇神奈◇◇◇
何故でしょう・・・電気が付きません。
えーと、爽やかに覚めた私は、妙な違和感を感じ部屋の電気を付けようとしましたが付きません。
後、窓の外の風景が工場的なもの・・・いえ工場ですここ・・・一体何が起きた?!
慌てて部屋を飛び出しそして出入り口から外に出ようとした私は、唖然としました・・・
車体がクレーンで吊るされ、地上10メートル位の位置にあったのです。
気付くのが早くて良かったです・・・危うくそのまま地面にダイブする所でした・・・
リアン
「あれ?そんな所で何してるんだ神奈・・・」
下の方を見ると、リアンさんの姿がありました・・・
そしてここは工場、車輛は台車を外され吊り下げられている・・・
そこから導き出される答えは・・・置いていかれた・・・
神奈
「ちょ、邪神様!!なんで護衛の私を置いてくんですか!!」
リアン
「相変わらずマヌケだなぁ・・・」
サウロ
「まぬけ~♪」
五月蠅いです!あれ?リアンさんの隣に居るのって・・・天使?!
宿敵ここに居たり!!
私はゾディークを大剣の形にすると、大きく振りかぶって一気に距離を詰めようとした瞬間・・・
カーンと頭に固い物体が当たり、姿勢を崩しそのまま地面に顔からダイブ・・・地味に・・・というか目茶苦茶痛いです。
リアン
「落ち着け・・・こいつは夢の使い魔だ・・・」
どうやら、固い物体の正体はリアンさんがぶっ放った実弾だったみたいです。
いやいや、幾らなんでもそれは無いわぁ・・・防御フィールドで防がれるけど、地味に衝撃来て痛いんですからね・・・それを何の躊躇いも無くヘッドショットかましやがりましたよこの人・・・
神奈
「ちょっと!酷過ぎない?怪我しないけど地味に痛いのよそれ!!」
リアン
「悪い悪い、だけど口で伝える前に行きそうだったから仕方なかったんだな・・・」
絶対悪いと思ってないでしょこの人・・・目茶苦茶笑ってるし・・・
まぁ、それよりこの天使ですね・・・夢ちゃんの使い魔って言ってたけど、天使の使い魔って・・・
確かに隷属させる魔法はあるけどその想定は犬や猫みたいな動物が対象のはず、天使クラスの相手なら簡単に拒絶できるような魔法なんだけどねぇ・・・
もしかして、この天使が望んでたとか?あの高慢でプライドの塊みたいな生物が?・・・まさかぁ・・・
神奈
「で、そこの天使君は何で夢ちゃんの使い魔になんてなっちゃったの?簡単に抵抗できるでしょうに?」
サウロ
「夢とっても優しいから大好き♪」
神奈
「貴方は本当に天使なの?私の認識だと、かなり高慢な性格でプライドの塊って認識なんだけどねぇ・・・」
私が睨みながら質問してると、天使君が怯えながらリアンさんの後ろに隠れてしまいました。
なんだこの天使・・・ヘタレ臭が半端無いんだけど・・・
リアン
「余り虐めてやるな・・・夢のお気に入りなんだしな・・・」
神奈
「お気に入り?」
リアン
「ああ、もうにやけ顔で"この子、私の抱き枕にする"とか言ってたしな・・・」
神奈
「ナ・・・ナンダト?!」
私が今まで叶える事のできなかった夢ちゃんとの添い寝をその天使が・・・
私の大事な夢ちゃんと添い寝だって・・・(血涙)
み・・・認めない・・・絶対に認めない!!!
神奈
「ダメよ!絶対そんな事!!」
リアン
「何だ?どうしたんだ?」
神奈
「だって、その天使って男じゃない!!一緒に寝るなんて!!」
リアン
「おいおい・・・こんなチビ相手、ノーカンだろ?」
神奈
「ダメと言ったらダメなの!!私は絶対に認めないから!!」
リアン
「まぁ、それは夢に直接言ってくれ・・・言えるならな・・・」
神奈
「う・・・それは・・・」
無理だよ・・・言えないよ・・・言ったら弁慶蹴られちゃうよ・・・目茶苦茶痛いよ・・・
おのれ天使め・・・私の可愛い夢ちゃんに・・・
サウロ
「ひっ・・・」
リアン
「だから、睨むなって・・・こんなチビ相手に何、嫉妬してんだよこのシスコン!」
あの忌々しい天使を睨みつける私を、リアンさんが制していますが・・・
おのれ・・・このままでは終わらんぞ・・・夢ちゃんを守るのは姉のこの私なんだから!!
夢ちゃんのサウロ君抱き枕化計画の最大の障害は神奈お姉さんでした。