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中枢部出のお話。
かなり長い(たぶん
俺たちがバインディングフォレストに潜り始めて1時間。
途中襲いかかってくる虫のようなやつや花が人化したようなやつと戦い、さらに周りの木が突然俺たちを囲みさらにそこら中からモンスター(これからはMOBで)モンスターハウスを作り死にそうになるなど窮地に陥った場面もあったが回復と攻撃を繰り返し何とか切り抜けることができた。
おかげで俺はLV6と後少しでLVアップというところになりキリノはLV5になった。
「ここが……廃村か……」
俺が廃村に入ろうとすると画面が出てきた。
-中枢部ダンジョン-
エリアの中枢部にはダンジョンがあります。そのダンジョンを攻略することで続きのエリアに行くことが可能です。ですがダンジョンには強力なMOB《BOSS》が待ち構えているので十分な準備をしていきましょう。
※豆知識:ダンジョンの《BOSS》は単数でも勝てるよう設定してありますがエリア《BOSS》は複数でなければ勝てないようなとても強い設定にしてあります。
ダンジョン名:バイディ村
攻略適正LV:LV4
BOSS攻略適正LV:LV7
説明:この村はかつてドングリ族の村であった。だがサンミラ帝国の侵攻により村は滅びモンスターは死んでいった。だが、その怨念により死体が動き人を襲うということがたびたび目撃されサンミラ帝国は大軍で村を包囲し攻撃した。数日後サンミラ帝国には負傷した兵が数千人帰ってきた。身に槍が突き刺さった者や片手が溶けてなくなっている者などそれは多数だった。それに恐怖を覚えた帝国は今後一切その村に兵を出さなかったと伝えられている。
「バイディ村……。そしてこの説明……。気持ち悪いな……」
「そうですね……」
キリノはブルブルと体を震わせている。
「おい、大丈夫か?」
「は、はい。すいません……。別に大丈夫です!」
そういったもののキリノはブルブルと体を震わせる。
「無理するな。もう帰るか?」
「いえ……せっかくここまで来たのですし戦いましょう……!」
まだブルブルと震えているキリノを見た俺は妹を思い出した。守ってやらないとな……。
「本当にいいんだな? じゃぁ行くけど絶対に無理するなよ?」
「はいっ……!」
威勢よく言ったもののまだ体を震わせている。妹ではないだろうけどやはりどことなく妹に似ていた。やっぱり……俺が……。
「俺が守ってやるからな……」
つい声を出していってしまった。
「え……?」
キリノは口をぽかーんと開け固まっている。だが数秒後ハッとして顔を真っ赤に染める。
俺も「あ……」と言い顔を赤くした。
「えと……守ってくださいね……」
キリノが突然言った。
「絶対守ってやるからな……!」
俺が守れるだろうか……。妹を守れなかった俺が……。
そう思いながら俺たちはダンジョンに入っていた。
そこには木で作られた家がいくつもあった。
その家殆どが一部破損していたり半壊していたりしている。しかも家には人間の死体が槍で張り付けてあったり屋根の上に人間の首が飾ってあったりとても恐ろしい様だ。
地面には人間の死体が転がっていたりしている。しかも村の広場のようなところでは物干しざおのようなものに人間が10人近くつるされておりそれをたき火で燃やしている。たき火も燃料はドングリの死体と人間の死体だ。
本当に恐ろしい様だ。
「う…………」
キリノが座り込む。
「大丈夫かキリノ!?」
「は……い……。何とか大丈夫です……」
顔を青くさせながらキリノは立ち上がる。
「敵がいる気配が……う!!」
敵が次々と現れてくる。総称でゾンビドングリ兵と言う奴だ。体には弓矢が刺さっている。手も1本なかったり足がちぎれそうになっていたりかなりグロテスクだ。手には槍やら剣やら持っている。
――数にして30……。
たぶんこれが先鋒だろう。
な、なんだ!? 家の中からゾンビドングリ民がやってくるぞ!?
