第57話 働けニート!!
◇◇◇夢◇◇◇
私は部屋の隅っこでいじけつつ、双子達とファラの会話に聞き耳をたてていた。
その会話の中で判った事が幾つかあった。
まず、双子達とファラの関係についてだ。
ファラは元々この世界シャールで獣人達が産まれる切っ掛けを作った始祖様として崇められ、ファラ教というイスラム教チックな宗教の御神体として扱われていたそうな。
ある時、十字教会の派遣した十字軍がシャールに攻め入りファラ教を弾圧したり獣人達を奴隷としたりしながら侵略し、大変な事になったそうな。
そんなとき、SKBEが武力介入してシャールの解放に力を貸した。
そして、その武力介入のきっちりを作ったのが双子達だったようです。
何でも、たまたまこの世界に遊びに来たときに、ファラの隠れていた神殿に侵入し、色々あって仲良くなったそうな。
そして、ファラの置かれた状況を知るや否や、暗黒神殿を通してSKBEに武力介入を要請した結果、今のシャールがあるそうで、ファラと双子達の友情の証しなんだとか・・・
ツッコミ所が多すぎて、何処からツッコミ入れれば良いか分かんないよ!
ギリシャ語神話より酷いよこれ・・・ほぼ双子達の思い付きで戦争始まっちゃてるよ・・・
まぁ、奴隷化政策の被害者の獣人達が助かってるからあんまり言えないけどさ、〃お友達がやられたからやった奴をぶちのめします〃って完全に子供の喧嘩じゃん。
それは置いといて、そんなこんなで双子達とファラは親友なんだそうです。
御神体同士が親友なら、宗教戦争にならないよね・・・双子達とファラが喧嘩する事無く末長く親友で居られる事を切に願うばかりです。
だってさ、プリンが原因で宗教戦争とか、コイツらなら普通になりかねんし・・・何と危うい平和なんだろう。
黒剣士ってもしかして、コイツらの宗教戦争ストッパー?マテマテ、私はそんな責任負う気は無い!
てか、止められる自信がないです。
次に、十字軍の現状ってことで、勇輝達がターランの宮殿を襲撃ついでに爆破テロをかますまでは、私達が通ったサルカイ沙漠に隣接するジマラ山脈に点在する拠点に潜伏していて、時折破壊工作やテロ攻撃を行っていた。
んで、今ジャールのほぼ全域を統治しているカ・シャール王国は、面倒な掃討戦に対して消極的だった。ちなみに、カ・シャール王国のカ・シャール王家はファラ教の守護者だったりする。
話は戻るけど、十字軍の残党達にはそこまで大規模な損害を出せる力は残ってなかったようで、〃何か起こしたときに襲撃部隊を壊滅させればいずれ居なくなるんじゃね?〃て感じで対応してたそうです。
実際に時間と共に襲撃やテロ攻撃が減って来ていたそうです。
確かに、兵士の補充が絶望的ならじり貧に成るでしょうね。
しかし、残念な事にその現状を打開する存在が現れてしまった。
そう、勇輝達勇者様ご一行です。
結果、ターランの王宮で9.11的な大惨事を引き起こされ状況が一変、SKBEが再び武力介入し十字軍の残党のお掃除を始めた結果、現在ジマラ山脈の拠点に籠城中と・・・
完全に自滅だよね。いや、王宮襲撃テロとか列車襲撃とかでいろんな人巻き込んでるから自滅より性質が悪いです。
もう勝てないなら降伏するかせめて集団自決にして頂きたいです。巻き込まれがメンドイです。
あの事件以来アイドル扱いで大変なんです!
私の平穏なぐーたらライフを返せと言いたいです。
んで、最後に何故双子達はファラに挨拶しに来たか・・・
双子達曰く〃勇者が来たら黒剣士に殺らせるから邪魔しないでね♪(要約)〃って事らしい・・・
えーと、メンドイです。
できれば他の方に・・・て言ってみたら〃普通に迎え撃ったら死傷者イッパイでるけど良いのかな?(要約)〃って言われた。
酷いです、罪悪感を煽ってニートを強制労働させるスタイルです。
良心を抉りながら無理やり嫌な事をさせるなんて外道の極みです。
〃鬼!悪魔!〃って罵ったら〃だって邪神だし〃って開き直られました。
てな訳で、ゲンナリした状態で謁見の間を出る事になりました。
最悪な気分です・・・どれぐらいかというと、これからシベリアに送られるぐらい最悪な気分です。
夢
「は・・・働きたくないでござる・・・」
リズロット
「諦めてキリキリ働くのだ♪」
ラズロット
「普段食っちゃ寝してる分働くのです♪」
夢
「鬼・・・」
ラズロット&リズロット
「鬼じゃなくて邪神なのです(なのだ)♪」
夢
「よけい悪い・・・」
悪い双子の邪神がニートの私に働けと言っています。働くの嫌です、泣きたいです。