第7話 女王への道
◇◇◇ラスティー◇◇◇
食堂車での会議・・・いや、ありゃ雑談の領域か・・・
まぁ良いわ、それが終わった所で私は7号車の自分に割り当てられた部屋帰った。
部屋に入ると、机の上に手紙が置いてある事に気が付いた。
送り主の部分には、SKBE総帥"フラウ=ラッテ"と書かれていた。
何故私なんかにと疑問に思いながらも中身を確認した瞬間、私の口元が緩んだ・・・
手紙の内容は概ねこのような内容だった。
① SKBEは正当な王位を持つ貴方に支配地域を譲渡する用意がある。
② 譲渡に際し、次の条件を提示する。
③ SKBEの路線及びその周囲の開発の自由を妨げない事。
④ 条件が受け入れられれば、支配地域の譲渡及び国家が安定するまでの間の防衛力の提供を行う。
まさか、奪い損ねた地位と権力がこんな形でもたらされるとは思っても見なかったわ。
条件付きとは言っても、見たところ大した条件では無いし、国が安定するまでの間軍事的な部分を全て面倒を見てくれると言うのは魅力的だ・・・
なぜなら、国の防衛のために割く予算というのは不安定な国にとっては大きな負担となる。
しかし、それが無いとなれば、いち早く国家の再建が行えるのは間違いない・・・
間違いないんだけど・・・一体何が目的なの?
私は、このフラウ=ラッテという人物が何を考えているのか全く読めない・・・
傀儡国家にでもするつもりなのだろうか?
コンコン・・・
スノウ
「失礼致します。紅茶をお持ちいたしました。」
私が考え込んでいると、スノウが紅茶を持ってきてくれた。
彼はこの列車を制御する自動人形らしいが・・・どう見ても人にしか見えない・・・
ラスティー
「ねぇ・・・こんな物が置いてあったんだけど・・・」
私は躊躇いも無く、彼にさっきの手紙を見せた。
普段の私なら絶対にやらない事だが、なぜかそうしてしまった。
スノウ
「総帥からの手紙ですね・・・なるほど・・・ラスティー様は女王になられるのですか・・・」
女王・・・スノウが言ったその言葉が心地よい・・・そうだ・・・私は女王になれるんだ。
でも、何かスッキリしない・・・おそらくフラウ=ラッテが提示した条件があまりにも私にとって有利だからだろう・・・ハッキリ言って気持ち悪いぐらいにね。
ラスティー
「でもさ、この条件が私に有利すぎて気持ち悪いのよね・・・」
そして、思わず本音の質問をスノウにしてしまう。
何故だろう、彼に対しては警戒心が沸かないのだ。
スノウ
「総帥のお考えですか・・・単に面倒なだけでは無いでしょうか?」
ラスティー
「それだけ?ちょっと信じられないんだけど・・・」
スノウ
「総帥は路線の拡張にしか興味が無いと聞いております。おそらく国家運営という面倒事を単に貴方に押し付けただけに私には見えます。」
何それ?国家の運営が面倒?理解できない。
ラスティー
「それが本当なら・・・その総帥は相当な変人ね・・・」
スノウ
「そうかもしれませんね。」
面倒だから私に押し付けた・・・その発想は無かったわ・・・
確かにあの有利な条件は私が国の運営に専念できる様にしたとすれば納得が行くわね。
しかも、軍事力をSKBEに依存する形なので、いつでも潰せると・・・
まぁ良いわ、そういう事なら、私の野望の為に有効活用してあげるわ。
この約束通りなら、SKBEの路線拡張を邪魔しなければ好きにして良いって事になるみたいだしね。
違ってたらその時考えれば良いわ、今はこの野望への用意されたレールを有効活用する事を考える方が建設的だものね。
ラスティー
「ありがとう、おかげで考えがまとまったわ。」
スノウ
「左様でございますか。微力ながらお力になれ幸いです。それでは失礼致します。」
スノウは、私のお礼に、社交辞令的に返答し、深々と頭を下げ、部屋を出ていった。
やっぱりスノウは、人形には見えない・・・だけど何か感情というものを感じない・・・だからあまり警戒心が沸かなかったのかな。
あんなに素直に相談できたのは始めてかもしれない。
そうだ、今度双子達にお願いして、私専用のを作ってもらおう!うん、そうしよう!!




