表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/43

9

 起きたら時刻10時だった。寝過ぎたかと思ったが着替えて朝飯を食ってイベント会場に向かったとしても30分は余ってしまうだろう。余ってしまうだろうというか余ってしまった。

「30分間暇すぎるなぁ」

 そう――俺は今それらの事を済ませイベント会場にいるのだ。今イベント会場には100人ほどプレイヤーが来ている。観客か参加者は見分けがつかない。ついでだがイベントのルールも確認しておこう。イベントは最初、予選から始まる。100人構成の1グループが何グループも組まれる。各グループでフィールドが用意される。フィールドは森林地帯や山岳地帯、火山地帯など色々用意される。フィールドに100人が各地に散らばりそこから戦いがスタートする。フィールドには絶えずモンスターがポップされそのモンスターを殺し続けながら最終的に残ったプレイヤーが5人なった時点で終了となるサバイバル制だ。勿論の如くPvPは適用される。各グループから選出された5人ずつがイベントの本戦にて戦うことが出来る。因みにだが、イベントでの死は現実の死にはならない。さらにイベント専用支給品が配布される。俺に配布されたのはこれらの物だ。

イベント専用回復薬×5

イベント専用スタミナ回復薬×5

イベント専用治療薬×5

イベント専用投擲×5

イベント専用砥石×5

これらはイベントが終了すると自動的に回収されるようになっている。

 それにしてもさっきから次々に人が増えている。1人、また1人、また1人とプレイヤーが入場してくる。これは大反響になりそうな予感だ。


 12時になりイベント会場の闘技場はプレイヤーで溢れかえっていた。ゲーム内での死は現実の死という緊張感と恐怖感を解きほぐすには絶好だろう。

『これよりイベントを開始します。まずは予選を開始します。10秒後各フィールドに移動します。フィールド移転1分後から戦闘を開始できます。それまでに準備してください。』

機械染みた無感情な声がイベント会場を駆け巡ると共に空中に大きく「10」と表示される。その数字は1ずつ減っていく。

――そして。

「0」

気づいたらそこは洞窟の中だった。

『第4グループの皆様へお知らせします。ここは洞窟フィールドです。出口、入口はなく勿論の事安全地帯もありません。1分後モンスターが各地でポップされます。準備してください。なおモンスターからの経験値はありません』

 それと同時に俺の視界の右端のところに「100/100」と表示された。100……、洞窟の中で生きているプレイヤー数だろう。

『1分経ちました。これより戦闘を開始してください』

 そうアナウンスが流れる。俺もそのアナウンスを聞き移動を開始した。予選ではPvPが適用される。ということはライバルを後ろの方から不意打ちすることもできるというわけだ。と、思っていたら右端の表示が99になった。この早さだとPvPでケリを付けたと言える。流石に早すぎる。

「とりあえずプレイヤー探さねぇとな……」

 しばらく洞窟内を歩いているとモンスターと出会ったが瞬殺した。とりあえずだがここのモンスターは弱すぎる。敵が単騎だったからかもしれないが弱小すぎて話にならない。さらに歩いていると複数のモンスターと戦闘しているプレイヤーを発見した。

「手始めに……」

 俺は抜刀して機会を伺う。プレイヤー名は「リナリア」という女性プレイヤーだ。盾と剣を持っている戦士だ。外装は綺麗な金髪と整った顔つきをしており、ずっと見ていると見とれてしまいそうな美しさだ。年齢は俺より少し上って感じだ。

 作戦ではリナリアがモンスターを全滅させたと同時に弱ったところ切りかかるという残忍な手口だ。だがしょうがないのだ。真っ向から向かっていって回復薬を無駄に使いたくないのだ。とうとうリナリアがモンスターを倒しきった。

「神様……許してくれ……!」

 俺はその場から飛び出しリナリアに駆け寄る。そして、俺は手に持つ剣を振るう。


 ズバン!


 俺は切った。リナリアの間近でポップした亜人系モンスター「ゴブリン」を真っ二つに。

「な、なに!?」

 真っ二つになったゴブリンは消滅する。

「なんでタイミングよくポップするんだよ! ちくしょおぉぉぉぉ!」

 俺はポップしたゴブリンを恨み、その場からステップで一歩下がる。

「な、何なの!?」 

 リナリアは叫ぶ。それもそのはずだろう。いきなり現れた謎のプレイヤーがいきなり自分の近くに現れたモンスターを切り、いきなり奇声を発するのだ。びっくりしない奴なんていない。

「ちっ! これは真っ向から殺るしかない……!」

 舌打ちをした後「バーサーク」を掛け戦闘準備をする。

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」

 リナリアは手のひらを前に突出し、手で「ストップ」の形を作る。

「あぁん?」

「だーかーら! 攻撃するのは待ちなさいってことよ!」

 何言ってんだこいつ……?

