第0話 暗殺者の少女
薄暗い部屋の中、黒髪のショートボブの少女と、深々とフードを被り顔の見えない男が対面していた。
フードの男
「フルムよ今回の依頼を伝える。」
中央の椅子に腰掛けた男のしわ枯れた声は低く、若いもののモノでは無い。
だが、深々と被ったフードとその漆黒の闇の様なマントのせいでその顔から年齢を窺い知る事は不可能で、余計にその不気味さを際立たせている。
それに対面する少女の格好こそフードの男と同じものだったが、フードを被らず後ろに垂らしているため、その表情が確認する事ができる。
彼女の名前はフルムといい姓を持たない貧困層の出身である。
フードの男
「今回の依頼は、魔都"ブリアデス"でこなして貰う。内容についてだが、簡単に言おう邪神2人もしくは魔王の暗殺だ・・・意味は分かるな?」
フード男からの質問にフルムは少し考える。
そして、
フルム
「できれば邪神を・・・無理なら変わりに魔王をって事でしょ?」
と淡々と返答する。
その言葉に感情は無く機械的にそれを行っている感じである。
フードの男
「うむ・・・最近は大分使える様になってきたな・・・それでは、前報酬としてこれを渡しておこう。」
男はそう言うと、粉末の入った指先ほどの小さな紙袋を幾つか彼女に手渡した。
少女はそれを受け取り、
フルム
「ありがとうございます・・・マスター」
と、何の感情もこもっていない上辺だけの言葉を述べた。
男もそれを気にする様子も無い。
そして、
フードの男
「では行くが良い・・・」
フルム
「はい・・・マスター」
フルムは男に軽く頭を下げ、部屋を出た。
そして、人目の付かない廊下まで来ると、先程の包みを一つ取り出しその中に入っていた粉末を鼻から吸引した。
その瞬間彼女は糸が切れた人形の用に力無く座り込んだ。
そして、首から掛けていたロケットペンダントを開け、その中に入っている眼鏡をかけた三編みの女性の写真を見つめた。
フルム
「ねえ・・・さま・・・どうして・・・しんじゃったの?辛いの忘れられる筈なのに・・・どうしてこんなに苦しいの?」
しばらくしてゆっくりと立ち上がった彼女はゆっくりと歩き出した。
今回は主役の夢ちゃんがお休みです。
夢ちゃん不在のちょっと違う雰囲気のお話にする予定です。