「どうする……?」
「どうしましょうか……?」
そう言っているうちにも次々と近づいてくる。
「ここで固まっていても仕方ねぇよ! 援護頼む。後そっちに行った奴らはすまないがやってくれ!」
そう言って俺は敵の先鋒に突撃する。
俺は抜刀し敵の頭を狙い切りを入れる。
「こういう敵は頭が弱点だ!」
さっき俺が切った敵は体力の9/10の失っていた。
「《スラッシュブレイド》!!」
スラッシュブレイドは剣に自分の気を乗せることにより通常より威力の強い広範囲にわたる攻撃をすることができるのだ。
ズババッ!!!
俺の剣が周囲の敵の頭を切り裂く。それにより5体以上の敵が消滅する。
「キリノ大丈夫か!?」
《ステップ》で後ろに下がりキリノを確認する。
「なん……とか……」
キリノは顔を青くしながらも敵の頭部めがけて初期武器の棍棒を振り回している。
すげぇ……。的確に当ててやがる……。
と、キリノの攻撃に見とれていたら……。
「グァッ!!」
後ろから槍で刺されたのだ。
パッとステップで後ろに下がりHPを確認する。
既に3割減っていた。
俺は恐怖感を覚えながらもゾンビの集団に切りかかって行った。
狩り始めて1時間が経った。
「ふぅ……だいぶ進んだな」
今俺たちは村の中に休憩地という所を見つけそこで休憩をしているのだ。
「LVも随分上がりましたね」
「そうだな」
俺はLV9になった。キリノはLV7だ。
「それにしてもドングリ兵を倒せれば村人はやけに狩りやすかったな」
「そうですね。そのおかげでここまでLV上がりましたしね」
「もう30分狩って帰るか」
たぶん30分もあれば街まで戻れると予測したのだ。キリノもここの狩に慣れ手つきも良くなったしすごい効率なはずだ。30分もあれば……。
「いえ、ここで1時間狩りをしても大丈夫ですよ。ダンジョン内やエリア内の休憩地にいれば強制ログアウトでも死亡扱いにならないそうですよ」
初耳だ。公式にもそういう情報は乗ってなかったと思う。よく覚えてないから分からないが……。
「はい、公式にアップされてましたよ。見てみてください」
そうなのか!
そう思い俺はウィンドウから公式HPを開いた。公式の攻略サイトから『UE』という所を開いた。UEは
ロストオールオンラインの運営が開いたらしくその見易さや情報の集まりの良さや掲示板での賑わいによりその人気はとても高い。
俺はサイトの「最新情報」を選択しその内容にあった記事を探す。
「あ……」
記事を発見したのだ。
エリア内、ダンジョン内にはいくつか休憩地が用意されています。休憩地ではログアウトしても死亡扱いになりません。休憩地では自然回復が通常の2倍で敵も侵入できないようになっています。
「なるほどな……」
「ですから、BOSSが楽に狩れるようになるまでLVを上げましょう」
「そうだな……。だけど明日は一人親友を連れてくるかもしれない。許してくれ」
真一もここでレべリングすればすぐLVアップするだろう。
「いいですよ! トールさんのお友達でしたら別に!」
「ありがとな」
キリノはコクと頷き立ち上がった。
「さてもうひと狩しましょう!」
「そうだな!」
俺とキリノは休憩地の小屋から飛び出した。
再び狩り始めて15分後。
俺は思わぬ敵と遭遇した。
「あれは……なんだ……?」
それは異様な程の重装甲で手には斧を持っている。そいつの鎧は人間の血で赤く染まっている。
ピコン
画面が現れた。
レアモンスター:無双人『ランドーク』
説明:サンミラ帝国の遠征でただ一人生き残ったドングリの英雄。1人になってまでも敵を切り続け討伐数は10000を越えるという。その強さから無双人と名付けられ帝国では恐れられた。
こいつはPTでなければ倒せない超強力な敵だ。だが、こいつを倒すと稀に超レアアイテムやレア装備を落とすことがあるらしい。
「レアモンスターだとよ……」
「戦ってみますか?」
「周辺の敵が多くて戦えないここはひこう」
「いえ大丈夫です私がひきつけます」
「1人で大丈夫か……?」
「大丈夫ですよ!」
「信じてるからな!」
「はい!」
俺はランドークにとびびかかった。
「うぉぉぉぉ! 《トリプルスイング》!!」
俺は飛び掛かるといきなりトリプルスイングを使い敵の不意を衝く。
トリプルスイングとは3回剣を振り敵を切り裂く連続攻撃である。
ガッガッガッ!!!!!
