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第5話 お茶会

◇◇◇夢◇◇◇


♪~鉄道唱歌 (オルゴールチャイム)~♪


スノウ(車内放送)

「本日はSKBEの列車をご利用いただきありがとうございます。列車はこの後、帝都鉄道の都心本線に入ります。都心本線に入りますと1時間後の13時28分に終着神京駅に到着の予定です。なおこの先路線規格の低下により揺れる場合がございますのでご注意ください。引き続き列車の旅をお楽しみください。」


♪~鉄道唱歌 (オルゴールチャイム)~♪



現在食堂車で恒例のティータイムの真っ最中です。

列車は、帝都口駅を発車して帝都鉄道の路線に入り、車窓には立ち並ぶレトロな雰囲気の街並み、そして釣り掛けサウンドを響かせ走る通勤電車の元祖63系、"これぞ戦前の日本!"という光景が広がっております。

車内放送のチャイムもスノウ君が気を使ったのか名鉄仕様では無く、オルゴール仕様の鉄道唱歌になってました・・・もうさっきの雰囲気ぶち壊しの反動で目茶苦茶感動しております。


ただ、難点を言えば、鮨詰め状態の通勤電車に乗っている人々の目線がとても痛い点でしょうか・・・


一緒に食堂車で申し訳なさそうに紅茶を飲んでいる夢華(脳筋)さんのお話では、現在大日ノ本帝国は戦時中であり、贅沢は敵だという風潮があるそうです・・・

そんな中、SKBEの基幹路線用の鮮やかなデザインの車輛でしかも双子達用に特別に豪華な仕様にされたこの列車はその正反対の存在で、かなり風当りが強いみたいです。


でもさ、私も色々事前にこの国の事調べたんだよね・・・

そしたらさ、この国が天使との戦いで物資的に苦しんだのは初期だけで今はSKBEの支援で物資が有り余ってる筈なんだけどね・・・


国を上げての政策だったから引っ込みつかない感じなのかな・・・

まぁそれは置いといて、この列車はSKBEの列車でしかも線路以外全部自前で運行してるんだし文句を言われる筋合いはありませんからね・・・

て、夢華に言ってみたら、"だからなおの事性質が悪いんだ"って怒られました。

よくあるお偉いさんの統制したがる病ですかね・・・残念ながらSKBEは国家から切り離され独立した鉄道会社なので、そんな統制に従う理由もありません。

んで、それをこの国のお偉いさん達が嫌がってるってとこでしょうか・・・


うーん、良いじゃんお互い干渉しないならそれでって思うのは私だけかな?



ラズロット

「それにしても、見れば見るほどそっくりなのです・・・」


リズロット

「双子みたいなのだ・・・」


私と夢華(脳筋)と向い合って座っているラズとリズがまじまじと見つめながら言った。

ちなみにサウロ君は私のお膝の上です。・・・だって丁度良い大きさだし抱き心地最高なんだもん!

既に抱き枕化は決定事項ですよ♪

それで、話を戻すと、確かにここまで似てると双子に見えなくも無いですね・・・性格は正反対だけどね。


その証明に、さっきサウロ君がジュースの入ったコップにストロー突っ込んでボコボコやって遊んでたのをみて、私は"可愛いなぁ癒されるなぁ"と思って見守っておりましたが、夢華(脳筋)さんは"みっともない!何をしているんだ!"といきなり叱り付けサウロ君が怯えてしまうという事件が・・・可哀想なのでさっきからずっとナデナデしてあげてますよ・・・

といった感じで、受け止め方ひとつとっても正反対なんですよね・・・


後、私がだらけた格好で紅茶飲んでるのに対し夢華(脳筋)さんはピシッと背筋が伸びだ状態の正しい姿勢を常にキープしております。

何でしょうか・・・私がダメな子バージョンな気がしてなりません・・・


リズロット

「ダメな子?」


「黙らっしゃい!というか心読むんじゃありません!!」


夢華

「心を読む?」


「ああ、説明してなかった・・・この二人に思考は筒抜けだから・・・」


夢華

「ほほう・・・それは便利だな。」


え?いやいや、何でそこは私と同じ反応するんですか?

普通、ドン引きするとこでしょう!


