~ショートエピソード 01~
その日。小さな二人はエルダーテイルの世界へと降り立った。チュートリアルを終えた二人は、アキバの街のすぐ近くの初心者向けゾーンへ旅立ち、初めての戦闘を体験し、再びアキバの街へと戻ってきたのだった。
「しゃあ!楽勝だったな♪」
「楽勝じゃないでしょ···もう!。あんまり無理しちゃだめだよ。
HPゲージとMPゲージが真っ赤じゃない」
「じゃあヒールかけてくれよ」
「やってるけど、威力が低くて回復しないの」
「う~ん。じゃあそこら辺の人に聞いてみるか」
二人の内の少年が近くを通りかかった人に声をかける。
「へい兄ちゃんしつもーん」
「ん、なんだ?」
「弟の傷が治らなくて、どうすればいいんでしょうか?」
「そりゃアイテム買って使えばいいんじゃね?。その辺で普通に売ってるよ」
「ちょっと、おバカ狐!。いつまで待たせるのよ」
「んあ?。見りゃわかんだろ」
どうも人と待ち合わせしてたらしいと気づいた姉は、慌ててその人に謝り、その場を後にした。
「あの子達は知り合いなの飛燕?」
「んにゃ、多分初心者じゃね?」
「バカっ!!そう言うことは早く言いなさいよね!!」
「つっても···明日架が来た途端に逃げ出したし。初心者あんま脅かすなよな」
「うっさいおバカ、いいから追いかけるわよ。
初心者に優しくが三日月同盟のモットーなんだから」
「へ~い」
こうして二人も初心者のふたりを追いかけてアキバの街を回る事に。暫くして·····その二人組を見つけたが、彼らは声をかけなかった。
「私達が声をかけなくてもよさそうね」
「だな、ま···何かあったら一緒にクエスト行くくらいはいいんじゃね?」
「そうね···。後はシロエさんにまかせましょ」
「俺らより色々詳しいしな、腹黒だなんて言われてるけど」
「なにいってんのよ、シロエさんが優しい人なのは知ってるでしょ」
「まあな。んじゃ、クエスト行くか」
「そうね」
彼らは自分達よりもエルダーテイルに詳しい人が初心者の二人の案内をしているのを見届けて、自分達の冒険へと旅立っていった。
幼い二人は青年に自分達がどうすればいいのかを一生懸命に説明していた。青年はそんな二人に困ったような、でも···優しく言葉を紡ぐ。
「もしかして、今日が初日なのかな?」
「そうだぜ」「そうです」
二人の声が重なり合う。元気な二人組の初心者を見て青年は小さな微笑みを漏らす。青年も、初心者プレイヤーの事が嫌いではない。エルダーテイルを好きな1人として、この二人にも···エルダーテイルを好きになって貰いたかった。
「そっか····。案内するよ。こっちだよ」
街を案内する程度の事は苦労というほどでもないので、青年は二人の先頭に立って歩き出した。
「そうだ、自己紹介がまだだったね。僕はシロエ」
「俺はトウヤ」「私はミノリです」
「そっか···。二人とも、エルダーテイルの世界へようこそ」
「おう♪」「はい♪」
《~小さな二人の冒険の始まり~》