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ログ・ホライズン A's  作者: 椿
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~彼と茶会とお花見会~

 陽射しの穏やかなある日の事。彼は困っていた。ものスゴく困っていた。目の前の惨状を見て、彼は静かにごちる。


「どうしてこうなった・・・・・」









            《~(シロエ)茶会(みんな)とお花見会~》






 その日もいつもの様に彼女に呼び集められた面々は驚きの提案を聞かされた。


「お花見をしましょう♪」「は?」


 友人の直継が思わず声をあげる。確かに今は桜が満開で花見のシーズンかもしれない。だが花見をする理由が彼等はには思い当たらなかった。だから城鐘恵(シロエ)は彼女に···。カナミという彼等のリーダーに理由を問いただす。


「お花見をするにしてもやる理由が分かりません」

「ん?、ん~~~?。~?~?~?。あ!?こないだのレイドを一番乗りで制覇した打ち上げ♪」

「散々悩みまくって思い付きましたよねその理由?」

「え~。ソンナコトナイヨ~♪」

「思いっきり棒読みじゃないですか!?」


 しかし···先日のレイドで<D,D,D>や<黒剣>を抜いて一番乗り出来たのは彼としても嬉しかったので、何か出来ないかと思っていたのは事実である。だからと言って計画性も無く提案されても頓挫するだけだと思うのはシロエだけではないのではないかと思うのだが。


「やるにしても穴場が良いよな。騒げないし」

「うん、今直君良いこと言った。お姉さんが褒めてあげよう♪」


 カナミのアバターがチョコチョコと直継のアバターの頭を撫でる。


「いや···お姉さんって。俺のが年上だから」

「細かいことはい~のよ~♪」

「ボクも行っていいんですか?」

「あったり前よぅ。ソウジだって仲間なんだから」

「あ!。ソウジがいくならアタシも行く♪」

「ホイホイっと。ナズナも参加ね」

「残念ですが···。我輩は仕事があるので行けませんですにゃ」

「ざんね~ん。班長は欠席っと」


 皆行く気満々だった。班長は既に大人であり働いてる。仕事で来られないのなら仕方ない··残念だが。シロエとしても一度班長とリアルで会ってみたいのだが、さっきのようにやんわりと断られてしまうのである。


(大人なのは間違いないんだけど、どんな人なのか気になるな···)


 そんな考えを巡らせるシロエの耳に不穏な単語が聞こえ。シロエは我にかえる。


「酒の持ち込みはいいのか?」

「許可します。お酒はカズ君担当ね♪。ジャンジャン持ってきなさい」

「いえっさ~♪」

「ちょ!?カナミ!?カズ彦も!」

「料理は私が御用意します」

「OK♪。それじゃあ料理はインティクス担当ね♪」

「久し振りに腕がなります。必ずやカナミを満足させる料理を用意してみせますので!」

「インティクスも!?。まだ日程も場所も決まってないのになんで皆ノリノリなんですか!?」

「じゃあシロ君幹事ね♪。は~いけって~い♪」


 シロエはしまったと思った。さっきまでなら用事があると逃げる事も可能だったかも知れない。そうシロエが考えた時には既に遅く。シロエが《レイド打ち上げお花見会》の幹事をするハメになってしまっていた。

そんなシロエのアバターに、KRのアバターが近づいてきてポンポンと肩を叩き。


「場所は探してあげるから、当日は頑張れ···」

「KR···」


 KRの優しい言葉に、シロエは思わずジーンとしてしまう。しかしKRはそんなシロエを深い谷底へ突き落とす発言を放つ。


「カズ彦とナズナは酒癖悪いから気を付けて。ソウジはギリギリ未成年だから飲まないだろうし大丈夫。あとの3人は知らん。まあ荒れるのは間違いないな。俺···当日は行かないから。

 (・_<)bガンバれ♪」

「薄情もの!!このはくじょーものーーーー!!!!」


 その日、<レイド打ち上げお花見会>の幹事になってしまったシロエの絶叫が木霊した。








             ・・・・・数日後・・・・・



 KRからメールで教えられた場所に行くと。そこには見事な桜の木が花を満開にしてそびえ立っていた。

シロエを始め。他の花見参加者も桜に魅いっている。シロエは言葉が出なかった。元はゲームだけの知り合いだった彼女逹みんなとこうして、見事な桜を前にして同じ感動を共有出来ているのだと。桜の下にシートを広げ、カズ彦が酒を置き。インティクスが料理を並べ始める。その光景を眺めていたシロエは。


(重箱って、どんだけ本気なんだ···。カズ彦もお酒の量多いよ!?)


