第54話 ドSな優しい娘
◇◇◇夢◇◇◇
サラマド神殿は獣人の始祖〃ファラ〃を奉る神殿で、獣人達が信仰するイスラム風の宗教における重要な聖地のひとつである。
そして、サラマド神殿駅はそのなの通り、サラマド神殿の中に作られた立派な駅である。
ちなみに、この駅で降りる場合は、改札でお布施が必要となるみたいです。
だから、神殿内に駅を作っても文句を言われないんですね。
信者は聖地に行きやすくなり、神殿は降りる為のお布施とお参りの為のお布施でウハウハ、SKBEは旅客の安定した路線を手に入れることができるという誰も損をしない図式が・・・こういう上手い具合の商売ができるからSKBEは予算が有り余ってるんですね♪納得。
そして、私は双子達と一緒に謁見の間に向かっています。
理由は、始祖〃ファラ〃に双子達が挨拶しに行くのでそのお付きです。正直面倒です、お留守番の紗綾と真理が羨ましいです。
あと愚姉は、兵隊さんっぽい人と一緒にどっか行きました。何か忙しそうな雰囲気だったのでザマァって思いました。
それはそうと、神殿内だというのに、SKBEの兵隊さん達があちこち警備していて物々しい雰囲気です。
よく見ると、その兵隊さん達の制服には列車砲の絵柄にⅠの文字が書かれたワッペンが付いています。
ラズロット
「ワーグ元帥の第1列車総隊っぽいですね・・・」
第1列車総隊?なんですかそれは?
リズロット
「SKBEの軍隊は、第0から第7の8つの列車総隊があるのだ。」
ラズロット
「8つの軍隊があるって思えば良いのです♪」
え~と、それはひとつの列車総隊がひとつの軍隊規模って認識で合ってる?
リズロット
「正解なのだ♪」
そりゃチートと言いませんか?
最初にスノウ君から受けたレクチャーで、国家規模を超える兵力を持っているっていうのは聞いてたけど、ここまで大規模だったとは・・・
ラズロット
「この前のテロ襲撃事件の影響で、第1列車総隊の司令官直轄列車隊と第3列車総隊の司令官直轄列車隊がシャールに展開中なのです。」
双子の説明では、911で本気で戦争モードになったアメリカ的なノリで、ジマラ山脈にある十字軍の拠点を絶賛攻撃中と・・・
でもさ、列車襲撃の時の話だと勇輝達の妨害で上手くいってないんだよね?
リズロット
「どうかの、第3列車総隊司令のヴェネ元帥は慎重派で、最低限の結果が出せれば無茶をしないのだ・・・」
あれ?ヴェネってもしかしてこの前会ったロリビアンのお姉さん?まっさかぁ、あんなのが司令官なわけ・・・
ラズロット
「その変態ロリビアンがヴェネ元帥なのです♪」
え?嘘だよね?
リズロット
「ここで嘘言っても面白くないのだ♪」
冗談抜きであの変態ロリビアンが司令官だったようです。この組織の行く末が非常に心配になりました。んで、その変態ロリビアンのヴェネ元帥は慎重派なので、最低限の戦果が出た時点で無理はしないって事みたいです。恐らく拠点を潰せなかったが勇者を一時的に戦闘不能にできた段階で最低限の戦果を出したって判断してさっさと撤退しちゃったんでしょう。それは多分、SKBEとして次の攻撃手段があるから無茶をする必要が無いって事だと思うんだけど・・・
ラズロット
「正解なのです♪第3列車総隊司令のヴェネ元帥は手柄の為に無茶な攻撃をして損害を受けるより、第1列車総隊司令のワーグ元帥に任せた方が結果的に少ない損害で勝てるって判断したですね。」
リズロット
「勇者が動けないなら、ワーグ元帥が準備中の中距離弾道弾が攻撃前に潰される心配が無くなるのだ♪」
ヴェネ元帥って実は凄い?
って言うのも、普通なら手柄の為に無理してでも攻撃するのに、最終的な被害を計算して動いてる。
何か、こういう組織の場合って幹部同士が手柄を奪い合うってイメージだったからちょっと意外でした・・・が、そんな事より、何か物騒な単語出てきた!
某北の半島国家のお陰で、中距離弾道弾ってもう核弾頭積んで打ち上げる核ミサイルのイメージしか無いんですが・・・ノドンとかノドンとかノドンとか・・・
ラズロット
「今回はNBC系の弾頭は使わずに大量の通常弾頭の雨が降るだけだから安心なのです♪」
リズロット11
「ちょっと山脈の広範囲が耕されて地形が変わるだけだから安心なのだ♪」
うん、NBC(N:核 B:生物 C:科学)系の弾頭が使われない事意外に安心する要素がありませんけどね・・・
まぁ、リトナ君達の世界が放射能汚染やらバイオハザードやらで大変な事にならないだけでもマシかな・・・
後は、勇輝と美樹だけども、絶対に死なない気がするし・・・死んだとしてもそれは、勇輝達の自業自得で私のせいじゃない。
とりあえず、頑張れって心のなかで哀れみ2割、ワクテカ8割で応援しておくよ。
きっと、私の期待を裏切らないお笑い劇場が展開されると思うからね。
ラズロット
「夢たんって・・・」
リズロット
「ドSなのかの?」
失礼な!敵の筈の勇輝達を陰ながら応援する優しい私をドS認定するなんて!
ちょっとだけお笑い劇場になるのをワクテカしながら待ってる位は許される筈です。
ラズロット
「鬼なのです・・・」
リズロット
「鬼畜の諸行なのだ・・・」
ええい!うるさい!黙れ!
誰が何と言おうと、私はとっても優しい娘なんです!異論は認めない。
と、双子達とじゃれてたら、神殿の謁見の間に到着致しました。
緊張感?そんな物を初めから期待されても困ります。てな訳で、双子達に続き謁見の間に入ります。