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第17話 ストーカー予備軍?

◇◇◇夢華◇◇◇


ブライアン

「くそ!邪魔をするな!俺は陽菜を正気に戻さねばならんのだ!」


うーむ、目の前の熊の様な騎士・・・陽菜の事で必死の様だが・・・

陽菜はこんなのと何カ月も一緒に過ごして居たのか・・・

私なら1日と絶たず引っ叩いているだろう。


とにかく、このブライアンという男・・・勘違いも甚だしい!

陽菜が我々に味方している状況をみて、彼女が正気では無いと勝手に決め付けている。

そして、更に自分が彼女を正気に戻すのが使命だと勘違いしている有様だ。


見た所、この男間違い無く陽菜に惚れているのだろう・・・

恋は人を狂わせると言うが・・・これは酷過ぎる。

少し灸を据えてやらねばならんか・・・全く、良い大人が私の様な子供に・・・恥を知れと言いたい所だ。


夢華

「何か勘違いをしている様だな。」


私は、ブライアンの進路を塞ぐように高速移動し、銃剣を構えた。


ブライアン

「勘違い?何の事だ?俺は陽菜の事を・・・」


夢華

「"誰よりも知っている"か・・・では聞くが、夢華が一番不満に思っていた事は何だと思う?」


相手の言葉を遮り、私が彼に質問した。

しかし、彼は答えられず黙り込んだ。


夢華

「・・・なんだ?そんな事も分らないのか?いや、分らないんじゃ無く知ろうとしていなかったのではないか?」


ブライアン

「だ・・・黙れ!!」


ブライアンが、剣で斬りつけて来たが、私はそれを軽く銃剣で軌道を逸らし回避する。

おいおい、いきなり語るに落ちて切り掛かるのは無いだろう・・・

そう思いながら、態勢を崩したブライアンの顎を銃床で打ち上げる。

そのまま吹っ飛ぶかと思ったが、彼は何とか踏みとどまり剣を横薙ぎしてきたので、それを後ろに飛んで避ける。


夢華

「聞く耳持たずか・・・それが陽菜の心が離れた理由だと私は思う。」


追撃が無かったので、銃剣を構え直して再び語り掛けた。


ブライアン

「黙れと言っている!陽菜はお前達のせいで正気を失っているんだ!」


なるほど、全ては私達のせいだと・・・酷いなこれは・・・

まぁ・・・そうなるとは予想してたが、こいつは危ない・・・そんな気がする。

多分だが、この男は相手の女性を自分が想像した通りの女性だと思い込んでいる。

そして、それを否定する情報は一切受け付けない。

下手をすれば、陽菜を傷付けかねない・・・

そういえば夢がお茶会の時に陽菜に"そのブライアンって男・・・ストーカー予備軍"言っていたな・・・

そしてその時に"ストーカー"という意味を夢から聞いたが・・・その説明をそのまま形にした様だ。


夢華

「なぁ・・・お前は思い込みが激しいと言われた事は無いか?」


ブライアン

「信仰の無い者の言葉など聞かん!」


まぁ・・・なんだ・・・何となくこの男の概要が分った気がする。

様は何かを信じ込み易く、一端信じ込んでしまうとそれが正解でそれを否定する情報は全て雑音と認識してしまうんだろう。

そして、旅の最中も何度か陽菜に拒絶されていたんだろう・・・陽菜の様子を見れば大体予想は付く。

だが、こいつはそれに気付かず陽菜のナイト様だと思い込んでいる。

痛々しい限りだ・・・とっくに解雇通知を出されているのにな。


夢華

「それならば・・・これ以上は言わん。」


そうだな・・・こいつの陽菜を思う気持ちを酌んで間違いを正してやろうとしたのだが、聞く気が無いのなら無意味だろう。

それならば、今後陽菜に危害が及ばない様にここで処置してしまった方が良いな。


そう判断した私は、射撃姿勢を取り、銃弾を闘気で覆い引き金を引いた。


"パーン"という乾いたと共に弾丸が発射されたが、ブライアンは剣の腹でそれを何とか受け止め軌道を変え回避した。

闘気で覆った弾丸が防がれるのは初めての経験で動揺したが、この場合銃剣で受けるしかないのだが・・・

今回は相手が両手用の大型の剣なので出来る限り小銃本体でそれを受けるのは避けたい所だ。

衝撃で細かい部品の脱落という悪夢は経験したくないし、銃身が歪む危険もある。

必然的に銃剣の刀身で受け流す様に受けるか回避するかの二つしか無い。


そして、2発目も同じく剣で軌道を逸らされ3発目の銃弾を弾倉から薬室に装弾中にそれは起った。

"カチン"っという金属音と共に装弾中の弾丸が薬室の入口に引っ掛かった。


夢華

「な・・・うそ・・・でしょ?!」


思わず情けない声を出てしまった・・・最悪だ!

激しい回避運動で弾倉内の弾丸に僅かなズレが生じそれが原因で引っ掛かってしまったのだ。

しかし、元々弾詰まりの発生しやすいと不評なこの小銃だ・・・当然それを回避するために弾倉にはしっかりと弾を揃えて入れていた筈なのに・・・なぜ?

今までにも何度か弾詰まりは発生した事はあったが、こんな最悪のタイミングで発生したのは初めてだ!

そう、銃弾を発射するのを前提とした動きをとっていたので、非常に大きな隙ができてしまった。


ブライアン

「もらった!!」


そして大きな隙ができた私に向かって、勝ち誇った表情のブライアンが剣を振り下ろす。

刀身は真っすぐ私の頭に向かってくる!直撃したら闘気で守っているとは言え無事では済まない。

闘気?そうだ!!今までこんな状況に陥った事が無かったので思いつかなかったが、咄嗟に妙案が浮かんだ。

私は、自分の身体を守っている闘気を使って小銃を覆いそして攻撃を受け止めた。

"ガンッ"という、もの凄い衝撃を受けたため手がビリビリするが、闘気で覆われているので小銃は無事な筈だ。


夢華

「うおりゃぁ!!」


そして、歪む心配の無くなった小銃なので、私は遠慮なく力任せに相手の刀身を押し返した。


ブライアン

「な・・・バカな!!俺が力負けした?!」


まさか小柄な私に力負けするとは予想だにしていなかったらしく、ブライアンはバランスを崩し転倒した。

その瞬間"カチャリ"という音と共に引っ掛かっていた銃弾が衝撃で外れ薬室に挿入された。

私は棹桿こうかんが閉鎖しているのを確認し、単発を連射に切り替え銃を構え直すとそのまま何の躊躇いも無く引き金を引いた。


"ズダダダダダダダダ・・・・"連続射撃の音と共に銃弾がばらまかれブライアンの身体に次々とそれが突き刺り、肉や骨を削り取って行く。

数発撃ち込めば十分の筈なのだが、弾詰まりという非常事態のため軽いパニックになっていた私は弾倉が空になるまで引き金を引き続けてしまった。

それほど激しい動きをしていない筈なのに肩で息をしていた・・・やはり私は予想外の事態に弱いらしい・・・

この程度でペースを乱してしまうとは・・・夢ならこれくらいの非常事態は軽く対処してしまうだろうからな。

そこが、私と夢で大きく違う点であり、私が彼女から学ばなければならない点なのである。

今後は彼女と話す機会も増やさなければならないな・・・まぁ彼女は面倒臭がるだろうが私の今後の為だ、我慢してもらわねばな・・・


ふふ、なんだか私がストーカーみたいだな・・・女同士で成立するかどうかは知らんが。

夢華のストーカーの認識が少しズレているのは仕様です。

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