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第14話 温かい鬼の親父さん

うー、目が覚めてから頭が痛いです・・・

何だか楽しくなって爆笑してた辺りから記憶がありません・・・一体何が起きたのでしょうか・・・

リアンさんに聞いてみたら〃飲み過ぎだドアホ〃って言われました。

何か少し怒ってるみたいです。

マスターさんは〃余り気にする事じゃない〃って言ってましたが、凄く気になります。


カラコロン


誰かお店に入ってきました。

どんな人なのかを確認した私は、びっくりして固まりました。

だって、真っ赤な皮膚に角を生やしたいかつい赤鬼のおじさんが、白いスーツ着てるんだもん。


リアン

「久しぶりだな、伽藍がらん


伽藍

「ガハハハハ♪久しぶりじゃねぇか。あん?そっちのガキは?」


「守崎・・・夢・・・」


伽藍おじさんの豪快な笑い声に圧倒されつつ、何とか自分の名前を告げる。

正直・・・恐いです。ナマハゲの鬼を見てトッラウマ植え付けられる子供の気持ちが何となく解りました。

取り敢えず、恐いのでリアンお姉さんの後ろに隠れて様子を見ましょう。


伽藍

「あーあ、嫌われちまったか・・・」


リアン

「お前の強面が原因だろうな」


伽藍

「ちげぇねぇ、ガハハハハ♪」


伽藍おじさんは、またもや豪快に笑いました。

何か、恐い顔ですが悪い人(鬼)では無いみたいです。


伽藍

「所で、何か用事か?」


リアン

「何、黒龍フィロンの英雄に挨拶にな」


伽藍

「よせやい、ほとんどお前さんが考えた事をやっただけじゃねぇか?」


リアン

「それをやれたんだから英雄だろ?」


伽藍

「かも知れねぇ、懐かしいなぁあの頃がよ・・・」


二人が楽しそうに話してます。

内容から察するに、黒龍フィロンの英雄が伽藍おじさんで、リアンお姉さんが考えた事を実行に移した結果、そうなったみたいです。

ちょっと二人の関係が気になります。


そう思った私は、隠れていたリアンさんの後ろから移動して、二人の間からひょこっと顔を出しました。


伽藍

「おう嬢ちゃん、どうした?」


すかさず、伽藍おじさんが声をかけてくれました。

ナイスタイミングです。これで質問しやすくなりました。


「二人の・・・関係・・・」


初対面の人は緊張しますが、何とか言えました。


伽藍

「なるほどな・・・よっしゃ!そんじゃ昔話と洒落込むか♪」


伽藍おじさん、話したいオーラが出まくってます。

お店に入って来たときのくたびれた感じが嘘のようで、とっても楽しそうです。


リアン

「しゃぁねぇな・・・面白いかどうかは保証しねぇがな」


リアンお姉さんも面倒くさそうにしてますが、話す事はまんざらではないようです。


リアン

「じゃぁ、昔話に入る前に、この街が今何で成り立ってるかを説明しておくか・・・」


と、リアンお姉さんが切り出し、お話が始まりました。


この黒龍フィロンという街は現在、十字教会の支配する地域にお酒を密輸するための最前線基地になっているそうです。

理由は、十字教会では飲酒を禁止する禁酒法を定め、酒造や販売、飲酒を厳しく取り締っているから、密輸して法外な値段で売れば、莫大な利益を生むとう事です。


何でしょうか、お酒の密造や販売で力を付けたアルカポネを連想しちゃいます。


そして、SKBEがこの街に大漁の酒類を運び込み、それをこの街の密輸組織が十字教会の支配地域に密輸するという関係になっているそうです。


確かに、SKBEとしては、お酒を密輸組織に売るだけで、敵対する十字教会に腐敗という損害を与えられる非常にコストパフォーマンスの良い破壊工作です。

ちなみにSKBEは、輸送料を上乗せした標準的な良心的価格で卸しているそうで、密輸による膨大な利益は全てこの街の密輸組織に入るそうです。

あと、それを牛耳ってるのが伽藍おじさんだそうです。


そして、何とその利益は、街のインフラの設備や、公共福祉なんかに使ってるそうで、色々な社会保障の資金源になっているそうな・・・実は見た目より良い街なんじゃねここ・・・