鈍い音をたて剣技が炸裂し敵の鎧に3つの傷ができる。
俺はステップで後ろに後退し敵のHPバーを見る。
「なんだと!?」
何とHPは1/100程しか減っていなかったのだ。だがしかし鎧の耐久度のようなバーは1/10程減っているのだ。
「ようするに鎧を壊せってことか……!」
そういったときのろのろと歩く敵がいきなり猛スピードで走ってくる。そして手に持つ大剣を勢いよく振りかざした。
ガガガガン!!!
瞬時に盾で防御できたが俺のHPは半分削られている。なんて強さだ……。だがこんなのでひるんでいてはいけない。俺はステップで後退する。
「キリノ! 回復頼む!」
「あ、はい!」
ピュルルン
軽快な音をたてHPが全回復する。
「今度はこっちの番だぜ!」
バッと走りステップで敵の背後に素早く回りさらに切り込む。重装であった前にたいし後ろは肌が一部一部露出しているためそこを狙うことで敵の本体にダメージが与えられるようだ。
ガガガ!
トリプルスイングにより敵のHPが0.5割程減る。
敵も大剣を器用に振り回してくる。大剣の重量にもよらず恐ろしい速さで振り回してくるので真上に来れば盾防御しかできない。
ガン! と大剣が盾にぶち当たる。
「う……!」
HPはさっきほどではないが減っている。
さらに敵は連続で薙ぎ払いや振り回しと攻撃し俺は盾で防御するだけになってしまう。みるみるうちにHPは減り残り3割となってしまう。
敵が巨大な振りをしている間に俺はステップで後退する。
「キリノ!!」
「はい!!」
ピュルルン
軽快な音をたて回復する。全回復したHPを見て俺は決心した。
あれを使う……。
「《attack and defense》!!」
全身に赤い気が纏う。
attack and defenseとは防御を捨て攻撃特化する捨て身のスキルだ。防御を0にする代わりにステータスを元の2倍にするのだ。俺の場合attack and defenseのスキルLVは1だ。約5分間継続させることができる。スキルLVはスキルを使用していくたびにスキル経験値が溜まりLVアップするためたぶんこのスキルも5分間攻撃特化状態ならばLVアップするだろう。
俺は走って敵に近づく。敵は横に剣を振りだす。
「一か八かだ!!」
俺は剣が振りだされる直前に大きくジャンプして敵の剣の上に乗る。
「喰らえ! 《渾身の一撃》!!」
兜の隙間に向かって剣を突き出す。剣は隙間を通過し顔面に渾身の一撃が直撃する。
グアァァァァァ!!!!
強烈な叫び声を敵があげる。敵はもがき苦しむ。
緑色の鮮血が散るとともに俺は剣の持ち手に力を込めた。
「まだだ!」
突き刺さる剣を抜く。
「《渾身の一撃》!!」
今度も敵の兜の隙間めがけて突きを入れる。
グサッ!!
ギャァァァァァァァァ!!!
