~彼と愉快なお隣さん~
いやはや、ようやくアニメも二期が始まりましたが·····OPでネタばれしすぎではないかと気になるこの頃です。
黄金週間初日、彼は目の前の惨状に頭を抱えていた。
「本当に勘弁してよもぅ·····」
無惨なキーボードの有り様と、チャットから聞こえる不穏な会話、目の前で未だに被害を広げる存在に、抱えた頭が痛くなるのを感じるのだった。
~彼と愉快な隣人さん~
ゴールデンウィーク初日、けたたましく鳴るインターホンの音に起こされたシロエは、ボヤけた思考のまま玄関へと赴き玄関のドアを開けた。
「おっはよ~恵くん♪、私実家に帰省するからこの子の事お願いね~♪」
「へ?」
「お土産買ってくるからね~、行ってきまーす♪」
寝ぼけた頭をなんとか回転させ必死に思考を巡らせ始める城鐘恵、まずは押し付けられたペットケージを確認する、中には白い子猫が一匹入っている、隣に住んでいる小池さんのペットだ···。
「・・・どうすんのコレ?」
思考の追い付かないシロエは押し付けられたペットを胸に途方暮れるしか出来なかった・・・。
~1時間後~
朝食を済ませ、顔を洗い終えたシロエは再びペットケージとにらみ合いを始めた、世話を押し付けられた以上入れっぱなしにしておくのも気が引けるが部屋を荒らされないか心配だった、壊されそうな物は取り敢えず片付けて仕舞い、いざ準備を整えても躊躇してしまうのは彼の考えすぎてしまう性格故なのであろう。
「小池さんはいつもイキナリだからなぁ・・・今に始まった事じゃないけど」
シロエの家の隣人の小池は、事あるごとにシロエの家に襲来し色々無茶苦茶をやらかす人だった、ある時は近所の新しいラーメン店に夕食直後に連れ去られ、またある時はコンビニの新作カップ麺を全て購入し、何故かシロエの家で全てにお湯を入れて食べ比べをさせられ、あるときは本場の拉麺を食べに行こうと誘われたがパスポートが無いことを言い訳に逃げた事もあった。
「結局、お土産に買った拉麺を渡しに襲撃されたんだっけ・・・」
そんなラーメンでの被害ばかりを与える隣人の小池さんにシロエも呆れてばかりだが、自分の性格なのか、それとも似たような事をする知り合いがいるせいなのか、シロエも小池さんの事を満更でもないと思ってしまう部分が少なからずあるようだ。
「そう言えば、この子の名前聞いてない・・・」
想い出を振り返っていた思考を切り替え目の前の問題に取りかかるのはいいが、早速躓いてしまいそうだった。しかし、よく見れば子猫の首にはネームタグの付いた首輪が付いていたのでなんとかなりそうだった。
「どれどれ、っと、思った以上に大人しいな」
ケージを開け、恐る恐る手を伸ばしたシロエの手に子猫は抗う事なく包まれ、シロエは子猫を膝に抱いてネームタグを覗き込み、絶句した。
「・・・・・・」
・・・・・・絶句した・・・・・
「えーと・・・、見間違いかな・・・」
シロエは目を擦りもう一度子猫のネームタグを覗き込んだ。
「・・・・・・・」
・・・・絶句するしかなかった・・・・
それもしょうがない事であろう、何せ子猫のネームタグには《しろえ》と書いてあったのだから。まさか隣人のペットの名前が自分のネットネームと一緒だと誰が思おうか、シロエは眉間にシワを寄せ少し考え込んだ、そしてシロエが出した結論は次の物だった。
「見なかった事にしよう・・・・」
そう言ってシロエは子猫をケージへと戻したのだった。ケージに入れられた子猫は大人しいもので、ケージの中のタオルケットに潜り込んでねっころがっていた、シロエはそれを見て少し安心していた。
「暴れられる心配はなさそうだね」
そう言うとケージを目の届く場所へと置き直し、パソコンへと向かい、エルダーテイルを起動させた、メインキャラクターでログインしフレンドリストを確認していくが、<茶会>のメンバー達はログインしていなかった。ふとメールアイコンが表示されているのに気付き開いてみると、メールの送り主は<三日月同盟>のマリエールからだった、なんでもギルドに新メンバーが入ったので機会が有れば紹介したいとの事だった。
「マリエールさんか、いつも律儀だな」
シロエとしてもマリエールの好意は満更でもないので予定を合わせて会えるようにすると返事を返し、何時ものようにCAD用のマップデータでも取りに行くかと思っていると、聞き慣れた明るい声で挨拶が飛んできた。
「シロ君おっっはよ~~♪、いつも早いね~、今日こそ私が一番乗りだと思ったのに、もしかして徹夜?」
彼らの<茶会>の主催者と言うべきか、それとも独裁者なのか、ともあれ彼女の元気な声がボイスチャット越しから聞こえて来た、何時も変わらない元気な声にシロエも挨拶を返す。
「ちゃんと寝てるよ?、今日は朝から色々あって少し早起きをね、おはよカナミ」
「他の皆はまだ?」
「ええ、まだ皆ログインしてません」
「なぁ~んだ、つまんないの」
