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第43話 仲直り

◇◇◇TV◇◇◇


女性キャスター

「カ・シャール王国で爆破テロが発生、死傷者多数です。」


男性キャスター

「昨日の夜、カ・シャール王国王宮に十字教会の勇者を名乗る3人組が押し入り、王宮内を荒らし回り、爆破し逃走しました。王国政府の発表では少なくとも67名の死傷者がでました。」


女性キャスター

「襲撃したうちの女性1名が偶然居合わせた黒剣士と呼ばれる暗黒神殿の特殊な兵士に取り押さえられましたが、残りの2名は逃走しました。また、食堂での晩餐会に出席していたラタナ・カ・シャール姫殿下とリトナ・カ・シャール皇太子殿下が襲撃を受けましたが、その場に同席中の別の黒剣士の活躍により姫殿下と皇太子殿下双方とも無事でした。」


男性キャスター

「怖いですね・・・所で、先ほど記事にあった、黒剣士というのは?」


女性キャスター

「こちらのテロップをご覧下さい。」


守崎 神奈と守崎 夢の写真が貼られたテロップをキャスターが取りだし・・・


男性キャスター

「可愛らしいですね。顔が似てます、がご姉妹ですか?」


女性キャスター

「そうなんですよぉ・・・しかも、お二人とも戦車を両断できちゃったりとか、本当に強いんですよ!憧れちゃいます!」


男性キャスター

「ははは、これからは女性も強くある時代ですからね・・・それより、この件に関しての王国政府の発表をお願いします。」


女性キャスター

「今回のテロ行為に対し・・・・」


◇◇◇夢◇◇◇


朝のニュースが大惨事です。

何か愚姉と私の写真がどのチャンネルでも繰り返し出てきます・・・ナンダコレって心境です。

可愛い姉妹だとか、ファンクラブがどうとか、ぶっちゃけどうでも良い内容ばっかりで、非常に中身のない残念な特番ばかりです。

何でしょうか、今回の一件で私と愚姉をアイドルみたいにしたい人達が居るようですね。

んで、勇輝達は危険なテロリストに仕立ててあげようとしてる感じです。


後、SKBEの総帥・・・確かフラウ=ラッテって言ってたかな。スノウ君位の子供みたいな姿でしたが・・・

その人が記者会見で、


〃十字教会は我々が掲げる種族民族を越え共に歩み平和を築く思想に対し、天使や人間中心の暗黒時代に逆戻りさせようとしている。我々SKBEはこれを絶対に許す訳にはいかない。そして、各地で行っている聖戦と称したテロ行為に対し毅然として立ち向かわなければならない!今この瞬間をもってSKBEは、十字教会をテロ組織と認識し徹底的に排除する行動を開始する事をここに宣言する。〃


って言ってました。

要約すると、SKBEの総力を揚げて十字教会を叩き潰すって事みたいです。

たぶん、十字教会が昨日みたいな大惨事を引き起こすのを、今か今かと準備万端の状態で待ち構えていたんでしょうね。


それはさておき、今私は王宮の医務室にて負傷者の手当てをしております。

怪我した人に回復魔法をかけて治療するだけの簡単なお仕事なのですが・・・

何故に私が労働に勤しまねばならんのですか!

私は惰眠を貪るニート生活をしたいんです!

それなのに・・・

この惨状を作り出した美樹には軽い殺意を覚えつつ目の前に座る給仕のおばあちゃんに回復魔法をと・・・何か感謝されて手合わせられたよ・・・


助手おばちゃん

「はい、次の人。」


ちょwおまw何勝手に何してくれてんの!あんた助手だろ!

さっきから我慢してたけど、一人につき30分以上の休憩を頂きたいです!


「休憩・・・」


助手おばちゃん

「まだ怪我人が大勢います、頑張って下さい。」


何という事でしょう、この助手、更に私を過酷な労働で酷使する気満々ですよ・・・そろそろ本気で泣くぞ!


「うぅ・・・」


助手おばちゃん

「はいはい、ウソ泣きは良いから手を動かして。」


問答無用でウソ泣き認定とか酷くね?

もう何しても無駄っぽいから、手を動かすけどさ!

私のが偉い筈なのに何なのこの状況・・・


助手のおばちゃん

「はい、次の人」


うぐ・・・泣くぞ!本当に泣くぞ!


助手おばちゃん

「はいはい、手は休まない。」


うぅ・・・私はこれでも黒剣士なんだぞ!とっても偉いんだぞ!ぎゃおー!!


助手おばちゃん

「頑張って、黒猫剣士さん。」


うわぁぁん!おばちゃんなんて嫌いだぁ!!


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


泣きながら、20人くらい治療したところで一段落となり、やっと開放されました。

過酷な労働でした。たぶん私はシベリアでもやっていける気がしてきた!