夢華

「言葉にして伝える時間は実はかなりのタイムロスになっていてな、それ無しで正確に意思が伝わるのは非常に効率的だし便利じゃないか?」


なるほど・・・結果は同じでもそこに至る過程が真逆だったんですね・・・

私は言葉にするのが苦手だからそれを回避できる便利な手段と感じ、夢華(脳筋)は言葉にして伝える為の時間が必要無くなり効率的になって便利だと感じた。

やっぱり私の方がダメな子バージョン・・・


ラズロット

「ダメな子?」


「うーるーさーいー!」


ホントにこの双子は・・・腹立ったから腹いせにサウロ君の髪をワッシャワっシャしてやる!

そいえば、事前にこの国の事調べたんだけど、どうもこの国がどこと戦争してるのかが今一良く解かんなかったんだよね・・・天使の軍団が絡んでるってのは分かったんだけど・・・この際聞いてみるかな・・・


「脳筋脳筋・・・この国って何処と戦争してるんだっけ?」


夢華

「ん?ああ、そっちの感覚だと大天使のラファエルの天使の軍団との戦争って認識であったな・・・」


「調べたら・・・そんな感じだった。」


夢華

「ふむふむ、大体は合っているが、それはあくまでバックグランドの話でな・・・」


そう言って、夢華(脳筋)さんが説明をしてくれました。


大日ノ本帝国は実は小さな島国で、それほど強い国力は持っていない状態で、独自の神皇を中心とした独自の宗教を信仰してるんだそうな・・・

しかし、そんな状況を良しとしない大天使ラファエルは、十字教を信仰する大国を動かしこの島国を改宗させようとしたそうな・・・


具体的には海を挟んで北に位置するヴェリロスカ連邦と同じく海を挟んで東に位置するアルメリア共和国という大国を動かし、大日ノ本帝国への物資の輸出制限をかけるという暴挙に出たのです。

当然島国である大日ノ本帝国は物資のほとんどを輸入に頼っているため、そんな事をされては国が成り立たなくなります。

そして、この大日ノ本帝国が南方資源地帯を狙い戦争を仕掛けるのを待って大国二つで袋叩きにしようとしていたのですが、そう上手く事は運びませんでした・・・

何と、そこへSKBEが滞った物資の代替として異世界から物資の輸出を始めてしまったのです。

そうなれば、物資の欠乏は回避され当然、大日ノ本帝国は戦争を仕掛ける必要も無くなってしまい、大天使ラファエルの思惑は大外れとなりました・・・

そして、大天使ラファエルは更なる暴挙に出ます。

ヴェリロスカ連邦のヴェリロスカ聖教とアルメリア共和国のアルメリア教会に政治介入させ、大日ノ本帝国に宣戦布告をさせたのです。

小国の大日ノ本帝国が相手、一瞬でカタが付くと大天使ラファエルは考えましたが、また彼の思惑は外れてしまいます。

何とSKBEの物資の支援を受け大日ノ本帝国は2つの大国を相手に大健闘し逆にこの2つの大国が傾くという快挙を成してしまったのです。


その後、大日ノ本帝国と2つの大国とは停戦協定が結ばれ停戦状態となり一応の事態の収拾が行われました。

当然ながら、ヴェリロスカ聖教とアルメリア教会は猛反発しましたが、戦争に疲れた国民の支持を得られず結果この2つの宗教が政治的な力を失うという結果となりました。


そして今、追い詰められた大天使ラファエルは、自ら率いる天使の軍団を使い、この大日ノ本帝国の信仰の中枢である神皇を潰そうとしているのだとか・・・


うーむ、ガチの宗教戦争ここに極めりですね・・・

確か昔、ネットで"宗教こそが戦争の原因である"と主張したレポートを見たことを思い出しちゃったよ。

当然全部が全部宗教が原因とは言わないけど、戦争の原因となる偏向された知識と思考停止状態を生み出す一因を宗教が担ってるていう点は十分に賛同できるんだよね・・・


んで、今回ご登場の大天使ラファエルさんですが・・・何でもかんでも自分の思い通りにしたいタイプなようで、神話とかに出てくる高慢な神様そのものって印象だね・・・

という事は・・・


「サウロ君・・・ラファエルって知ってる?」


私がそう聞いた瞬間、サウロ君は硬直してガタガタと震え始めました。

これは、サウロ君と大天使ラファエルと何らかの関係があるって事でいいかな?