「あんまり不穏当な発言をすると、直継やカズ彦に怒られますよ?」
「でもシロ君は告げ口したことないも~ん(≧∀≦)♪」
「やれやれ( ・△・)=3」
シロエはカナミのあっけらかんとした態度に呆れながらも他のメンバーがログインするまでの間、カナミとの会話を楽しんでいた。
「ところでシロ君、朝から色々って何があったの?」
「ん?、お隣さんに帰省する間ペットを預かって欲しいと押し付けられただけです」
「なになに♪」
「白い子猫ですよ、ってそう言えば何を餌にあげればいいのか聞いてないや」
「子猫ならミルクじゃないの?」
「まあ、一応聞いた方が問題は無いでしょう。それに、もうお昼ですし僕も昼ご飯にします、カナミは?」
「じゃあ私もそうする~」
そう言ってバタバタという足音が聞こえ、カナミが食事で席を外したのが分かったシロエもチャットインカムを外し台所へと向かう、小池にメールを送り子猫の餌の確認を取りつつ戸棚からカップ麺を取りだしポットでお湯を沸かし始める。
「おーいシロ~、居ないのか~?」
ボイスインカムを外しておいたのでパソコンのスピーカーから友人の声が聞こえ、シロエは一度パソコン前へと戻った、インカムを再度セットし友人と挨拶を交わす。
「おはよう直継」
「おう、おはようさん。カナミはどうした?応答がないんだけど」
「お昼ご飯中だよ、僕もいま準備してたところ」
「相変わらずカップ麺か?、たまには弁当買わねぇと栄養偏るぞ?」
「そうなんだけど、ゲーム中はどうしてもね」
「ま、気持ちは分かるけどよ」
「あ、お湯が沸いたみたいだから少し外すね」
「あいよ」
直継の明るい相槌を受け取り、インカムを外して台所へと戻っていく、ポットからは湯気が上がっていたので火を止め、カップ麺にお湯を注ぎ、お茶と一緒にお盆にのせてパソコン前へと戻ってきたシロエはインカムを付け、直継と再び会話を再開した。
「俺が来るまでカナミと二人っきりか、あれかイチャイチャしてたのか?」
「いや別にイチャイチャしてなんか」
「シロエ!!、カナミとイチャイチャだなんて、なんて羨ましい!!」
「ってうわ!?、居たんですかインティクス」
突如大声で乱入した声に驚いたが、直継が悪戯っぽい雰囲気を出していたのを思い出しからかわれたんだと気付いた。ヤレヤレと思いつつも直継とインティクスに再び話しかけると直継から気になる事を言われた。
「なあシロ、さっきからみ~み~聞こえるのは何だ?」
「そういえば確かに聞こえますね、猫のようですが」
二人の指摘に振り返ると、子猫がいつの間にかケージを抜け出し、シロエのカップ麺に頭を突っ込もうとしていた、シロエは慌てて子猫を止めようとするが一歩遅く、カップ麺はひっくり返り、キーボードを無惨な姿へと変えてしまっていた。
「うわぁぁぁぁあぁあぁ!!!!!!!!」
「うお、何だ!?」
「どうしたのです?、シロエ」
シロエは二人の問いには答えることも出来ずキーボードの上に無惨にひっくり返ったラーメンを食べ始めた子猫を慌てて抱えてどけて、雑巾を探しに流し台を漁っていると、シロエの携帯にメールが届いた、届いたメールは小池からので内容は
~«恵くんへ»~
しろちゃんは私と一緒でラーメンが好きなんだよ~♪、残ったカップ麺のスープを適当にあげておいてね♪
と書かれていた、ふとスクロールに気付き操作していくと
~追伸~
普段は大人しいけどカップ麺の匂いがすると飛び付いていくから、カップ麺を作るときは気を付けてね♪
「先に言ええええええええええええええ!!!!!!」
既に事故が起きてしまった後で発覚した事実にシロエはガラにもない大声をあげてしまったのだった。とにかく掃除が先決だと雑巾を取り出してパソコン前へと戻ってくると。
「シロ君がお隣さんから子猫を預かったんだって♪」
「なにぃ!?、お隣といえば確か!!ラーメン大好きなのにナイスバディで美人のお姉さんの小池さんか!!!」
「ほほぅ・・・」
「美人・・・ねぇ」
「え、なにこの流れ・・・」
「明日、シロ君の家を訪問します!!!」
「拒否は認めません!!」
「いぇ~い♪」
「本当に勘弁してよもぅ·····」
無惨なキーボードの有り様と、チャットから聞こえる不穏な会話、目の前で未だに被害を広げる存在に、抱えた頭が痛くなるのを感じるのだった。
~続くのかな?~
~シロエの家の隣人さん~
«小池さん&しろえ»
ラーメン大好き小池さん(女性)何時もラーメンばっかり食べているのにスタイルの変わらない不思議な人でシロエの家に遊びに行った際にすれ違った直継曰く結構な美人、«ラーメン愛»をふりまき、いつもシロエにラーメンを差し入れしている。
エルダーテイルも一応プレイはしていてエルダーテイルでのプレイヤーネームは
«大池»という·····大災害に巻き込まれたかは未定。
ペットのしろえはいつもラーメン飯が餌、名前の偶然には皆も思わず苦笑い。




