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活動報告に記載した通り

次章からは週刊で行きます。

 激闘が始まった。数分で俺のHPは数割減らされたが、敵のDPを半分削ることが出来た。リリアンたちは次々と現れる敵兵に一杯一杯でこっちに回す余裕がない。マステマは俺一人で殺るしかないのだ。

 俺とマステマは白熱の空中戦を繰り広げていた。と言っても俺はずっと浮いていられるわけではないので、マステマの体を使ってジャンプしたりと色々工夫して空中での滞在時間を長くしている。

『シヌガイイ!』

 マステマが空中にいる俺に向かって青白い玉――正式名称「悪魂(イビルソウル)」を投げつけてくる。それを盾で防ぎ、代わりにブレードをお見舞いする。この手の攻撃は何度もうけているのでそれなりに防ぎ方、それからの反撃の仕方は分かる。

「攻撃パターンが同じ過ぎて暇だな!」

 空中で剣を2度振るいDPにダメージを加える。

「ちょっと身体を貸してもらうぞ!」

 壁ジャンプの要領でマステマの腹あたりを使ってジャンプする。

『コザカシイマネヲ!』

 マステマが悪魂を発射する。勿論の如く盾で防御する。そして俺はブレードを放つ。そうマステマの攻撃パターンはまさにこれだ。空中に舞う俺に向かって悪魂を発射した後は何もしない。ブレードを放った後、腹の近くに行って攻撃しても何もしない。俺が腹ジャンプしたらようやく悪魂を発射してくる。これの繰り返しだ。

 なんて簡単なモンスターなんだ……。マステマのDP消滅には10分もかからなかった。その間に後ろで足止めされていたリリアンたちも敵兵を倒して此方に追いついてくれた。それからはPTでの連携でマステマに順調に攻撃を加えていった。そして――。

「うおぉぉぉぉ!!!」

 放ったのはブレードだ。この頃スキル名を発しなくてもスキルが自然と打てるようになってきた。何かのバグだろうか?

 光の剣はマステマの腹に真っ直ぐに進み突き刺さる。

『グオォォォ!』

 マステマのHPがレッドゾーンに突入した。

『キサマ……。ワレヲホンキニサセタナ……』

 今まで左手の周りを漂っていた悪魂が左手に吸収されていく。左手には青色の炎がまとわりつく。さらに、背中についていた羽が紫から青色に変化する。

『ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!』

 その叫び声が聞こえた。その時俺の腹を抉るように何かが掠れる。その何かは俺の隣にいた戦斧を使う戦士――ベンちゃんを吹き飛ばしていた。

 ベンちゃんはそのまま吹き飛ばされ神殿の横にぶち当たる。

「ベンちゃん!」「ベンさん!」

 もう一人の戦士で槍を使う――ぶくぶく虫とリリアンが叫ぶ。リリアンの近くであたふたしている白亜が暗唱し始める。

 俺もベンちゃんが飛ばされた方向を見ていた。そしてあることに気づいた。()()()()()()H()P()()()()()()()()()()のだ。ベンちゃんの体が結晶となり消えていく。

「ベンちゃん!!!!!」

 俺は叫んだ。嘘だろ……。死んだのか……? 死んでない。βテストのときみたいに死んだら広場の噴水のところにまで戻されるだけだ。そう思いたい。俺はこんな状況にも関わらずチャット覧を開きベンちゃんに個人チャットを飛ばした。返事として返ってきたのは本当に無惨な言葉だった。


“ベンちゃん”を確認できませんでした。アバターが存在しません。またはアバター名を間違えている可能性があるので再度確認してください。


「う…そ…だ…ろ…」

 俺はその表示を何度も見直していた。やっぱり確認できない。ベンちゃんは死んだんだ……。

「俺が時間を稼いでいる! お前らは逃げろ!」

 俺は咄嗟にそう叫んだ。このままだったらみんな死ぬだろう。そんなの嫌だ。許さない。俺が許さない。死ぬのは俺だけで十分なはずだ。みんなを守りたい。

「で、でも……!」

 そう言ったのはリリアンだった。

「いいから逃げろ!」

 俺は剣を構えながら言う。俺の強い気持ちに答えてくれたリリアンが「此処は任せて逃げよう」とみんなを先導してくれている。

「ベンちゃんの仇だ! 絶対殺す!」

 俺は叫ぶ。だがマステマはニヤッと笑い消えた。()()()のだ。


「キャァァァァァァァ!!!」


 リリアンの叫び声が後方から聞こえてきた。その数秒後にズドン! という音が聞こえてきた。俺は咄嗟に後ろを向く。リリアン達の近くにマステマの姿があった。腕を地面に振り下ろしていた。

「ぶくぶく虫!」

 腕に潰され血を吐いているぶくぶく虫の体はどんどん薄くなっていき結晶となり消えた。

 マステマの腕は地面から引き上げられ腕を振り上げる。リリアンと白亜は動かない。動けないのだろう。

「くそっ!!」

 俺は地面を蹴り飛ばし走った。剣を一層強く握りリリアンに近づく。後15メートル。


 ズドン!


 マステマの腕が振り下ろされる。腕の下敷きになったのは白亜だった。ぐしゃっ! という音ともに血が飛び散る。

「白亜ッ!!」

「リリさん……。トールさん…」

 途切れそうな声が聞こえてくる。薄らと見える白亜の体は結晶となり消滅する。

 マステマが腕を振り上げる。

「くそぉぉぉぉ!!」

 間に合ってくれ! 間に合え! 間に合え! 間に合え! 間に合え! 間に合え! 間に合え! 間に合え!

 残り3メートルほどだ。間に合った……! 俺が手を差し出そうとしたその時――。


 ズドン!

 

 それは何の躊躇いも無く振り下ろされた。俺の目の前で無惨にも振り下ろされた。俺の頬に血が飛び散る。

「トールさん……」

 そう聞こえた数秒後リリアンの血まみれの体は結晶となって消えていった。

「う…そ…だ…ろ…」

「くそぉぉぉぉぉぉ!」

 心が熱く震える。そして、何かが解放された。


 スキル【怒りの鉄剣】が解放されました。


 そう表示された時頭上にマステマの腕が振り下ろされた。

 もう何も感じない。俺は心で「怒りの鉄剣」と唱え剣を頭の上に突き出した。

 ズブッという音が聞こえた。血が剣を伝い俺の顔を赤く染める。

『グァァァァァァァァァァァァァ!!!』

 マステマは剣に突き刺さった腕を引き抜き呻きながら倒れる。

『ナゼナンダ……! クソォォォォ!!』

 そう聞こえたときにはマステマの姿は無かった。死んでいった仲間――リリアン、白亜、ぶくぶく虫、ベンちゃんの遺品である武器が転がっていた。

「リリアン……」

 俺はリリアンの武器「風の弓(ウィンドボウ)」と「鉄の矢」が転がっているところにゆっくりと歩く。

「ちくしょう……」

 掠れた声が俺以外にいない薄暗い神殿に響き渡る。俺はリリアンの武器がある所で立ち止まる。

「ちくしょおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 俺の悲しみの声が神殿内にいつまでも響いた。


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