強烈な叫び声とともに鮮血が飛び散る。
俺は急いで突き刺さる剣を抜いてステップで後退する。
「ハァハァ……」
渾身の一撃はその名の通り自分の力を奥底まで使い果たす捨て身スキルだ。体力が2割近く減るためあまり使っていなかったが此処まで使えるとは……。
俺のHPバー4割減っている。
相手のHPバーは……8割減っている!!
その時敵がよろめき倒れた。
「このチャンスを逃すか!!」
勢いよく走りそして倒れている敵の手前でジャンプする。
「《渾身の一撃》!!」
俺は落下のスピードを利用して敵の鎧に剣を突き刺す。
グサッ!
鈍い音とともに鮮血が鎧が噴き出てくる。
さらに敵のHPバーが消滅したのだ。その巨体は結晶となり消えていった。
「やったぞ!」
その声とともに
タラララ~ン
LVアップの効果音が2回鳴り響く。
さらに、画面が表示される。
-称号獲得―
《鮮血の英雄》
キリノの方を向くとゾンビどもに囲まれかなり危ない状態になっていた。
「待ってろちくしょぉ!」
バッと走り包囲網を突き破りキリノを救出する。俺はキリノをお姫様抱っこして包囲網を軽々と突破して小屋に戻った。
俺の禁止プログラムはすべて解除されているためお姫様抱っこでもやらしい行為でもなんでもできてしまう。
「ごめんな……遅くなって……」
「いいんです……! 私がドジだったから囲まれちゃったんです!」
「いや……俺のせいだ……。ごめんな……」
「そこまで気遣ってくれて……ありがと……。それで倒せたんですか?」
気を取り直してキリノがきいてくる。
「あぁ何とか行けたぜ! LV2アップしたしかなり強敵だったんだろうな……。戦利品はPTBOXに収まってるはずだから見てみようぜ」
PTBOXとはPTを組んでいるときのみに発動する特殊な収納BOXのことだ。PTがとった物は全てここに集められる。後でメンバーで配分できるということだ。
「待ってくださいね……。素材とかたくさんありますけど……これ……見てください。レアアイテムとレア装備が2つずつあります」
「PT用のMOBだけにPTMの数だけドロップするってことか。それにしても装備ドロップは低確率でレアだからかなり確率が低いんだ。俺たち運が良かったな!」
「早速配分しようぜ!」
―PTBOX―
アイテム:毒花の花びら×4、毒花の葉×3、麻痺花の花びら×5、睡眠花の体液×2、毒蟲の肉片×4、毒虫の硬質皮×3、とげつきの木片×2、血の槍×7、血の矢×9、血の弓×8、血の剣×7、鮮血の大剣×2、血英雄の防具×2、英雄の証×2
装備 :血英雄のメイス×1、血英雄の刀×1、血英雄の盾×1
獲得金額:4337N
俺とキリノはアイテムと獲得金額を分け合い、装備を分けた。
強制ログアウトまで残り20分となり俺とキリノは休憩地でログアウトしたのだった。
【トール】LV11
職業:戦士
所持金:2534N
武器:血英雄の刀・血英雄の盾
防具:初期防具一式
【キリノ】LV10
職業:司祭
所持金:2132N
武器:血英雄のメイス
防具:初期防具一式
―アイテム分配―
【トール】
毒花の花びら×2、毒花の葉×1、麻痺花の花びら×3、睡眠花の体液×1、毒蟲の肉片×2、毒蟲の硬質皮×2とげつきの木片×1、血の槍×4、血の矢×4、血の弓×4、血の剣×4、鮮血の大剣×1、血英雄の防具×1、英雄の証×1
【キリノ】
毒花の花びら×2、毒花の葉×2、麻痺花の花びら×2、睡眠花の体液×1、毒蟲の肉片×2、毒蟲の硬質皮×1とげつきの木片×1、血の槍×3、血の矢×5、血の弓×4、血の剣×3、鮮血の大剣×1、血英雄の防具×1、英雄の証×1
もうすぐデスゲームの章に行きます。
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※超長いです(5800文字ぐらいでした。
すいません。