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ログ・ホライズン A's  作者: 椿
8/17

~ショートエピソード 02~

 エルダーテイルをプレイしていた彼女は今日、珍しい人に出会った。いつもならテキストチャットのみで会話していると。


 ~なんで喋んないんです?~


 ~雰囲気出すためなのは分かるんですけど、たまには喋りませんか?~


 ~いざというとき位は喋って下さいよ!!~


 ~テキストじゃあ間に合わないってわかるでしょ!?~


 いつもソロでプレイしている彼女は、時には静かに人を手伝い、別の時は静かに仕事を果たしていたりするのだが。テキストで会話していると、どうしても相手はもどかしくなるのか、喋る事を要求されるのだ。連携や作戦行動などで喋る事も必要なのだ。彼女は元々···。少し人見知りする方なのである。だからテキストでも、思うように会話出来なかったりする。会話せずとも仕事をこなせば認めて貰えるから問題ないと思っていたら、怒られた事だってある。だが···今日出会った人は····。


「へぇ~、ロールプレイヤーの方なんですね」

「·······」

「あまり喋らないのは雰囲気を出すためですか?」

『左様』

「なるほど。あ?、ブラインドタッチとかできる方ですか?」

『苦手』

「分かりました。じゃあ返事は少なめでいいですよ♪」

『感謝』


 彼女は、声からして青年と思わしき人が気に入っていた。青年は、会話しなくても気にしないし、会話を強要される事もない。戦術眼が見事で、自分の仕事をすれば誉めてもらえたし、認めてもらえたからだ。


「今日は助太刀して頂いて有難う御座います♪」

『礼は不要』

「今度またクエスト行きませんか?」

『問題ない』

「じゃあ、また」

『さらば』


 青年と別れた彼女は、失敗したと思い悩む。青年の事をフレンドリストに登録し忘れたのだ。青年がフレンド登録してくれていればメールなり来るだろうと彼女は気を取り直す。


「······」


 彼女は、知らず青年の姿を捜していた。青年といると、会話がなくとも意志疎通がうまくできて、気が楽だったからだろうと彼女は自分を判断する。


 そんな彼女にある日。


「あの、こんにちは。前にあった付与術師のものですが」


 青年からクエストの誘いが来たのである。彼女は高鳴る心を抑え、青年に失礼が無いように、考えながら文章を打つ。


『久しい』

「すみません、ここ数日バタバタしてて」

『構わない』

「じゃあ、クエスト行きましょう」

『不躾ながら』

「どうしました?」

『友人の登録をしてもよいであろうか?』

「ええ、構いません。こちらこそよろしくお願いします」

『アカツキ』

「アカツキさん、ですね。僕はシロエです。」

『了解した、シロエ殿』

「別に呼び捨てでいいんですよ?」

『······』

「ゴメンナサイ、好きに呼んで頂いて構いませんから」

『すまぬ』

「いえ」


 彼女は画面に映る青年の名前を、噛み締めるように指でなぞる。


「では、行きましょうか」

『了解した』


 青年と友人となった、彼女の物語の始まり





           《~アカツキ宿り木シロエ~》



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