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第4話 妹2号

◇◇◇フルム◇◇◇



邪神に向かってナイフを投付ける事で、完全に私が敵だと判かる様にした。

そのお陰で、あの人がこっちに向かって走ってきた。


あの人は巨大な大剣を軽々と持っている・・・姉さまにそんな力は無かった・・・

やっぱり別の人だったんだ・・・


フルム

「期待させておいて・・・」


私の中で怒りが湧き起こり、その大剣を持った人にそれが向かう。

勝手な事だとは判ってるよ!でも・・・じゃあどうすればこの怒りを抑えられるの?


フルム

「消えちゃえ!ニセモノ!!」


私はそう叫び、その人に残りのナイフを投付けた。


しかし、その人は巨大な大剣をまるでその重さが無いかのような素早い動きで振り回しナイフを全て叩き落した。

バケモノだ・・・そう思った、これは戦っちゃいけない相手だと。

でも、生き残っても・・・あの粉の為だけに生きる事に何の意味があるのだろうか?


・・・それなら、いっそのこと・・・


私は、接近戦用に用意していた短刀を鞘から抜き、一気に間合いを詰め切り掛かった。

当然それは大剣に弾き飛ばされ、逆にその衝撃で私の体勢が崩れ大きな隙が生まれた。

やっぱりこうなるよね・・・分かってたよ。


さあ、後はあの人の大剣が私の身体を真っ二つにしてそれで終わり・・・それでいい、もう疲れた。

最後に姉さまソックリの人に殺されるから少しは幸せかな・・・


そう思いながら、体勢を立て直すことも無く、私は目を閉じ大剣に身体を引き裂かれるその時を待った。


しかし、私の身体は大剣に引き裂かれる事は無く、代わりに優しい何かに包み込まれた。


フルム

「な・・・」


慌てて何が起きたのかを確認し、唖然としてしまった。

私の身体が、あの姉さまソックリの人に抱締められていたのだ。


フルム

「な・・・んで・・・」


どうしてこうなったのか理解が全く追いつかない・・・


三編みの女性(神奈)

「あら・・・貴方の顔に"助けて"って書いてあったからついね♪」


な・・・私はそんな風に思ってなんか・・・

・・・って何私の匂い嗅いでるのこの人は!!


三編みの女性(神奈)

「腐った魚の様な匂い・・・ヘロインでしょ?」


何の事なの?ヘロインって・・・

もしかして、私の使ってる粉のことなの?

私は、ポケットから粉の入っている紙包みを取り出し、その人に見せてみた。


三編みの女性(神奈)

「その袋に付着してる茶色い結晶の様な粉末・・・間違い無いわね・・・どうしてそうなったか聞かせてもらえるかしら?話せば少しは楽になるかもしれないわよ?」


どうやら、私の使っているこの粉がこの人の言う、ヘロインというものらしい。

それにしても、話せば楽になる?何で姉さまでも無い貴方にそんな事話さなきゃいけないの!!


私は、抱き締めているその腕を振り払おうとしたが、その人は私を離さないと言わんばかりに更に強く抱き締めてきた。


この感覚・・・姉さまに抱き締められた時と同じ感じがする・・・何故なの?

貴方は姉さまじゃ無い・・・別人なのに・・・どうして?


神奈

「私の名前は守崎 神奈、貴方私の妹にソックリなのよね・・・だからほっとけないの。」


妹が私にソックリ?いや・・・貴方が姉さまにソックリ・・・え?ちょ・・・意味が分からなくなってきた・・・そ、それより・・・


フルム

「いい加減・・・離して!!」


とにかくこの状況は危ない・・・

この人・・・神奈という名前の人と私の記憶の姉さまがシンクロし始めてる・・・


神奈

「ダーメ♪離したら貴方逃げちゃうでしょ?」


う・・・何故私のやろうとしてる事が簡単に分かっちゃったの?

しかもこの人ズルイよ・・・話し方も仕草も姉さまそのもので、まるで姉さまが生き返った様な気持ちになっちゃう・・・ダメだこの人は姉さまじゃない!別人なんだ!