「なんで?」

「なんでってそれは! …………。仲間でしょ!」

「いつ俺がお前の仲間になった?」

「いつって……。そんなの知らないわよ!」

 とりあえず殺さないとらちが明かない。俺は剣を構えリナリアの首筋に剣を突きつける。

「なんでそうなるのよ! 私はただ……」

 まだ言うかこいつ!

「ただ……?」

「あなたと仲間になりたかっただけなのよ!」

 リナリアは顔を赤らめていった。なるほど……。出任せだな。

「助かろうったってそうはいかない。お前はここで殺る」

「こうやってお願いしてるでしょ! 何なのよ!」

 そうリナリアが言った次の瞬間――。

 

 ズブッ!


 何かが刺さった音。俺の腹部には鋭く尖った――槍の先端が深々と突き刺さっていた。何かの間違いだろうか? そう思ったがやはり俺の腹部からは大量の血が溢れだしHPが減少している。強烈な痛みが襲ってくる。

「ぐふっ……」

 俺の腹部に突き刺さっていた槍が抜かれる。俺は腹を抑えながら後ろを向き敵を確認する。

「死んで……ない……」

 そこに立っていたのは軽装の槍を持った男性だった。背は俺よりはるかに高く俺を眺めるような形になる。

「な、なに!? 一体何が起こったの!?」

 近くにいるリナリアは慌てふためいている。槍を持った男性プレイヤー「白月」もまた同じように慌てていた。

「くそっ……! リナリア、下がってろ!」

 俺はそう命令し剣を白月の方に向ける。リナリアは「何なのよ! もう!」と叫びながらも俺の命令に従い少し下がる。

「な、なんで死なないんだ!? 普通なら死ぬはずなのに!?」

 慌てふためく白月は手をがくがくさせながらも槍を構える。そりゃ死なないはずだ。俺はLV25だ。一発では不可能だ。というか装備とかの分も考慮しても俺のHPは1割程しか減っていない。白月はどんなプレイヤーと戦ってきたんだ? というかモンスターとしか戦ったことないんじゃね? 俺も同じようなもんだけどな。

「もう後戻りはできないからな……!」

 俺はそう言い剣を強く握りしめる。

「くそおぉぉぉ!」

 狂ったように白月が槍を振り回しながら襲いかかってくる。

「『スピードブロウ』」

 スピードブロウ。俺がLv25になったとき覚えた技だ。凄まじい速さで移動し、その勢いを使い、見切れないほどのスピードで剣を振るい敵を切り裂く。Lvが上がるごとに剣を振るう回数が増えていく。最高で5回になる。

 それは本当に一瞬だった。スキルを放った直後白月の後方に俺はいた。白月の体から血が噴き出している。

「う…そ…だ…ろ…?」

 そう言い残すと白月は結晶となり消えていった。

「う…そ…で…しょ…?」

「何がだよ」

「あなた……」

「だから。なんだよ」

「あなた……私の仲間になりなさい!」

 何を言い出すかと思えば……。呆れる。

「無理だ」

「なんでよ! 私はあなたと仲間になりたいの! ダメなの!?」

「あぁ駄目だ。既に俺には仲間がいる。信頼できる仲間がな」

「………………」

 強く言い過ぎただろうか? リナリアの目に涙がたまっている気が……。

「なんで……ダメなの……!?」

「あ、あぁ駄目なもんは駄目だ」

 や、やばいぞ……。本格的に泣き出しそうだ。

「うぅ…うぅ…。いじわる……! 何なのよ……! 私はただ仲間になりたいって言っているのに何なのよ!」

 本格的に泣き出しました。これが学校だったら女子どもに「泣かした!」とフルボッコにされるところだろう。祖父ちゃんにも「女子は泣かしたらあかん! 泣かす前に手籠めにせい! 扱いが慣れてきたらズドッとやっちまうのじゃ!」ときつく言われているのだ。手籠めってのは知らないがとりあえず女子は泣かしたらやばいらしい。

「す、すまん。泣かせるつもりはなかったんだ」

「……責任とって」

「お、おぅ」

「じゃぁなんでも言うこと聞いてくれる?」

 リナリアの背は俺のより小さいため上目遣いになってしまう。それがかなり可愛い。可愛すぎるのだ。その可愛さが俺を誘惑してしまう。ここで「OK」してしまったら何をさせられるかわからない。だが……。言ってしまった。

「あ、あぁ……」

「じゃぁ。私を仲間にしてくれる?」

 卑怯だ……。これは卑怯すぎる……。祖父ちゃんに「女との約束は守れ! そしてズドッ!」ときつく言い聞かされているのをいいことに……! 断れない! 可愛すぎる!

「あ、あぁ……」

 そういうとリナリアの涙は止まり、太陽のようにまぶしい笑顔に変わる。

「じゃぁよろしくね! 私はリナリア! あなたはトールね?」

「あぁ……。よろしくな……」

 俺はそう言った。それに対しリナリアは「うん!」と元気に言った。

 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