まぁ、天使なんだし関係が無い方がおかしいんだけどね・・・


「お願い・・・知ってる事教えて。」


サウロ

「わかった・・・あんまり思い出したくないけど・・・」


どうやら、かなりのトラウマみたいですが、意を決して話してくれるようです。

トラウマを思い出す時の苦痛は私も良く分かってるので、サウロ君の恐怖が和らぐ要に、ギュッとしてあげます。これは私も一緒だよってアピールで、結構安心するんだよね・・・少し前にリアンお姉さんがやってくれたんだけどね♪

トラウマと向き合う時に凄い威力を発揮してくれるのです!


そして、サウロ君の口から語られたのは、大天使ラファエルの天使の軍団に居た時の虐待の日々の記録でした。

正直、私の時より酷い扱いです。だってさ他の天使に"お前は落ちこぼれだ!"とか"天使の面汚し"とか言われまくるだけじゃなくて、再教育と称した拷問みたいな虐待とか・・・無いわー引くわー天使の軍団って組織的に終わってると思ったよ・・・


ラズロット

「うーん、ロイが聞いたらブチキレスしそうなのです・・・」


ロイって誰?


リズロット

「第5列車総隊司令官で堕天使のロイ=ホワイトなのだ・・・」


何かまた凄く偉い人出て来たよ!

しかもSKBEの偉い人って変態揃いってイメージ何だよね・・・特にあの変態ロリビアンとか変態ロリビアンとか・・・


ラズロット

「残念な事に、ロイは珍しくマトモな堕天使なのです。」


珍しくってどういう事?他は全て変態揃いって事なのか?


リズロット

「大体合ってるのだ♪」


わーい、嬉しくなーい♪

ダメだこの組織・・・早く何とかしないと・・・


ラズロット

「だってラズ達が"汝の成したい様に成すが良い"って説いたから仕方ないのです♪」


リズロット

「フリーダムが一番なのだ♪」


「何処の暗黒神様?アレク○スト大陸とかに行った事ある?」


ラズロット

「ロー○ス島も行った事無いから安心するのです♪」


もう良いです・・・なんでちゃんと元ネタ理解した上でボケるかな・・・


夢華

「うむ、我々としても非常に興味深い情報だ、もしかすると能力の低い天使ならば懐柔し味方にできるやもしれぬからな・・・」


夢華(脳筋)さん・・・仕事熱心過ぎですよ!絶対貴女はワーカーホリックになってると思う・・・

だってさ、今日非番だって言ってたのにめっちゃ仕事してるし・・・


「真面目すぎ・・・休日は休む、お仕事は上手い事サボるのがトレンド・・・」


夢華

「お前は不真面目過ぎだ・・・」


夢華(脳筋)さんが溜息込みで呆れてますが、気にしない♪

だって、私が真面目に仕事したら天変地異が起きると思うからね。



♪~アルプスの牧場 (オルゴールチャイム)~♪


スノウ(車内放送)

「ご乗車ありがとうございました、間もなく終点、神京駅に到着します。どなた様もお忘れ物ございませんよう今一度ご確認ください。本日はSKBEの列車にご乗車頂きありがとうございました。なお、この列車は停車後回送列車となりますので、個室をご利用のお客様は必要な荷物を全てお持ちになり下車頂きますようお願いいたします。」


♪~アルプスの牧場 (オルゴールチャイム)~♪


話し込んでたら、もうすぐ終着の神京駅に到着みたいです。

何だろうね、食堂車でくっちゃべってると時間があっという間だねぇ・・・

そんじゃ、そろそろ降りる準備をしに部屋に戻りますかね・・・しかも今回は駅に待機じゃなくて回送してっちゃうみたいだしね・・・必要になりそうな物は全部持ってかなきゃ・・・

他の人も準備の為に各々の部屋に戻るようで・・・私もサウロ君を抱っこしたまま、よっこらせと席を立ち、部屋に向かって歩きだしました。

サウロ君が夢ちゃんの抱き枕要員となりました。

抱き心地うんぬんは以下略・・・(笑)

後、幼稚園児体形の彼に嫉妬してはいけない・・・

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