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更新遅くなり誠に申し訳ありませんでした。


これで章が終わり、次からは新たな章になります。


教会から神殿まではそう遠くなかった。モンスターと戦いながら向かって10分かかるか、かからないかというところだった。

 俺たちが神殿に着いた時には既に中央部隊が到着し、神殿を包囲していた。門番のモンスターは中央部隊が排除しており、いつでも突入できるような状態にしてあった。

 それからもう1部隊の到着を待った。勿論、それまで何もせず待っていたというわけではない。近接系のプレイヤーは城門の耐久値を下げ、遠距離系のプレイヤーは神殿の角に設置される4つの櫓や、神殿内目がけて遠距離攻撃を放った。

 そうしているうちに1部隊が到着した。聞くとこによると、砦が堅固だったため苦戦したとのことだ。砦は、巨大な館で各地にモンスターが点在していたらしい。特に館内の部屋1つずつにゴブリン弓兵がいてドアを開けた瞬間に矢を連射してきたらしい。想像しただけ厄介な相手だ。HS(ヘッドショット)と言われる、頭を銃弾や矢その他の貫通系武器が頭を貫通することにより一撃で死に至るという即死攻撃をされたらひとたまりもないであろう。ちなみにこれは敵からの攻撃だけであってプレイヤーの攻撃にはHSは存在しない。

 部隊のプレイヤーの中にはHSされた者もおり、兜のおかげで即死は免れたらしいがHPが8割近く減少し、さらにその後に残る尋常な痛みにより前線から単独で撤退したらしい。よく撤退できたものだな……。


「とりあえず全部隊揃ったな」

 中央部隊の隊長と思われるプレイヤーが確認を取る。

「これから突入する。私含む5人の特攻隊で敵主将を倒すので、その他のプレイヤーは近寄ってくる取り巻きを潰してほしい」

「では突入する。突入だぁ!」

 大声で叫ぶと、それが聞こえたプレイヤーが一斉に門に押しかけ破壊しかけた門を一気に突き破った。

俺も神殿の庭園をうろちょろとしてゴブリンを倒していた。神殿全体でおよそ100のゴブリンがいると言われていたが、多勢に無勢だ。こちらは屈強なプレイヤーが500人いるのに対し相手は弱小のゴブリンが100体いるだけだ。

 神殿突入後、数分で主将撃破のログが流れた。主将撃破により残存するゴブリンが一斉に逃げ出していった。

 

 『クナシリア』が解放されました。

 『クナシリア』の施設が使えるようになりました。

都市復興NPCが現れました。1週間後復興されます。


「案外呆気なかったな……」

 俺は、新たな町『クナシリア』から少し離れた所にある見晴らしのいい草原に横たわっていた。隣にはキリノと祈が座っていた。

「そうですね……今戦死者の名前をギルドが確認しているのですよね」

 クナシリア攻略後、運営から戦争報告のメールが届いた。そこにはプレイヤー軍の死者数がはっきりと書かれていた。ユンノーシ防衛戦の時に比べれば死者の数は少ない。普通のMMORPGなら平常心を保てるだろうが、この世界は違う。VRMMO――仮想空間に生まれる自分を操り、そしてこの世界で死ねば現実の死と同様となるのだ。クナシリア攻略戦でプレイヤーが死に、まだ花束を供えていない。この戦争のために死んでいったプレイヤーに何もせずに施設を使うことが、罪に思えて仕方がないのだ。

「正直言うとキリノといたくない……。キリノを死なせたくないから……」

「私は……トールさんと一緒にいたいです。大丈夫、私は死にません!」

 それは俺の悲しみの心を奮い立たせてくれた一言だった。

「俺はこれから新たなエリアの攻略に進むつもりだ……。ついてきてくれるか?」

「もちろんです!」

 嬉しかった。その答えが嬉しかった。キリノの声が、俺が幼稚園の頃の優しかった母さんの声に聞こえてきた。


 戦死者の確認にそう時間はかからなかった。俺とキリノと祈は花束を買い墓へ供えた。

 それからは、俺の有り余った金でキリノと祈の装備を整えた。勿論頼んだのは専属鍛冶屋であるエリンだ。かなり質の良い装備になったキリノと祈を引き連れてユンノーシにあるいつもの酒場へ向かった。

「俺はソーツ平原攻略をしたいんだ。祈はどうする?」

 俺は木のコップに入った水を飲みながら言う。

「お兄様が行くのであればついていきます!」

 元気よく答える。

「そうか……」

 俺はコップの水を飲みほす。

「出発は明日でいいか?」

「「はい!」」

 二人合わせて返事をする。

「急ですまん……」

「問題ないですよ!」

「ついでにその時紹介したい奴もいるんだ。いいか?」

「はい」

 リナリアは今何をしているだろうか……? たぶん元気にやっているだろうが今まで連絡が

一切来なかった。やはり不自然だ。とりあえず今日の夜あたりに酒場に来てもらおう。

 そして、料理を食べたりして今日は解散になった。集まるのは明日だ。各自準備してくることになっており俺も準備に追われるはめになった。


 酒場にはリナリア含むPTMが集結していた。リナリアとは昨日の夜会った。俺たちと一緒にいかないかと言うと「行くにきまってるでしょバカ……」とツンツンとした口調で言ってきた。俺ってバカなのだろうか……。

 リナリアについてだが、エリアに籠ってLVを上げていたらしい。どこでLVを上げていたかは教えてくれなかったが駐屯所あたりだろうと予想がつく。

「キリノ、祈、準備は出来てるか?」

「はい。準備万端です!」

「私も準備できています」

「この町とも最後になりそうだな……」

 あらかじめエリンにはこの事を伝えている。エリンは前線の町――つまりクナシリアに引っ越すと言っていた。俺は店舗を借りる金を全額払わされた。しかもかなり良い物件を選びやがった。NPCが笑顔で「3万Nになります~。さっさと払ってください~」って言ったときは殴りかかろうかと思ったぐらいだ。

「そうですね……」

 すべての始まりの町――。この町から最悪のデスゲームが始まった。怯えていたあの時が懐かしく思える。

「じゃぁ行くか……!」

 俺は椅子から立ち上り言った。



「「「はい!」」」



 旅の始まりの合図が、酒場中に轟いた。


誤字脱字、感想、お気に入り登録などよろしくお願いします。




これまで支えてくださった皆様ありがとうございます。

今後もよろしくお願いいたします。

           2012年3月16日23時56分

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