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第12話 権力と腐敗

◇◇◇???◇◇◇


私の名はアロンという。

精霊教を信仰する教団の大神官・・・つまりトップである。

そして、その精霊教はこのアクレリア大陸で最も信仰されている宗教である。

つまり、最もこの世界の支配者に近いのである・・・まぁ、表向きは大国フィーロスの国王と言う事になってはいるがな・・・実際は我々の教団の方が強い影響力を持っているのだ。


そして、今回の勇者召還とその勇者による魔王討伐の成功により、我々の影響力は決定的なものとなった。

本来、魔王の討伐は国王の勤めなのだが、今の国王はそれが嫌で、私に泣きついたのだ・・・

本当に腰抜けだと思ったがそのお陰で今があるのだ・・・むしろ感謝せねばな・・・

それに、先の遠征で先王と共に戦死してくれた第1王子と第2王子にも同じく感謝せねば・・・


唯一の心残りは、危険分子である勇者の処刑が行えなかった事だろうか・・・

あの腰抜け国王が国民の不満を恐れ、追放としてしまった。

まぁ良い、力はあるとは言え所詮は小娘一人・・・何もする事はできんだろう。


そして今私は王城の謁見の間に居る。

勇者の小娘のお守りをしていた3人に対する恩賞を与えるためだ・・・もっとも与えるのは国王だが、実質は私の意見をそのまま国王が代弁する形である。


まず、神殿騎士のブライアン・・・

非常に真面目で寡黙な性格で、精霊神を妄信している。

彼にはそろそろ退役する予定の今の神殿騎士団の団長の後釜となってもらう。

私の口から精霊神のお言葉として命令すれば何の疑問も持たず私の言いなりになってくれるだろう。

その点で今の神殿騎士団の団長より遥かに使い勝手が良い。


次に、宮廷魔法使いのリックス・・・

貴族出身で精霊魔法を使えない平民を見下す傾向があるが、それは大した問題ではない。

愚民は魔王を倒した勇者ブランドというだけで容易に誤魔化せる。

重要なのは彼が精霊魔法を使える貴族であるということである。

貴族というのは、精霊神から特別な力を与えられた存在であり、我々精霊教団との繋がりが非常に強い。

そして、その教団の大神官であるこの私の影響力を非常に強く受ける。

更に彼の家は代々精霊教団の神官を多く排出している家系だ。

故に彼は私の言いなりに近い・・・よって彼は王国の魔法兵団の団長として私の中継役を担ってもらう。


最後に王国騎士のアーヴィン・・・

こいつが非常に厄介だ・・・何せ言う事を聞かない乱暴者である。

更に、王国に代々使えてきた騎士の家系というのも厄介だ・・・無碍にはできないだろう。

あまり重要なポジションには置きたくないが・・・王国騎士団の団長というのが妥当だろう。

丁度今の団長がそろそろ限界らしいからな・・・まぁこいつ自体は正直言って馬鹿だし私に反旗を翻した所で、多くの者はついて来ないだろう。

そう、こいつには王国騎士団を衰退させるための布石として機能してもらうのだ。

国王の命令で動く王国騎士団は非常に厄介だ・・・故にその力は今のうちに削いでおかねばならん。

幸いな事に魔王が討伐されかつて魔王の支配下にあった地域は主導権争いで混乱状態となり、こちらに攻め入る余裕など無いだろうからな。


今回の勇者召還という事態を最大限に生かしてやったわけだが・・・この3人には正直期待はしていなかった。そう、ぶっちゃけて言えば遠征して魔王に殺されても良さそうな奴等を送り込んだのだ。

もっとも、勇者の小娘の情報をしっかりと私に流してくれる様な者をしっかりと選抜したがな・・・


しかし、勇者の小娘は魔王を倒してしまった・・・正に奇跡だが同時にその小娘は魔王以上に危険な存在だ。本来ならさっさと難癖をつけて処分してしまいたい所だ。

そして、幸いな事にあの小娘は元の世界に帰る術が無い事を告げてやったら逆上して私に切り掛かった。

当然、その様な事は想定済みで、小娘に与えていた勇者用の武器やらあれこれは事前に没収しておいた。

勇者の武器無しではその力は半減・・・他の3人が難なく取り押さえ、後はそれを理由に処刑となる流れだったが・・・あの腰抜け国王め・・・国外追放とは・・・

まぁ、私の手元には私の思い通りになる手駒が3つある・・・あの小娘一人で何ができようか・・・

そう考えれば大した問題ではない・・・そう私のアクレリア大陸支配は順調なのである。


私がそう思い、口元を緩ませていると・・・


王都の入口付近で爆発が起きた・・・


国王

「一体何事だ!!」


兵士

「申し上げます!王都の正門が7名に正面突破されました!」


何を言っているのか良く分からない・・・

王都の正門には王国騎士団と魔法兵団が防備を固めている筈・・・それを正面突破だと?


アロン

「門を守っていた者は一体何をしていたのだ?」


兵士

「そ・・・それが・・・」


私の問いに兵士が答えにくそうに言葉を詰まらせる。


アロン

「良いから言え!」


兵士

「ぜ・・・全滅致しました・・・」


兵士の言葉にその場の全員が言葉を失った。

全滅だと?ありえん!相手はたった7人だぞ・・・


アロン

「ブライアン、リックス、アーヴィン・・・間違いかも知れぬが相手は相当強い様だ・・・確認して参れ・・・・そして何か居れば速やかに排除せよ・・・」


ブライアン

「はっ!速やかに排除致します!!」


3人は急ぎ足で謁見の間を出て行った。

間違いだとは思うが・・・どうも嫌な予感がする・・・

今回の敵は十字教会とは関係なさそうです。

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