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今日の最後の話
ギルド『市』。
それは同業組合であり、現実世界での親友の集まりでもあった。
プレイヤー名『楼楽』――佐中雄二は京都にある大学の学生であった。そこで出会あい一緒に遊んだのが4人だった。その中の4人全員がこのゲームという名の隔離施設に閉じ込められた。4人全員が市に入りそして幹部――サブマスターを務めた。
前の幹部は4人。今の幹部は3人。
1人死んだのだ。市と闇市が対立し始めた時に闇市に捕らわれそして命を落とした。名はリーサ。雄二の恋人であり、結婚する予定であった。リーサは闇市に倉庫にある延命の花
全てを条件に人質とされた。勿論その条件をのみ市プレイヤー十名で輸送を行った。それで、リーサは帰ってくるはずだった。それなのに、リーサは殺された。延命の花を持ったプレイヤーが市を裏切ったのだ。闇市に延命の花を売り飛ばしたのだ。条件は延命の花と人質の交換。金と交換するのではない。つまり、交換条件不成立となった。そして、リーサは殺された。雄二の心はその時に死んだ。そして生まれた思想は一つ闇市への復讐。
幹部の沙奈と坂でコロンダは恋人同士だった。そして今回の事件で坂でコロンダが死んだ。闇市を許さない。そう――絶対に……。
護衛傭兵は10人。集まるのにさほど時間はかからなかった。いつもお願いしている傭兵ギルド「西海の傭兵団」に10万Nと引き換えに10人集めてもらった。
自分の装備はいわば自分自身で造れる最強装備だ。攻略組が使う前線装甲を集め、腕のいいスキルアップを要請した物だ。ボーン・ベルと言う堅骨で作られた槍を装備している。護身用に麻痺属性の付属した小型投擲とナイフ。回復薬を数個だ。
「準備はいいな。行こう」
楼楽は集まった傭兵に声をかけ、背中に背負う槍を両手に持った。こんな無謀な事はしてはいけないのだ。だが、私はリーサが死んだ時復讐を誓った。そして、復讐を果たすときは今だ。
「どこに行くんです? 今回やけに報酬が多かったですが……」
傭兵隊長らしき人物が、首を傾げる。
「行先は滝の上にある洞窟だ。そこまで護衛してくれ」
ソースは、市の幹部「全滅隊長」だ。間違いない。
俺が、楼楽の場所を聞くと全滅隊長は「楼楽なら、滝の方に出かけると言っていた。かなりの重装甲だった」と言っていた。護衛を雇った形跡も残っている。
そして、滝の方には闇市の活動拠点としている洞窟がある。
つまりだ。今分かっていることから推測できるのは、楼楽が何らかの目的で闇市の活動拠点の洞窟に向かったということだ。延命の花を採取しにいったと考えられるが、それはないだろう。延命の花採取のために重装甲になる必要もない。護衛を雇っているのだから出来る限りの軽装が良いはずだ。
嫌な予感はこれだったのだ。
「くっ!!」
楼楽が出発して1時間経っている。間に合うのか。間に合わなかったら楼楽はどうなるのか、それが容易に想像できた。俺がついたときには楼楽はいない。そんな想像ができた。
だが、俺はそんなことさせない。必ず救って見せる。
今俺がいるのは入口付近の森だ。滝があるのは、ここからアリア外周4分の1程言ったところだ。急がなければならないのだが慎重にいかなければ徘徊している賊ギルドや闇市に見つかってしまう。それだと逆に時間がかかってしまうし、死人が出てもおかしくないだろう。そんなのは絶対に避けたい。大回りでも確実な方向を行った。
森を観光する団体と出会い目撃情報を聞いた後、俺はさらに進んだ。目撃情報からは有力な手がかりはなかったが、その後であった其れらしき人物を見たかもしれないという採集家に話を聞くことが出来た。やはり1時間前に数人の護衛を連れた大男がここらを通って滝の方向に向かったらしい。
「ありがとう、おっさん!」
俺はその採集家≪BEBE≫に軽く手を振った。
「おうよ。少年よ、ここからは闇市テリトリーだ。十分気を付けて行けよ」
その言葉を背中で受け止め心にしまった。歩く速さを緩めず前へ進んだ。
洞窟までは数時間で行くことが出来た。今回は賊と会うことがなかったので幸いだった。
洞窟の前で楼楽はついてきた傭兵に告げた。
「護衛ありがとう。金は支払う」
「え? 洞窟の中までじゃないんですか?」
傭兵は首を傾げる。
「ここまでで良い。金はこの袋に入っている。10人で分けるがいい」
アイテムBOXから取り出した袋を傭兵隊長に手渡す。傭兵隊長も納得したようで、袋を収め「総員撤退」言った。
帰る傭兵たちを見守り、視界から消え去った後、胸に手を置いた。
「紗枝、洋平。この日が来たぞ。絶対仇を取るからな……」
天にそう語りかけ、そして背中に背負った槍に手を掛けた。
本当にこれで良いのか。そんな反対の思いが今になって次々にこみ上げてくるが。何も得ない戦いは止めろ、と自分の心は叫んでいた。何も得ないわけじゃない。仇を取る。
リーサ――氷見紗枝と坂でコロンダ――津坂洋平の仇を――。
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