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第59話 シリアスブレイカー

◇◇◇紗綾◇◇◇



夢が神殿に行ってしまった後、私と真理は神殿の周辺にあるバザールを散策していた。。

このバザールは、神殿の横に作られた何もない広場に、露天やテントが立ち並ぶ仮設の市場のようである。

今回は、ターランの市場の時と異なり、自由に買い物が楽しめる。

というのも、スノウ君が発行してくれた私達用のパスがお金の代わりになるみたい。

このパスは、スイカみたいな感じのカードで、本来の目的は私達が乗せて貰ってる"Snow Express"の特別な乗客としての証明らしいのですが、それ以外にもこのカードを見せてお買い物すれば、私達の場合、邪神の双子達(暗黒神殿)に買った物の請求が行くようになってるみたいで、実質使いたい放題・・・なんて素敵な♪


後、身分証明としても使えるってスノウ君が説明してました。

地味に万能かも・・・


真理

「ねぇ、紗綾・・・この前事だけど・・・」


紗綾

「ウリエルさんが何で私達を騙してたか?」


真理

「それ・・・ちょっと調べる環境が整えば直ぐにバレちゃうじゃない・・・」


紗綾

「確かに・・・」


真里の言う通り、夢に借りたPCでネット検索した結果、ウリエルさんの説明が矛盾だらけで明らかにおかしい事が直ぐに分かった。

でも、それができたのは神奈さんが上手い事やって私達をSKBE側に引き入れてくれたから・・・

もしまだ十字教会側にいたら、未だに中世っぽい世界観で生活して、ウリエルさんの言う事や十字教会の人達の言葉を信じてたと思う。


紗綾

「でも、向こうに居たら絶対に気付かないと思うよ・・・ネットなんて使えなかったろうし・・・」


真理

「あ、そっか・・・そうだよね、向こうは正統派ファンタジーっぽかったもんね・・・」


確かに、SKBE側に来てから急に生活水準が元居た世界と同じに戻ったせいか、異世界情緒が台無しだと思う・・・いや便利なんだけどさ。

絶対的にファンタジー要素が減った気がする。



紗綾

「もしかして、ファンタジーに戻りたい系?」


真理

「無い無い・・・あんな生活もうゴメンだよぅ」


紗綾

「だよね~」


歩きながら会話が弾みます。だって生活水準が現代日本人の私達が普通に生活できる水準・・・より更にちょっと良い感じになって精神的なストレスが無いから。

やっぱり、生活水準って大切だと思う。よく携帯小説とかで異世界トリップした人達が平気で生活してるとか有り得ない。

不便極まりない生活を強いられ、精神的なストレスはマッハです。現に私達がそうでしたからね。

後、SKBEが異世界同士を結ぶ鉄道会社だったというのも幸運だと思う。スノウ君の話では私達は元の世界に何時でも帰る事ができるそうで・・・異世界トリップして、帰れない事が解って絶望してる人達に謝るべきかな・・・って思うくらい帰り道がしっかりしていたりする。

ちなみに、私達の世界には、名鉄名古屋駅の山王側に次元軌道用の連絡ゲート(次元軌道入口に構築された次元軌道用信号所に直接繋がるゲートで、空中軌道装置を使用する必要がなく、加速用の滑走軌道が必要なくなるが、次元軌道入口に必ず大型の加速用の軌道を併設した信号所が必要になる)があるので、そこを通って名鉄名古屋又はそれ以降の駅で下ろしてくれるようだ。

てか、何で名鉄線?色々ツッコミたいですが、とりあえず置いとくとしよう。

それより、今後”勇輝”や”美樹”に会った場合どうするかだ・・・他にもウリエルさんが連れ戻しに来た場合も・・・


紗綾

「ねぇ、もし勇輝や美樹が連れ戻しに来たらどうする?」


真理

「うーん、帰る選択肢は無いかな・・・」


紗綾

「だね・・・でさ、普通に帰らないって言ってもダメだと思うけどどうする?」


真理

「かくなる上は・・・斬る!」


紗綾

「ちょwそれどうなの?」


真理

「冗談だよぅ・・・でもさ、こっちで持ってる情報あげれば・・・」


紗綾

「それしか無いか・・・」



????

