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第31話 大爆笑、スプラッター劇場

◇◇◇紗綾◇◇◇


私は全力疾走で逃げている。

原因は、私を追いかけて来ている耐火服の変質者だ。

それも、〃SHO!SHO!SHOT!!HAHAHAHA!!!〃

とか意味不明の奇声を上げつつ、火炎放射器を乱射しながらだ・・・もう絶対に頭がイカれてる系の人だ・・・


しかも、何度倒しても直ぐに復活して追いかけて来るし、一体何なのあれは!


そもそも、あいつが突然消えたと思ったら、いきなり夜になるし、もと来た道も解んなくなるしもう最悪な状態だ。

何で、ホラー映画みたいな思いしなきゃいけないの?


とりあえず、重くて動きにくそうな耐火服を着た変質者より私の方が足が速いので、距離を離した所で路地を使い逃げ切る事ができた。


私は壁に寄りかかり乱れた呼吸を整えていた。

かなり長い時間を全力で走ったためなかなか上がった息が中々元に戻らない。


紗綾

「もうやだ・・・かえりたい・・・」


泣き言と一緒に、目頭に涙が浮かんだ。

その時、


ブィィィィンガリガリガリ・・・


壁をチェンソーで切り抜き、凶悪そうな顔をした細身のピエロが表れた。


紗綾

「ひぃ!来ないで!」


情景反射的に、槍を横にひと薙ぎしたら、細身のピエロの上半身と下半身が泣き別れになり吹っ飛んだ。

・・・が、直ぐに上半身がムクリと起き上がり不器用な笑い声を上げながら下半身の元に移動、ドッキングし元通りとなる。


紗綾

「うそ・・・また・・なの?」


さっきの変質者といい、このピエロといい、死なないって一体どういう事なの!

唖然とする私を他所に、細身のピエロはチェンソーを拾い上げ、エンジンを吹かしながらそれを振りかぶり、一気に降り下ろしてきた。


ガンっ


紗綾

「ひぎぃっ・・・」


迫るチェンソーの刃に気付き、慌てて槍の柄でそれを受け止めたが、物凄い力で私は吹き飛ばされ、背中から土壁に叩きつけられた。


紗綾

「ゲハッ・・ゲホッゲホッ・・・」


土壁に身体がめり込む程の衝撃を受け、胃のなかの物が込み上げ、嘔吐物として口から吐き出された。

そのせいで、まともに息が出来ず噎せ返り全身の力が抜けるが、何とか足を踏ん張り崩れ落ちず踏み留まった。


が、無慈悲にも次の攻撃が迫っていた。

とっさに姿勢を低くして、その一撃を避けると、チェンソーの刃は、私の身体の代わりに後ろの土壁をえぐり私の頭スレスレをすり抜けていった。


大振りの攻撃をしたため、細身のピエロの体勢が崩れ大きなスキができた。


紗綾

「げぶっ・・・来ないでって言ってるでしょ!」


込み上げて来る嘔吐感を噛み殺し、低い体勢のまま細身のピエロを蹴り飛ばした。

体勢を崩していたため、細身のピエロはそのまま後ろに転倒し、逃げられるチャンスができた。


私は痛みをこらえて立ち上がると、再び全力疾走を再会する。


もう嫌だ、誰でも良いから助けて・・・



◇◇◇夢◇◇◇


今私は、ポテチをぽりぽりはむはむしながら、紗綾が逃げ惑う姿を映し出すテレビ画面に釘付けになっております。

火炎放射器のおっちゃん、細身のピエロの襲撃を切り抜けた紗綾は、次の斧を持った太めのピエロの襲撃ポイントにさしかかりました。

下手なホラー映画より面白いです。しかも、追い詰められるのが大嫌いな紗綾なので尚更です。


紗綾

「きゃっ・・・いきなりなにす・・・ひぃ!やめ・・・いやぁぁぁ!」


どうやら、小太りのおっちゃんピエロは、紗綾を発見するなりフルスロットルで襲い掛かったみたい・・・

巨大な斧を振り回し、途中にある障害物を粉砕しながら追撃しております。

あれは冗談抜きでおっかないです・・・私も遭遇したら間違いなく裸足で逃げ出す・・・いや、全力疾走で自己ベスト更新できる位の速度で逃げる自信があります。


それはさておき、さっきまでの2人と違い、小太りのおっちゃんピエロはかなーり粘着質な追い詰め方してます。

わざと一旦振り切らせ、逃げ切れたと思わせて油断してる所を襲撃する行為を繰返しているご様子です。

これは、いつ襲われるか分からない緊張感を与え続け、精神的に追い詰める手法っぽいです。

その証拠に、最初は逃げ切れたときに緩んでいた紗綾の表情が今では、逃げ切れた時ですら何かに脅えた良い感じのスプラッター映画顔になっております。


そのまま、ぬっ殺されてくれれば最高なのですが、今回は捕獲が目的なので生け捕りです。

非常に残念でなりませんが、紗綾の脅えきった最高の顔が視れたので良しとしましょう。

なお、この映像は録画されており、後でブルーレイに焼き焼きしてくれるとラズが言っておりました。

うん、紗綾の黒歴史の永久保存版だね♪捕獲した後で見せてイジり倒してやろう。


さてさて、場面はいよいよクライマックスです。

どうやら、精神的に追い詰められ続けた紗綾は、恐慌状態に陥り、たまたま放置されていたクローゼットの中に逃げ込み小さくなっております。

ちなみに、スプラッター映画では、〃クローゼットに隠れる=死亡フラグ〃となります。

その証拠に、紗綾の隠れているクローゼットの周りには、火炎放射器のおっちゃんとピエロコンビが集結しております。

しかも、わざと紗綾に聞こえる様に物音をたてながら周囲を絶賛大捜索中でございます。

クローゼットに隠れてガタガタ震える紗綾の様子は最高の絵になっております。

それにしても、クローゼットの中まで撮影できるって凄いよね。

さて、そろそろトドメのようです。震える紗綾の物音に気付いたという(てい)で、大捜索中だったスプラッタートリオが動きを止めました。

そして、足音をわざと立てながら、ゆっくりクローゼットに近付いて行きます。

紗綾はというと、極限の恐怖で目を見開いた状態で硬直している模様。これもまた良い感じの表情ですね。


細身のピエロ

「あひゃひゃひゃひゃ」


ブィィィィン


小太りのピエロ

「ふんっふんっふんっ・・・」


ガンっガンっガンっ


ピエロコンビがチェンソーと斧でクローゼットを破壊し始めました。当然、中の紗綾に当たらない様にしているようですが・・・クローゼットに隠れている状態で壁からチェンソーの刃やら斧の刃が生えてきたら、完全にパニックに陥りるレベルの恐怖です。


紗綾

「£&*@§#%£¢!」


そして、パニック状態の紗綾が、意味不明の叫び声と共に、クローゼットから飛び出してきました。


火炎放射器のおっちゃん

「HAHAHAHA」


ゴォォォォ


・・・が、その目の前には火炎放射器のおっちゃんが待機していて、火炎放射で威嚇!!


それがトドメになり、紗綾はその場でうずくまり〃ころさないでころさないでころさないでころさないでころさないで〃と言い続ける状態で戦闘不能となりました。


ラズロット

「さて、仕上げなのです♪」


その状況を確認したラズは私にプラカードを手渡した。

そのプラカードにはこう書かれていた。


〃ドッキリ成功〃



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