14
午前3時エリンが装備強化が終わったらしく鍛冶屋に行くことにした。それにしても3時まで寝ずにやったのだろうか……。そうだとしたら体に悪いからちゃんと寝るよう叱っておこう。
そして鍛冶屋に着き本人から聞いてみるとやはり寝てなかったらしい。きつく叱りそれから装備を見せてもらうことにした。
「なんなんだこれは……?」
そう言うのも無理はない。何せ俺の目の前にはがちがちの重装防具ではなく、布で作られた黒色のVネックのTシャツ。その上に着るのであろう黒色の布で作られたコート。黒色のズボン。
「えっとねぇ……実は……」
話によると重装防具を作ろうとしたもののマステマの心という素材がある限り布系の装備しか作れなかったらしい。ただ、マステマの心を抜いて防具を作ろうとすると前着ていた防具の防御力とほとんど変わらないものになってしまうため仕方なく作ったということだ。
「で、でも『黒の死神』は鉄素材で出来ているから防御は万全だし両肩にも鉄防具がついてるよぉ! 『黒の血』とか『ダークネス』も鉄素材だからたぶん大丈夫だよぉ!」
『黒の死神』がコートで『黒の血』はこのVネックのシャツの名前らしい。『ダークネス』がこのズボンの名前だ。名前はカッコいいのに防御性能が悪そうだ……。
「ま、まぁ後で防御力を確認するとして……。武器は……?」
「武器は大丈夫だよっ!」
そう言ってカウンターの下から取り出した。
「これの剣が『黒将』でこの盾が『ダークシールド』だよぉ」
黒将は全体が黒光りしておりとても美しいフォルムだ。刃の部分が時々光る。ブルーライトシールドは名の通り全身黒色の素材で出来ている。
「黒将は暗い夜でも黒光りが発動するようになってて、ダークシールドは夜ではその姿を隠すことができるようになってるよぉ!」
そう言った後カウンターの装備に手を翳し何かをしている。
「何をしているんだ?」
「これは、鍛冶職人特有のスキルで耐属性の能力を付属できるんだよ」
「なるほど……。でもなんで俺が来る前にやらなかったんだ?」
「カッコいいから」
「はぁ……?」
意味が分からないことをおっしゃっているようだ。とりあえず話を逸らそう。
「とりあえずさ。早く着てみたいんだけど」
「…………」
「着れないのか?」
「もういいよっ!」
「そうか!」
俺はエリンの了解を得て装備を装着する。
そして、俺は驚愕した。防御力がすごすぎるぐらい上がっている。これには驚きだ。
「破れやすそうな布なのに防御力たけぇな……」
「そりゃそうだよぉ!」
俺は剣を持ちスキルを使ってみる。
「トリプルスイング!」
シュッ! シュッ! シュッ!
空気を切り裂く音が鳴る。
「使いやすいし良いな」
「そりゃそうだよぉ」
エリンは胸を張って言った。
盾の方もかなりのでき前で軽いわりにはDPが異常に高かった。
「この装備と引き換えにどんなものを集めてくればいいんだ?」
この装備の質からしてとんでもない物を要求されそうだがしょうがない。頑張って集めよう。この装備のためならなんだって集められるはずだ。
「今需要が高いのは駐屯所で取れる鉄なんだけどねぇ。トールンは侵攻作戦参加するんでしょ
?」
「参加するけど……それが何かあったか?」
「いや……。そうだなぁ。今回は侵攻作戦頑張ってほしいからタダにしてあげる! 本当は10万N越えなんだけどね……」
「駐屯所の鉄なら少しぐらいなら余ってるぞ?」
実は露店で全ての鉄を売ったわけではなかったのだ。実際あったのが7キロ、売ったのが6キロ。つまり1キロ余っているということになるのだ。
俺はアイテムBOXから鉄を取り出してカウンターに置く。
「これだけかぁ……」
「すまない。さっき露店で売ったからな」
「べ、別に良いんだよ。これだけでも! ありがとうね! 2日後だしゆっくり寝よう!」
「そ、そうか……。それなら今日は寝るわ。エリンも早く寝ないと体壊すぞ」
「トールンもだよ」
「そうだな…」
そうして俺は装備を受け取り鍛冶屋を後にした。向かったのはもちろん門だ。こんなに良い装備を作ってもらったのにタダ受け取るわけにはいかないのだ。駐屯所の鉄なんて2時間もあれば何キロでも取って帰ってこれるからな。
無事鉄を採集し町に帰った俺は真っ直ぐエリンの鍛冶屋に行った。起きてないことを願うのみだな。
静かに鍛冶屋のドアを開ける。店内は薄暗く誰もいない。エリンは既に寝ているようだ。
「カウンターの上にでも置いて帰るか……」
俺はカウンターに10キロの鉄を置きすぐ鍛冶屋を出て宿屋に向かった。
朝は快晴な天気ではなかった。大粒の雨が天から落ちてきて地面をたたいた。こんな日は動くきにはなれない。俺は今日は部屋に閉じこもっていることにした。侵攻戦は明日だし体も休めておきたいからだ。俺はベッドに寝転がりネットの掲示板やら、新しく作られた動画サイトを見ながら1日を過ごした。
決戦当日となった。現在の時刻は10時。ユンノーシ出征は11時である。
今回の戦い前の集合地は各軍団によって違う。軍団は一定人数で分けられており俺の配属された軍団の集合地は軍事編成所となった。既に集まっている人が何十人かいる。その中の1人は俺だ。
今回の参加者は2000人を超える。こんなに人数が多いのだ。勝てないはずがない。だが、死者が出たら意味がない。
俺はより一層気を引き締め出征時刻を待った。