ちなみに、このシステムを提案したのがリアンお姉さん・・・やっぱりお姉さん凄いと思う。


ただ、このシステムを完成させるために、並々ならぬ苦労の連続だったそうです。

って事で、リアンお姉さんがここに来る前、ロゼルトウルという世界に住んでいた時代に坂のぼります。

ロゼルトウルは、リアンお姉さんみたいなヴァンパイアの王族が支配する世界で、ヴァンパイアとしての能力をほとんど持たない者への扱いが半端じゃなくヒドイそうです。

瞬敏さと怪力以外の力を持たない、お姉さんも例外ではなかったそうです。

そんな時に、麻薬の密輸でたまたま訪れていた次元飛空挺(次元を越えて飛行する船)に密航したそうです。


残念ながら、途中でその船の挺長だった伽藍おじさんに見つかり、摘み出されそうになったところを、必死に頼み込んで黒龍フィロンまで乗せてもらたそうです。

ちなみに、伽藍おじさんはその後も〃連れて来ちまった責任だ〃っていってリアンお姉さんの面倒をみてくれたそうです。

捕捉すると、リアンお姉さんの当時の外見は、私位の年齢だったそうです。〃年は?〃って聞いたら拳骨が降ってくるという、非常に理不尽極まりないリアクションを頂きました。


それは置いといて、もし伽藍おじさんが面倒をみてくれなかったら、売春宿に行くか、奴隷商人の人拐いに捕まるかしかなかったそうです。

・・・と言うのも、当時の黒龍フィロンは麻薬、売春、殺人、奴隷売買とありとあらゆる犯罪が蔓延る無法地帯だったからです。

ちなみに、リアンお姉さんが得意な跳弾を自在にあやゆる拳銃技はこの無法地帯を少女が生き抜けるよう伽藍おじさんが教えた直伝だそうです。


え?って事は、伽藍おじさんはあの巨体でリアンお姉さんみたいに自在に宙を舞いながら・・・うーん想像できん。


そして、リアンお姉さんは伽藍おじさんのお仕事である密輸の運屋を手伝うようになったそうな。


そんな、ある日リアンお姉さんが伽藍おじさんにある提案をしたそうです。


それが現在のSKBEを巻き込んだお酒の密輸事業だったわけです。

当時の伽藍おじさんは、〃そんな夢物語なんざ実現できる訳ねぇ〃って思ったそうですが、リアンお姉さんの熱意に負けて試しにやってみた所、これが大当たりの大成功だったそうです。

そして、あれよあれよという間に、他の仕事より儲かるって理由も手伝って他の事業を押し退け、この街を牛耳るまでになったそうな。

そして、住民の収入が安定すると犯罪も激減し、さらに伽藍おじさんがインフラ整備と福祉に力を入れはじめてからは、犯罪がほとんどなくなったそうです。


ああ、だから伽藍おじさんは英雄だったんですね。

恐い顔だけど実は心の温かい人だったみたい・・・

それは、この街もおんなじで、一見恐い街みたいだけど、血の通ったとっても温かい街なんですね。

うん、人も物も、見た目で判断しちゃ駄目って事だね。


そして、結論からすると、血は繋がって無いけど、伽藍おじさんがリアンお姉さんのお父さんみたいに思えるんだけど間違いないないかな?

何か、羨ましい・・・私のお父さんも伽藍おじさんみたいに温かい人だったら良かったのに・・・


まぁ、どうにもならないんだけどね。

そう思ってちょっと寂しくなってたら・・・


バンッカラコロン


勢い良く扉が空き、〃オヤッサン大変です!〃って声と共にヤクザ映画の定番の若い衆みたいな人が飛び込んできた。


伽藍

「なした?」


若い衆

「地下の操車場が襲撃されやした!」


リアン

「人数は?」


若い衆

「4人です姉さん!十字教会の奴みたいですがやたら強くてもう何人も・・・」


伽藍

「情報にあった7大天使が召喚した勇者かも知れねぇ・・・リアン、手ぇ貸せや!」


リアン

「あいよ!オヤジ!あと、夢!」


突然慌ただしくなったと思ったら、突然私に振られた。

当然予想外の展開に固まる私だったが・・・


リアン

「お前のゾディークV3の練習をする絶好の機会だから、一緒に来い!」


一緒に戦え的な雰囲気です。

ちょっと待って下さい!オンラインゲームの初心者の養殖の感覚で言わんで下さい。

確かに、この前貰った魔剣〃ゾディークV3〃はチートかもしれませんが・・・1度も使った事無いし、何より戦闘経験ゼロの初心者ですよ?


「私初心者・・・ゾディーク・・・使いこなす自信ない・・・」


リアン

「大丈夫だ、問題ない。」


大丈夫じゃない!大問題です!

てか、地味に古い死亡フラグ建てるな!殺す気か!


リアン

「ゾディークV3の性能とアクションサポート機能で押し切れっから♪」


「・・・わかった。」


つまる所、連邦の白い悪魔の初期戦闘的な事をやれって事ですね。

もう良いや、どうにでもなれ!!お姉さんが大丈夫だって言ってるんなら、きっと大丈夫なんだろうしね。


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