第25話 オーバーワーク
◇◇◇夢◇◇◇
集落に入った時私の目に悲惨な光景が飛び込んできました。
至る所に飛び散った血や肉片・・・おそらくここに住んでた人達のものでしょう・・・
エレナ
「あ・・・ああ・・・うわぁぁぁぁ!!」
当然エレナさんが錯乱状態に・・・
夢華
「落ち着くんだ!今暴れてもどうしようも・・・」
エレナ
「やだぁぁぁ!!お父さん!!お母さん!!」
暴れるエレナさんを夢華が何とかなだめようとしています。
その間に私は死体の数と状態を確認していきます。
何故そんな事をするのか?それは私のゾディークV3の術式回路を使ってある事をするためです。
そう、死者を蘇生させるんです。結構魔力を持ってかれるみたいですが・・・エレナさんを落ち着かせる為にはこれしかありません。
まぁ、死んでても生き返らせる手段があるから私は落ち着いてたんですけどね・・・
んで、死体の数は30ちょい・・・状態が最悪と・・・
これを元通りに身体を修復して蘇生するとなると、かなり膨大な魔力が必要になるみたいです。
私の魔力もつかなぁ・・・でも、やるしか無いよね・・・夢華は魔法無理そうだし・・・
夢
「死んでる人達を1箇所に集めて・・・」
エレナ
「ふぇ?」
夢華
「何をする気だ?」
私の言葉にエレナさんと夢華が不思議そうな顔でこっちを見ます。
そりゃね・・・まさか蘇生させようと考えてるなんて想像だにしてないだろしね。
夢
「死者の蘇生・・・」
夢華
「できるのか?そんな事・・・」
夢華さん?滅茶苦茶疑ってますね?
そんな事不可能とか思ってるでしょ?
ところがどっこい、私のゾディークV3の術式回路にはその手の魔法も標準装備なんですよ♪
夢
「ゾディークV3で普通に使える魔法・・・心配ない」
エレナ
「それじゃぁ・・・」
夢
「みんな元通りにする・・・だから落ち着いて行動」
エレナ
「分かった・・・」
エレナさんも落ち着いてくれた様なので、皆で手分けして死んでる人達の身体を集落の中央にある広場に集めていきます。
殆ど全ての死体が事故で身体がバラバラになった感じの酷い有様で、集めている間にSAN値がガリガリ削られております・・・ちょっと前の私だったら絶対に卒倒してたと思うよこれ・・・
多分この前のグロイ人形と戦った時の影響で精神的に強くなったのかな?
うーんこの場合、心が麻痺しつつあるって言った方が正解なのかな?まぁいいや・・・
とりあえず、1時間ぐらい頑張って見つけられるだけバラバラになった死体のパーツを集めてほぼ全ての死体のパーツを見つけました。
足りない部分は再生の魔法で新規作成で何とかします・・・魔力をごっそり持ってかれるみたいなのであまり使いたくないですが・・・致し方ありませんね。
そう思いながら、ペンダント形態になっているゾディークV3の汎用術式回路を起動させまずは"肉体修復"の術式を展開、起動させます。
術式が展開し起動すると同時に膨大な魔力が吸い取られ、身体がずっしりと重くなります。
でも・・・今の所少し疲れる程度の負荷なので問題ありません。
ペンダント術式で変換された力を両手に移動させ、そこから集められた死体にそれを流し込んだ。
損傷した死体はみるみる修復し、パーツの欠損した部分以外は元通りになった。
次に"肉体再生"の術式を同じように展開、起動させた。
それと同時に、さっきより膨大な魔力が吸い取られ、目眩がする程に身体の力が抜け、思わず方膝をついてしまった・・・
しゃ・・・洒落にならないよこれ・・・
夢華
「ゆ・・・夢、大丈夫なのか?辛そうに見えるが・・・」
夢
「だ・・・大丈夫だよ・・・ちょっとしんどいだけだから・・・」
やっぱり夢華が心配してくれた・・・
でも、ここで止めたらカッコ悪いじゃん!
少し位無茶はするよ・・・
さっきと同じ様に変換された力を両手から死体に流し込むと、欠損していた部分が再生され元通りになった。
後は、これに命を呼び戻すだけ・・・
最後に意を決して汎用術式回路に"死者蘇生"を読み込みそれを起動させ・・・
本気で洒落にならないよ・・・とんでもない量の魔力がペンダントに吸い込まれてく・・・
ヤバイ・・・気を抜いたら本気で意識が無くなるレベルだよこれ・・・
このまま意識を失ったら意味が無いので、最後の力を振り絞って変換された力を死体に流し込んだ。
死体は一瞬光に包まれると、死んでいた人達は目を覚ますように起き上がった。
それを確認して安心して気が抜けた私は崩れ落ちるように地面に倒れこんだ・・・
夢華
「夢!!」
エレナ
「夢さん!!」
二人の声が聞こえた気もするけど、よく分からない・・・
そして、私の意識は闇に沈んでいった。
以前の夢ちゃんなら絶対にしない・・・というか全力で拒否するオーバーワークです。
なんだかんだで成長してる・・・のか?