第33話 過去の整理と百合と銀河
◇◇◇夢◇◇◇
私と夢華が魔都″ブリアデス″に帰ると、そこは更に凄い事になってました。
まぁ、街が建設ラッシュなので色々変わるのは分かりますが・・・それにしたって速過ぎでしょ!
とある国の様に、手抜き工事で無い事を切に願うばかりです。
それはそうと、ラズとリズはこのまましばらくこの街で暮らすそうです。
何でも、この街の変わりっぷりが面白いからしばらくそれを見物したいんだそうな・・・
うーん、まぁ永遠の時間を生きるお二人には良い暇つぶしなんでしょうね・・・私には何が楽しいのかさっぱり分からんです。
んで、当分の護衛は愚姉一人にやらせるそうなので、私と夢華は長期の休暇をもらいました。
ちなみに、私と夢華が持ってるパスはSKBEに関連する路線の全ての列車を自由に利用できるそうです。
という訳なので、この休暇を利用して夢華としばらく旅行するみたいな事になり、現在私達はフローセリアターミナルのホームで列車を待っています。
ちなみに、前回置いていったサウロ君も今回は一緒です。
この前は本気で拗ねられて大変でした・・・まぁこの旅行はこの前置いていったサウロ君へのお詫びの意味もありますからね。
・・・にしても、さっきからこの子が抱き付いたまま離れません。
しかもそれを夢華が殺意の篭った目で睨んでるし・・・
どうも最近の夢華は変です・・・やたら私の手を握ってくるし事ある毎に抱き付いてくるし・・・
最近そっちの気があるのかと疑ってしまうくらいです。
んで、この状況、どう見ても私に抱き付いてるサウロ君に嫉妬してる感じです。
夢華・・・ちょっと頭冷やそう・・・いや折角だしこの機会に頭の中水洗いしてスッキリした方が良いと思うよ。
だってさ・・・サウロ君は幼稚園児位のお子ちゃまなんです。
ちょっと好きなお姉さんに抱き付く位なら可愛い愛情表現ぐらいで済ましなさいよね。
何本気で嫉妬して今にも飛び掛らんばかりの顔してるんよ・・・
やっぱり夢華が"残念な娘"になりつつあるのは間違いないようです。
構内放送
「お待たせいたしました、まもなく32番線に急行"銀河4号″エアール第4世界、大阪経由東京行きがまもなく入線いたします。危険ですから白線の内側まで下がってお待ちください。」
そんなこんなで、構内放送と共に青い車体に白い帯をまとった客車が推進運転(客車列車がバックして運転する事で、上野駅で客車列車が入線する時に用いられていた。)でゆっくりと入線してきました。
さて、この列車を見て私の行き先で大体予想が付くと思いますが、私達の行き先はエアール第4世界・・・
そう、私が自殺する前に済んでいた世界です。
何故そんな所に行くのかというと、今までの旅で私の中にあった色々なモノの整理がある程度できたと思うので、これを機に今まで住んできた世界を今の目線で見てそして今までの事を完全に整理してしまおうと思ったからです。
ちなみに、最初は私一人で行くつもりでしたが・・・
"今度は絶対に一緒に行く!"って言いサウロ君が・・・まぁ私の使い魔だしね・・・
"私は親友だろ?付いて行くに決まっているじゃないか"と夢華が・・・いやいや、親友だからとか意味が分からんし・・・まぁ嬉しいけどさ。
でもさ、夢華は親友だからって言ってるけど、絶対それだけじゃないよね?
だってさ、私がそれを承諾したときのリアクションが滅茶苦茶嬉しそうだったし、その後は何かデート行く時みたいに色々服選んでたし・・・そろそろ本気で危ないかもしれない気がするのは私だけだろうか・・・
まぁ、それは置いといて、昭和の香りがする列車に乗り込むと、これまた昭和の雰囲気全開の2段ベッドの開放寝台でした。
ちなみに私が下段で夢華が上段になっており、寝る時間意外は私のベッドが座席になるそうです。
そんで、最初は私の隣で嬉しそうだった夢華でしたが、サウロ君が私の膝の上で抱き付いた姿勢のまま寝てるのに気が付くと再びサウロ君に対して敵意の篭った視線を向けております。
ホントに、何なのこの娘は・・・とりあえず試しに夢華にふざけて抱き付いてみたら急に機嫌が良くなりって・・・ホント何これ・・・百合なの?やっぱり百合なの?夢華・・・
そして、最終的にサウロ君を抱き枕にして夢華の膝枕という姿勢に落ち着きました・・・
えーと、どこからツッコミ入れようか?まぁ、こうしないと夢華がサウロ君を威嚇しそうだし、仕方ないよね。
そう思いつつ、サウロ君の絶妙の抱き心地のお陰でいい感じに睡魔が襲ってきたので、そのまま寝ることにしました。
まぁ・・・その後ほっぺに当たる唇の感触で飛び起きる事になるんですけどね。
ちなみに犯人は夢華でした・・・ブッ飛ばして良いかな?
それは置いといて、色々と不安要素一杯ですが、こうして私の過去を整理する旅行がはじまるのでありました。
夢華さんの残念な娘化がとまりません!
どうしましょう・・・