第23話 御神体(笑)
夢
「なに・・・これ・・・」
えーと、目の前の光景を一言で表すなら
〃鎮座する巨大なかき氷の山〃
だと思うんだけど・・・ゴメン目の前の情況に私の理解が全く追い付いていない・・・
まず、この現状に至るまでの過程を説明しよう。
とりあえず、不本意ながら、変態ロリビアン(ロリ専門のレズビアン)ヴェネさんの驚異から、愚姉に助けられた所までさかのぼる。
愚姉の話では、この建物は〃暗黒神殿〃で、双子の邪神の〃ラズロット神〃と〃リズロット神〃の御神体を奉る場所なんだそうです。
んで、その御神体の2人が私に会いたがっているので付いてくるようにとのこと・・・
面倒事っぽいので、拒否したい所ですが、自殺した筈の私を呼び出し、列車に乗せ、チート装備を与えた理由を聞きたかったので渋々ではありますが、愚姉に付いて行くことにしました。
そして、案内された祭壇の間が先程の情況となっていた次第です。
・・・てか、かき氷の山にかぶり付く御神体?と思われる2人、この前私の夢に襲撃かまして安眠妨害しやがった幼女ではありませんか!
まぁ、百歩譲って、この前の安眠妨害の件はスルーするとして・・・
この現状、絶対人を出迎える状態じゃないよね?
ちなみに、愚姉の方は完全に頭がフリーズして固まっております。
てか、何とかしろよ愚姉の職場だろう!
そうです、愚姉は何とこの御神体(笑)に仕える〃黒剣士〃なんだそうです。
黒剣士というのは、この御神体(笑)から特殊な装備を与えられた直属の護衛なんだそうです。
って事は、もしかして私を呼び出した理由って・・・
御神体L
「護衛として迎えるためなのだ♪」
御神体R
「神奈たんと違って、理解が速くて楽なのです♪」
そういや、この御神体(笑)は、思考を読めるんだったね・・・考えていることに突然答えられるのは心臓に悪いです。
まぁ、話さなくて済むので便利ではありますが・・・
御神体R&L
「ほうほう♪」
何か急に嬉しそうにしはじめたよ・・・なんで?
御神体R
「それは、ラズ達が心を読むのを嫌がらずに、便利って思ってくれたからなのです。」
御神体L
「夢たんは変なのだ♪でもリズは感動なのだ♪」
変かなぁ・・・便利だと思うんだけどねぇ・・・だって私、思ってる事を言葉にするの苦手だしね。
誤解無く気持ちが相手に伝わる点で素晴らしいと思う。
あと、右眼がスカーレット(御神体R)の方がラズロットで左眼がスカーレット(御神体L)の方がリズロットみたいですね。
それぞれの特徴的な喋り方と眼の色で見分ければ良いね。後は、自分を指す名称が、ラズロットがラズ、リズロットがリズになるっぽい。
ラズロット
「夢たん凄いのです!」
リズロット
「未だに間違える神奈たんとは大違いなのだ♪」
神奈
「え?夢は見分けられたの?!」
やはり安定の愚姉のようです。
てか、ちょっと注意深く見れば直ぐに気付くと思うんだけどねぇ・・・だから仕事クビになるんだよ。
まぁ、高校受験全て道に迷って遅刻する前代未聞の大記録を樹立した愚姉だから仕方ないか・・・
よくよく考えれば、ここで採用して貰えてる事自体が奇跡に思えてきた。
リズロット
「夢たん・・・容赦ないのだ・・・」
そうかなぁ・・・愚姉の諸行で苦労というか、生き地獄を味わった私には、それを〃殺る〃権利があると思う。
ラズロット
「やるは誤字だと信じたいかもなのです。
あ、それより夢たんは、ここで働いてみる気はないですか?」
働きたく無いでござる。
リズロット
「3食昼寝にデザートが付いてくるのだ♪」
・・・・・だ・・・だが断る!
ラズロット
「ラズ達が旅行するときに一緒に付いてくるだけの簡単なお仕事・・・」
夢
「・・・・・・・・・・・」
リズロット
「それ以外は、寝てるだけでもお給料・・・」
夢
「い・・・イヌとお呼び・・・ください(土下座)」
ラズロット&リズロット
「プライド捨てるのはやっ!」
双子が呆れてる・・・
でもさ、3食昼寝付きに旅行に同行するだけのお仕事でそれ以外の日はサボりたい放題!
何この私の為にあるかのような素晴らしい労働環境は・・・働いたら負けって思ってた私がバカだったよ。あ、そっか・・・だから愚姉でも勤まるんだぁ♪
ラズロット
「一応、神奈たんの名誉の為に言っておくです。」
リズロット
「神奈たんは、SKBEでもトップレベルの戦闘能力を持ってるのだ。」
神奈
「夢?ひょっとしてさっきからずっと失礼な事考えてた?」
ちっ、いくら天然の愚姉でも気づいたか・・・
まぁ、どうでもいけどね。
それよりも、とっても私向きなお仕事に出会えた事の方が重要です。
神様に感謝・・・てか目の前だし・・・雇い主だし・・・
それと、忘れてたけど最初のかき氷の山について聞いてみたら、
〃どれだけ食べたらお腹壊すか試してた〃
って答えが返ってきました。
・・・というか、神様だからお腹壊さんでしょ!
やっぱりアホだ、この御神体(笑)達・・・