第37話 晩餐会と浸入者
◇◇◇夢◇◇◇
晩餐会には、私とラズとリズそしてラタナお姉さんとリトナ君が出席しております。
ちなみに、リトナ君は、現在不在の国王の直系の長男で、次期国王の最有力候補なんだそうな・・・ヤベ、次期国王の王子様のお耳ふにふにしちゃったよ・・・
後、愚姉は安定感のあるバックレをかましやがってくれました。
後で弁慶に思いっきり蹴りを入れて制裁しておかないとね♪
それはともかくとして、さっきのお耳ふにふにの件でちょっと気まずい空気というか、会話がありません。
仕方が無いので、私は黙々と料理を口に運んでおります。かなーり美味しいので、会話が無い気まずい空気はこの際無視して料理を楽しむ事にしましょう。
そう考えてた所に・・・
兵士
「報告致します!勇者と思われる3名、予定通り正門よりの浸入を確認致しました。これより正門の警備体制を元に戻します。」
リトナ
「宜しくね。後予定通りに攻撃を開始して、通常兵器がどこまで勇者に通用するか試してみたいから。」
兵士
「了解しました!」
リトナ
「後、兵士に絶対に無理させないように、データが取れれば十分だから、危なくなったら直ぐに退かせてね。」
兵士
「有り難きお言葉感謝致します!」
兵士はそう言いながら敬礼して戻って行った。
勇者って事は、勇輝達だよね・・・紗綾を助けにでも来たのかな?
懲りない奴等だねぇ・・・でもここで残りをぬっ殺しちゃえば私のロングバケーション・・・
ラズロット
「夢たんはここで待機しつつラズ達の護衛なのです。」
Goddam!今そこに私のロングバケーションへの鍵があるのに・・・
リズロット
「まぁ、悲観せずここで待つのだ♪」
ラズロット
「果報は寝て待てなのです♪」
うーむ、まぁラズ達がそう言うんならここで何か起きるんだろうね・・・さっさとぬっ殺しに行きたいけどラズ達を信じて待ってみますかね。
◇◇◇勇輝◇◇◇
日が落ち街が闇に包まれたのを見計らい、僕達は王宮に忍び込んだ。
入口には機関砲を装備した装甲車が何台か居たが、幸いそれに気付かれることなく、怖いくらいに順調に潜入できている。
・・・筈だったのに、ある程度進んだ所にある広場に入った瞬間、待ち受けていたように激しい銃撃に晒されている。
引き返そうにも、入口の方からとんでもない数の銃剣を持った兵士がなだれ込んで来たので比較的敵の少ない王宮の奥に進むしかなかった。
幸いな事に、敵の銃弾は剣で弾いたり盾や障壁で防げているが、このまま攻撃が続けば疲労でいずれ動けなくなってしまうだろう。おそらく敵の兵士はそれを狙っている、その証拠に、敵の兵士達は間合いを詰めようとすると直ぐに退き、別の場所から兵士の集団が出現し攻撃を仕掛けてくる。
美樹
「とてもじゃないけど、この状態で紗綾を探すのは・・・」
勇輝
「言いたい事は解るが、引き返すのも無理だ!」
真理
「そんな・・・どうするんですか?」
勇輝
「大丈夫だ!逃げる手が無い訳じゃない!」
逃げる手が無い訳じゃない。
美樹の飛行魔法があればだが、だがここは建物の中だ・・・飛行魔法を使うには外に出なければいけない。
さっきの広場に戻れればそうしたいが、残念ながらそれは不可能だ、ではどうすかだが・・・
勇輝
「この先の階段から上の部屋に逃げてくれ。」
真理
「でもそれじゃ行き止まりに・・・」
勇輝
「そこで美樹が飛行魔法を使い窓から脱出する。」
美樹
「ちょっと待ってよ!あれは準備に時間が・・・」
勇輝
「その間は僕がここで敵を食い止めるから、ふたりは上の部屋に、準備が出来たら真理が僕に知らせれば一緒に逃げられる。」
美樹
「解った、行くわよ真理」
真理
「死なないでね」
真理がそう言った瞬間、
兵士
「今だ、催涙弾っってー!」
兵士
「全員マスク着用の後突入、かかれぃ!」
催涙弾が撃ち込まれ、視界を奪われ、不幸な事に美樹達と分断されてしまった。
敵を食い止める為に2人と距離を取ったのが仇となってしまった。
催涙ガスで視界が遮られ、自分が今どこにいるのかさえ解らない。それよりも、この咳や嘔吐感、目の痛みが合わさった苦痛の中では戦い所では無い。
この苦痛から逃れるため僕は、催涙ガスから逃れる様に、通路の奥へと走り出した。