「それは困りますね・・・」


聞き覚えのある声に私と真理はギョッとして振り返る。

そこには、翼こそ無いが、フードを深々と被ったウリエルさんが立っていた。


ウリエル

「折角見つけた勇者の優良株を潰されては困りますね・・・そうだ、貴女達はSKBEに囚われ拷問の末殺されてしまった事にしてしまいましょう。」


今までのウリエルさんと違い、顔が怖い・・・

そして、ウリエルさんを中心に異空間が展開され私達を取り込んだ。


真理

「結界?!閉じ込められた?!」


真理が動揺している。

この夜の様な空間には見覚えがある。そうあの忌々しい黒歴史の1ページで、双子の邪神の片割れ、ラズロットが私を閉じ込めるために街一つを隔離した結界そのものなのだ。

ということは・・・


紗綾

「ぬかったわね・・・この空間・・・厄介よ」


私が槍型のペンダントを変化させた魔槍”ブラディアンa”を構える。

それを見た真理も同じように魔杖”ソルブレックEX”を構えた。


ウリエル

「ほほう・・・この大天使と戦うつもりですか・・・愚かな」


相手は大天使、確かに無謀で愚かだよ・・・

でも、諦めて殺されるよりは無駄でも抵抗したいって思うじゃない!

倒さなくていい・・・時間を稼いで邪神達が気付いてくれるのを待てば・・・


ウリエル

「時間を稼ぐつもりでしょうが・・・そんなに持ちますかね?」


来る!そう思った瞬間私達は何かに跳ね飛ばされた。

ウリエルさんを中心に光の波が広がったように見えたので、それに跳ね飛ばされたようだ。

何とか立ち上がるが、全身が痛い・・・

真理も杖に捕まり何とか立ち上がったが、もう立っているのがやっとといった状態だった。

怪我はしていない・・・だけど・・・


ウリエル

「傷ひとつ無いでしょ?魂を傷つけましたから・・・」


そういう事か・・・

さっきの光の波で魂を直接攻撃したのか・・・

しかも、さっき見えたが、見えるのと避けられるのは別物である。

そう、見えた瞬間に直撃しているのだ、避けようがない・・・


ウリエル

「さて・・・裏切り者には消えてもらいましょう。」


裏切り者?何を言ってるの?

そもそも、嘘を吹き込んで戦わせようとしてただけじゃない!


紗綾

「嘘つき天使には言われたくない!」


私は、ウリエルが言い放った裏切り者という言い方が許せなかった!

平然と私達を騙しそしてそれに気付き反旗を翻すと裏切り者と罵る・・・

私の中にあった天使のイメージとは異なり醜悪で自分勝手な存在・・・

どう見てもこの天使は、神聖なそれではなく中世ヨーロッパの高慢な貴族イメージそのものである。


ウリエル

「ふん、そこで反省の一つでも見せて頂けたら、温情をと思っていましたが・・・」


ウリエルが私達に手をかざし、その掌に光が収束していく・・・

どうやら、ほとんど動けない私達にトドメを刺すつもりのようだ・・・

まだ動ける私は、真理を守るように前に出て魔槍”ブラディアンa”を構える・・・

防げない事は解ってる・・・だけど立っているのがやっとな真理を見捨てて避けるのは論外・・・

いや、その前に避けられない・・・


真理

「紗綾・・・逃げ・・・」


紗綾

「逃げられると思う?」


真里は私に”逃げろ”と言いかけたが、それを邪魔するようにその選択肢を潰す。

例え逃げられても、ここで逃げたら後で絶対に後悔する・・・一生後悔するのは嫌!

なら・・・


紗綾

「私が壁になれば一発は防げるかもね・・・」


真理

「っ!そんな事したら・・・」


紗綾

「運良きゃ生きてるでしょ?」


犠牲になろうと前に出る私を止めようとする真理に構わず、投げ遣りな答えと共に防御体制をとりつつ前に出る。

そんな事したら死んじゃう?解ってるよ・・・でも後悔するよりはマシだから・・・


ウリエルの掌に収束した光が放たれ、私達に迫る!

私は目を閉じ、そして次の瞬間を待った・・・結果は解ってるけど・・・


ガキィィィィン・・・


しかし、その結果は予想外だった・・・

耳を劈く様な金属音に驚き目を開けた私の前には、ウリエルの放った光を魔剣”ゾディークV1”で弾き飛ばす神奈さんの姿があった。


光を弾き飛ばすって・・・


紗綾

「物理法則完全に無視かい!!」


思わず全力でツッコミを入れてしまったが、命を救われた事は間違いない。


神奈

「満塁ホームラ~ン♪」


だがしかし、何か色々ぶち壊しになった気がするのは私だけだろうか?

なんだよその”満塁ホームラン”って緊張感ゼロですか貴女は!

だけど、さっきまで余裕の表情だったウリエルの顔に焦りが伺える・・・

もしかして、お姉さんめちゃくちゃ強い?


神奈

「もー!ここは”馬鹿な!この私の魔球が!!”って言う所でしょ!!ノリ悪いなぁ・・・」


・・・だが、非常に頭は残念なことになってる気がする・・・

てか、さっきまでのシリアス返せ!!




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