とりあえず、ゆっくりできそうな場所を探して王宮内をとてとてと探していると・・・


紗綾

「あの・・・夢・・・」


うわ、何でこんな時に会いたくも無かった紗綾に遭遇してしまうんですか?

私は誰にも会ってない、誰にも会ってない・・・


紗綾

「ちょっと!なんでスルーするの!」


ちぃ、見なかった事にして素通りしようとしたのに・・・話し掛けんなよヴォケ!!

仕方なく・・・あ、違う嫌々、紗綾の方をジロリと睨む。

酷い?だって口も利きたくないんだもん!


紗綾

「あの・・・私は謝りたいの!夢をそこまで追い詰めるつもりなんて無かった・・・って言ったら言い訳になっちゃうけど・・・本当にごめんなさい!!」


本気で言ってる?

死んだんよ私は・・・それをごめんで済むと?

私を自殺に追い込んだ事が許されると?

んな訳ないでしょ!


「許さない・・・不愉快だから消えて・・・」


視界に貴女が居るだけで不愉快だからさっさと何処かへ行って下さい。

私は、貴女を許す気も無いし、貴女に関わる気もありません。

二度と会わない方がお互いの為だと思いますよ。


紗綾

「簡単には許して貰えないよね・・・でも、私は貴女に許して貰えるまで謝り続けるから・・・何でもするから・・・だから・・・」


何でもするから許して下さい・・・と。

何でもする?本当に?二言は無い?

分かったよ、それじゃあやってもらいましょうかね!

できないとは言わせないよ!


「じゃあ・・・死んで見せて・・・」


できないよね、紗綾!絶対にできないよ!

自分命断つのってすごく怖いんだよ!

死ぬほど追い詰められな限りできないんだよ!


紗綾

「そうしたら・・・許してくれる?」


え?

何行ってるの紗綾・・・


紗綾

「分かった・・・」


ちょ・・・ちょっと!何刃物取り出してるの!

普通没収されてるでしょ!衛兵の奴等仕事しろ・・・って何で自分の首に?!


紗綾

「今・・・やるから・・・見ててね」


何をやろうとしたのかようやく気付いた私は、慌てて紗綾の持っていた刃物を取り上げた。

何で、躊躇なくこんこんな簡単にできるんだよ!

私は、怖くて躊躇して迷ってそれでも怖くて・・・一番痛くなさそうな方法を選んでようやくだったんだよ!

それを迷わずやるとか、バカじゃないの!


紗綾

「返して!それがないと!夢に許して貰えない!」


「返さない!」


紗綾

「返して!!」


取り上げた刃物を取り返そうと、紗綾が飛び掛かってきた。

私も渡す訳にはいかないので、刃物の奪い合いの揉み合いになってしまった。

どうやら、〃自ら命断つ = 私が許す〃という方程式が紗綾中で出来上がってしまったようです。

どうしてそうなるの!


紗綾

「死んで見せたら許してくれって言ったの夢じゃない!何で邪魔するの!」


・・・そうだよね・・・私があんなこと言ったからだよね。

分かってるよそんなの!

もう死ねなんて言わないから、仕返しに色々酷い事した事も謝るから・・・お願いします!正気に戻って下さい!

貴女が死んじゃったら、私も同類になちゃうじゃない!

私を自殺に追い込んだ奴等と同類に・・・

なりたくないよそんなの!


紗綾

「夢?何で・・・泣いてるの?」


「え?」


言われて初めて気が付いた。

私の目から涙が止めどなく溢れきてた。

どうしてだろう、さっきまで紗綾の事を死ねば良いって思ってたのに・・・何で今は死んで欲しくないって思ってるの?

あ・・・そうか・・・さっきまで私は自分の事しか見えて無かった・・・だから紗綾の痛みが見えて無かったんだ。

だから、平気であんな酷い事もやれちゃった・・・

私は、被害者だったはずなのに、いつの間にか加害者になってた・・・被害者だからどんな仕返ししても許されると思ってた・・・最低だよね・・・いつの間にかあいつらと同じ事して紗綾を自殺に追い込む所だった。

でも、その一歩手前で気付いた・・・だから死なないで!


「ごめん・・・なさい・・・」


紗綾

「何で夢が謝るの?謝るの私だよ?」


「でも・・・私も酷い事した・・・だから・・・」


紗綾

「じゃあ、私もごめんなさい・・・」


紗綾が頭を下げて右手を差し出した。

私はその手を握り締め、


「こっちこそ、ごめんなさい・・・」


頭を下げた。

何故か分からないけど、紗綾と仲直りして心の中のイガイガが無くなった気がする。

あの時は、あいつらが鬼か悪魔みたいに見えてたけど、普通に痛みを感じる人間だったんだ・・・

だったら、怖がる必要も怨む必要も無いよね。

よし、それなら他の奴等とも和解って言ったらちょっと固いかな・・・仲直りできるようにちょっと頑張ってみよう。


何だろう、めっちゃ前向きじゃない私!

何か明日は明るい気がしてきたよ。

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