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第48話 無謀と慎重

◇◇◇勇輝◇◇◇


無人戦闘機を1機また1機と叩き落として行くが、それより多くの味方の魔法兵が機銃掃射で次々と肉片にされていく。

幾ら敵を倒しても、無人なので敵は1人の犠牲者も出ない・・・

僕達の被害だけが増えていくだけだ。

無意味に思えてくるがひたすら無人戦闘機を倒し続けるしかない・・・不公平すぎるし理不尽だと思う。



その時、ゴォォォォという轟音と共に、炎を吹き出しながら飛翔する翼の生えた筒状の物体・・・ミサイルが幾つも拠点に向かうのが見えた。


不味い、あれが拠点に着弾したら大変な事になるのは何となくだが分かる。

なら、あれを先ずは落とさないといけない!


僕が急いでミサイルに向かおうとしたら、無人戦闘機がそれを阻む様に機銃掃射を浴びせけてきた。

それ構わず、障壁を展開し突き進みそして・・・


勇輝

「うおりゃぁ!いっけえぇぇぇ!!」


夢がやった衝撃波を飛ばす技を見よう見まねだが、やってみた。

力任せに振り抜かれた剣先から、特大の衝撃波が打ち出され、ミサイルの半分を吹き飛ばした。


しかし、次の瞬間、限界を迎えた障壁が、パリンという音をたてて消滅し、数発の銃弾が僕の体にめり込んだ。


勇輝

「ごぶっ・・・」


鉄の味のする嘔吐物が口から吐き出され、焼ける様な傷みが全身を駆け抜ける。

銃弾は腹部に命中したので、内臓はメチャクチャになっていると思う・・・だけど・・・


勇輝

「もういっぱつ!!」


ガラガラの声で、叫び痛みを堪え、気合いで第2撃を放った。さっきよりも大きな衝撃波が残りのミサイルを飲み込んだ。


やった・・・だけど、それまでだった。

さっきの一撃を最後に力が全く入らないし、意識も朦朧としてきた。

視界に、機銃掃射で僕を仕留めようとする無人戦闘機の姿が写った。

しかし、もうどうにもならない・・・ダメか・・・


そう思ったとき、その無人戦闘機が吹き飛び、身体を誰かに抱き抱えられた。


美樹

「バカかお前は!なんであんな無茶するんだ!」


どうやら、美樹が助けてくれた様だ。

こんな状態で不謹慎かもしれないが、目に涙を溜めて必死に呼び掛けてくれる彼女の顔が、とても可愛く見える。

変だなぁ、美樹はちょっと苦手だと思ってたのに・・・何でこんなに可愛く見えちゃうんだろう。

でもさ、もう助かる気がしないんだよ・・・

とりあえず、謝った方が良いかな?


勇輝

「ごめん・・・ちょっと助からないかもしれない・・・」


僕のその言葉を聞いて、美樹が僕を抱き締め、大声で泣き出した。

本当にごめん・・・


そして、僕は意識を手放した。



◇◇◇ヴェネ◇◇◇


ミューア

「グングニルは全て勇者に撃墜されましたが、その際に重症を負った模様です。敵は拠点まで後退中、もう1人の勇者も追撃して仕留めますか?」


ヴェネ

「深追いは怪我の元よ、魔法兵器の対空攻撃と連係されると厄介だからね・・・」


そこで下がられちゃうと、速度の遅い巡航ミサイル(グングニル)を撃ち込んでも魔法兵に迎撃されるし、無人戦闘機ベルゼブを出しても魔法兵器の対空砲火の餌食になるし・・・


魔法兵を引きずり出しつつ撃ち込んだ巡航ミサイル(グングニル)が勇者に全部やられたのが痛いわね・・・まぁ、向こうは補給もろくに出来ない状態でこっちは補給し放題の物量チートだから無理に攻める必要もないわね。

何より、こちらはほぼ無傷で勇者の1人に重症を負わせた・・

当分は行動不能になると見て良い。これだけでも十分な戦果だし、欲張って損害を出しても面白くない。なら・・・


ヴェネ

「我々は、一切の人的な被害を出さず勇者の1人をしばらく出てこれない状態にできた。十分過ぎる戦果よ!このまま下がって、ワーグ元帥に残りは譲りましょう。」


ミューア

「よろしいのですか?折角のチャンスなのに・・・」


ヴェネ

「チャンスはピンチの振りをしてやって来る、その逆もしかり・・・欲張るとろくな目に遭わないわよ♪」


ミューア

「了解しました・・・全部隊に伝達・・・〃状況終了、撤退せよ。〃」


ミューアちゃん不服そうね・・・

この状況ならチャンスに見えちゃうものね・・・

でも、騙されちゃ駄目よ、これは消耗戦へと誘う罠、熱くなって攻めれば泥沼に足をとられる。

だから私は、遠回りする形になっても石橋を叩いて渡る道を選ぶの・・・


ミューアちゃんは優秀だけど、熱くなって突っ走っちゃう傾向があるから、そこは少し気を付けて欲しい所ね。

まぁ、口では教えないわよ♪こういうのは自分で感じ取って得る直感的なものだし、何よりミューアちゃんを教科書通りにしか動けない融通の利かない娘にしたくないから・・・


ミューア

「どうかなさいましたか?さっきからにやけ顔で・・・」


ヴェネ

「フフ、はやくミューアちゃんが私みたいに育たないかなって♪」


ミューア

「私はセクハラ変態司令官になるつもりはありませんよ。」


痛い!ミューアちゃんの言葉の刃が痛いわ・・・

セクハラ変態司令官とか酷くね?

ちょっと愛情表現で乳揉んだり、お尻さわさわしたりしただけじゃん!

あ、そっか・・・この前、お股をまさぐっちゃったのが原因ね!きっとそうね、そうに違い無いわ!

さすがにちょっとやり過ぎたかなって思ったけど・・・


よし!次からはそれは自重しよう!


私が強い決意の元、セクハラを自重(?)する決断をする最中さなか、戦闘列車の群れは進路を変更し、ワーグ元帥の第1列車総隊が展開中のサラマド神殿に向かうのであった。


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