フルム

「貴方は姉さまじゃ無い!別人なの!!」


私は叫んだ。何故そうしたのかは分からない。

もう頭の中がぐちゃぐちゃになって自分でも良く解からない。


神奈

「じゃあ、私の妹になりなさいな、フルムちゃん♪」


耳元でそう囁かれた・・・これは姉さまの私を説得する何時もの手だった・・・

何でこの人がそれを・・・それ以前に何で私の名前を知ってるの?

この人は・・・神奈って名前なのに・・・何でなの?


その時、私の頬を生温かい何かが伝うのに気付いた・・・

涙・・・何で?


神奈

「ほーら、落ち着いて一つ一つ整理していきましょうね♪」


神奈という人は私の頭を撫でながら、そう言った。

そして私は、考えるのを止めてその人にしがみ付き、大声で泣いた。

今までの辛かった事、寂しかった事全部をぶつける様に・・・


◇◇◇神奈◇◇◇


やっぱりこの娘は、お姉さんが居なくなった事を整理できていなかったわね。

もしかして・・・そのお姉さんって私にソックリだったのかしら?


ただ・・・今私の腕の中で泣いているこの娘は何とか助けてあげたいと思う。

だって、夢ちゃんの時は助けてあげられ無かったからね。

代わりってつもりは無い・・・でもあの時助けてあげられなかった夢ちゃんに被るのは確かね。

この娘を助けても夢ちゃんを一度死なせちゃった事には変わり無いんだし全く意味の無い事・・・

私の自己満足だって事は良く解かるんだけど・・・


やっぱり夢ちゃんの代わりが欲しいって思っちゃったのかな私・・・最低な姉だよね。


でも、自己嫌悪は後回し!この娘の身体はヘロインに蝕まれて絶望的な状態になってる。

何とかしなきゃなんだけど・・・どうしましょう・・・邪神様なら何とかしてくれるかな?


うん!きっと何とかしてくれる筈よね!!


ラズロット

「邪神を便利な道具感覚で頼らないで欲しいのです・・・」


いつの間にか、邪神様達が私のすぐ後ろに居られました。

何か凄いジト目で私見てるし・・・何か悪い事言ったかなぁ・・・

元全知全能の神様だし絶対何とかなるでしょ?って考えただけなんですが・・・


リズロット

「そもそも、邪神を万能な救済手段と考えてる時点で間違って・・・」


神奈

「え?出来ないの?」


ラズロット

「出来ない訳無いのです!」


リズロット

「リズ達を何だと思ってるのだ!!」


神奈

「じゃあ問題なしね♪」


ラズロット

「あ・・・」


リズロット

「ちょ・・・」


神奈

「良かったわね、フルムちゃん♪邪神様が何とかしてくれるそうよ♪」


フルム

「ほ・・・ホント?」


神奈

「ええ、邪神様は何でも出来る最強の神様なんだから♪」


ふふふ、これで外堀は埋まったわよ邪神様♪

ねぇ、今どんな気持ち?ねぇどんな気持ち?


リズロット

「うぐぐぐぐ・・・後で覚えてろなのだ」


ラズロット

「外堀埋めるのは卑怯なのです!」


あれ?邪神様なのにできないの?ぷーくすくす♪


ラズロット

「出来るっていってるから見てろなのです!」


リズロット

「今やるからしっかりと目に焼き付けろなのだ!!」


くすくす、煽ったら完全にヤル気になってくれました。

邪神様チョロイですね♪

ちょっと後が怖いですが・・・まぁ可愛い妹2号の為なので仕方無いですね。


ラズロット

「今度、神奈たんのHDDをコピーして夢たんに渡してあげるのです♪」


リズロット

「後悔するが良いのだ♪」


ちょ・・・それダメ!絶対ヤメテ!!いろんな意味で死んじゃうから!!!

アレは絶対に開けちゃイケないパンドラの箱なの!!

何て事なの!あれを夢ちゃんに知られたら・・・何て恐ろしい・・・


邪神様・・・恐ろしい娘!!!


私の不安を余所に、フルムちゃんの治療の準備を始める邪神様・・・

その顔は笑顔ですが目が笑って無いです。

何でしょうか、難攻不落の要塞に守られた死亡フラグが立った様な気がするのは私だけでしょうか・・・

フルムちゃんも無事にSKBE側に入りそうです。

夢シリーズ3号?

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