傷だらけの恋ー夏に向かってー
又々、20年近く前の作品です(笑)前作とは手法を変えた、お試し的な物(笑)
『笑える恋愛』を目指して書いてみたんですが…どーでしょね(笑)
夏の気配を感じる6月。気分はすっかり夏なのに、外は毎日雨雨雨…
こんな日が続くと、夏がどんどん遠くなる気がしてくる。早く梅雨明けしてくれ~!!
『ったく…嫌な雨だなぁ~』なんて呟きながら窓の外を眺めてたら、いきなり後ろからどつかれ、その弾みで窓に顔面をぶつけ、声にならない痛みと言い様の無い怒りを堪えていたら、今は居ない奴の声が聞こえた。
『上野 俊弘くぅ~ん♪な~に黄昏ちゃってんのかなぁ~?似合わない事すると、益々雨が降るわよぉ~?』
『やかましぃわっ!!いきなりどつきやがって!!大体、なんで今の時間に教室に居る!?調理実習じゃねぇのかよ!?』
『今の時間は10分休みよ♪自分の教室に居たってイイじゃん♪何か不満でも??』
『大ありだっ!!さっきも言ったが、いきなり後ろからどつくってーのは、どーゆー了見だ!?中里 絵美さんよ!?』
…と、怒鳴った瞬間にチャイムが鳴り、中里は教室を出て行った。(何しに来たんだっつーの…)
『痛っぇ~…ただでさえうっとーしい気分なのに、余計、気が滅入ってまうわ…』
『まぁまぁ。ちょっかい出す為だけにわざわざ戻って来るなんて、健気ではないか♪そんな素敵な彼女の何が不満なのだ?』
『アホか、神田(お前)は!!ふざけた口調で、もっともらしい事を淡々と喋るな!!大体、あれのどこが健気なんだ!?』
『決まってるではないか。お前が受けた、痛々しい迄の愛情表現そのものが、健気だと言うとるんじゃ。お前を慕う気持ち…その全てを、ああやってぶつけている…。それがわからんのか?
『わかるかっ!!その、健気な愛情表現とやらで、痛々しいメに合ってるのは俺だろがっ!?』
そう言って立ち上がった途端、物凄い悪寒が走り、軽い目眩がした。フラつきながら保健室に行くと、一言『風邪』と、言われた。
熱も38度近くあったので、とりあえず寝かせて貰う事にした。
どの位してからか…目が覚めると先生の姿はなく、ナゼか中里が居た。
『な、何してんだ?お前?先生はよ?』
『職員会議に行った。あたしは鞄を届けに来ただけよ。』
『鞄?てー事は、放課後…?』
『そうよ。4時間目から寝てたみたいだけど…午後の授業分は、あたしのノート入れといたから、後で写しときなよ。じゃ、あたし帰るね。』
『…待てよ。』
中里を呼び止め、俺はベッドから起き上がった。
『お前、わざわざ…』の途中で、中里が振り返りながらのラリアットをかましてきた!!
『おわぁっ!?いきなり何しやがんだ、オメーはっ!?』
『な~んだ、元気じゃん?保健室でダウンしてるって聞いたから、様子見にわざわざ来たのに。不意討ちかわせる元気あるなら、来て損したなぁ~。』
『ちょっと待て。すると何か?鞄を届けに来たのがついでで、本命はケンカ売りに来たってーのか!?』
『あら?それは人聞き悪いし心外だわ。あたしなりの、立派な愛情よ♪』
そう言って笑う中里を見ていたら、神田のセリフを思い出した。そして、その神田から、トドメとも言うべき言葉を、中里は聞いていた。それは…
『恋とは、傷付き傷付けあいながら、育んでいくものなのだ。やがて迎える高校生活最後の夏に向かって、立派な恋を育むのだ!!お互いに傷付くのを恐れていては、夏が来る前に終わってしまう!!上野は未だに、傷付くのを恐れている。良いか、中里?真実の愛が欲しければ、もっと体ごと上野にぶつかって行くのだ!!そうすれば、いつかアイツも理解し、中里にありったけの愛を体ごとぶつけて来るだろう!!挫けず諦めず、頑張るのだ!!』
ーとの事らしい…が、これって、意味違くね?それに俺達は、どちらも『好き』って意思表示はしてないんだが…
『上野って、臆病なんだね?ガッカリだわ。』←この一言で、俺は腹を決めた。そう迄言うなら、神田の言う通り、傷付けあいながら愛を育んでやろうじゃないか!!
お互い、納得いく迄な!?
『中里。俺、やっと気付いたよ。たった今から、お前の気持ちに真剣に応えていくよ。』
『本当!?有難う!!あたしも遠慮なく、その気持ちに応えられる様、精一杯努力していくわ!!』
『ああ♪俺も全力で受け止めてやるさ!!』
ーかくして2人の恋は、意味を履き違えたまま、夏に向かってエスカレートしていくのだった。あぁ…これぞ純愛♪ーby神田ー
(ウソだけど…)
はい、読んで頂き、まことに有難うございます♪前作同様、若干の修正&加筆をしての掲載です。
当時、色々制約のある中で書いてたので、纏めるのに苦労しました(汗)
深く考えずに読んで、笑って貰えると有り難いのですが…如何なもんでしょ?
冬の今時期にコレを載せたのも、ある意味狙ったんだけど(笑)
外したかなぁ~(涙)