 KRの発言を思いだし焦り始めるシロエ。


(もし止められないような事態になったらどうしよう?)


 と····そんなシロエの前にオレンジジュースの入った紙コップが差し出される。その手の先を見上げるとソウジが笑顔でシロエを見ていた。


「乾杯しませんか?。オレンジジュースですけど」

「いや···。ありがとうソウジ♪」

「///いえ///」


 何故か顔を赤らめるソウジを見て。ナズナは「でっへっへっへ♪」と··。少し下品な笑い声を出していたのが気になったが、シロエは紙コップを持って。


「では!。先のレイドでの、制覇一番乗りを祝して!!」

「乾杯~♪」×5


 料理に手を付けたシロエはその味に驚愕する。直継やソウジも同様に驚いていた。


「うっま!?。絶品料理祭だぜ♪」

「ホントだ♪。スゴく美味しいです♪」

「当たり前です。カナミに食べて頂くために腕を振るいましたから」

「うまい♪。ようやったぞインティクス。褒めてつかわす♪」

「はは!。有り難き幸せ」


 カナミは既に酔っているのか。時代劇のような喋り方でインティクスを褒めて頭を撫で始めた。インティクスはまんざらでもなさそうで。嬉しそうに眼を細めて頭を撫でられ続けていた。


「この調子なら大丈夫·····かな?」


 このまま花見が無事に終る事を望んでいたシロエは数十分後、KRの忠告と自分の予想の甘さを痛感するハメになるのだった。







「あ~つ~~い······。服脱いじゃえ」

「い~ぞ~ナズナ~。もっと脱げ~♪」

「感謝感激眼福まちゅいだへ~♪」

「先輩逹!!。呑みすぎですよ~」

「おうソウヒ、お前ものへ!」

「カズ彦!!直継も!!ソウジにお酒飲ませるな!!」

「おうオウ、参謀はあいかわらずお堅いね~···」

「シロエ~。花見何だからお前もハメ外せよ~、にゃはははははは♪」

「ナズナも!!ソウジが困ってるから!」

「静かになさい!。カナミが起きてしまいます」

「ごめんなさい。って僕が謝るのはおかしくない!?」


 その場はまさに惨劇。ナズナは酔って服を脱ぎだしてはソウジに迫るし。カズ彦と直継は酔っぱらってその光景を肴に酒をあおるし。ソウジが困ってシロエの後ろに隠れるものだからシロエがターゲットにされるし。せめてもの救いは、カナミが酔って寝てしまった事か。始めは酔ってシロエに絡んで来たカナミも、段々と静かになり、しまいには酔い潰れてシロエの膝で眠り始めた。インティクスに睨まれたりもしたが不可抗力であるので勘弁してほしい。

インティクスは残った料理を自分で処理しているところだ。正直に言えばシロエは困っていた。ものスゴく困っていた。目の前の惨状を見て、シロエは静かにごちる。


「どうしてこうなった····」


 シロエの膝を枕にして、大きな猫の様に眠るカナミが、たまに寝言で「///もぅ。シロ君てば~///····ムニャ」等と言うものだから、今のシロエの状況は拷問に近い。今まさにカナミが起きてしまえば。何もしていないはずなのに、シロエには言い訳出来ないのだ。直継やカズ彦が酔い潰れて寝るまでは起きないでほしいとシロエは願うしか出来なかった。















             ・・・・・後日・・・・・


「いかんな、酔い潰れて何も覚えてない」

「俺も、なんかすげー良いことあった気がすんのに····残念無念祭りだぜ」

「私も····何も覚えてない。折角のお花見だったのに···」

「アタシも、なんか変な事しちゃった自覚はあるんだけど。思い出せないんだよね~」

「皆覚えてないんですか?あの「わー!!わー!!、何でもないんだ。な···ソウジ?」まあ一応?」


 シロエが慌ててソウジの口を塞ぐが。何処からともなく撮影していたKRが写真データを皆のパソコンに送り。更なる惨劇が勃発することになるのだが·····。それは別のお話ということで。



























「KR、このカナミの寝顔のデータの焼き増ししてください。

 取り敢えず保存用と鑑賞用で20枚づつお願いします♪」

「多すぎないか!?インティクス」


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