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現実世界で
私――椎名理沙はTVを見て絶句していた。
『我が社が開発したVRMMO≪Lost all online≫はある種のデスゲームだ。ようするに仮想空間内で死んだ場合や機器を取り外そうとしたときなどの現実からの介入を感知した際に使用者の脳内に特殊な電波が流れ使用者が死亡するようになっている。これらが信じられない方はこれを見てほしい。これは機器等に支障がないかの確認のための実験だ』
そこにはベッドに寝転がっている白色のシャツを着た人が映っていた。頭には《Guranderu》という機器がくっついている。
『まずは、仮想空間内に死んだ場合だが。このモニターには仮想空間内が映っている。今モンスターと戦っているのが分かるだろうか? おっと彼がモンスターの攻撃により死んだようだ。心拍数チェック!』
そう言うと1人の軍服を着た男性が現れ彼の心臓部分に何かの機械を取り付けた。機械には小型モニターのようなものがとりつけてあり大きく「0」という文字が書かれている。
『心拍数0だ。これを見て分かっただろうか? 彼はもう死んだ』
頭につけた機器が取り外されたが起きる気配はない。
『もう1個の現実からの介入だが……』
動画が切り替えられまたベッドに横たわる白色のシャツを着たさっきの人とは別の人が映される。頭には《Guranderu》が取り付けてある。
『よし取れ!』
軍服を着た3人の男性が現れ機器を無理やりとった。
『心拍数チェック!!!』
さっきと同様の機械が現れ0と表示される。
『彼も死んだのだ。これで分かっただろうか? 無駄な犠牲者を出さないためにもこれを見ている方やラジオを聴いている方、ネットの情報を読んでいる方は注意してほしい。後、使用者の中でもまだ生きている者の所には自衛隊が派遣され身柄を確保し安全な場所に移動する。以上で終了する』
私は……どうすることもできなくなっていた。
確か徹はあのゲームをしていると言っていた。
「!!!!」
私は椅子から立ち上がり徹の部屋に走った。
扉を開けようとするが、ガッ! と音がして全く開く気配がない。
「お兄ちゃん!!!」
徹が鍵をする時は無防備――寝ているときかあのゲームをしているときだけ……。
「お兄ちゃん~!!!!!」
私は叫び泣いた。
お祖母ちゃんとお祖父ちゃんがやってきた。お祖父ちゃんは斧のようなもの持っている。
「理沙そこをどけなさい!」
お祖父ちゃんはそう言い斧を扉に叩きつける。
バギン!!!!
音をたて扉の一部が破損する。
「もう一度だ!」
さらにもう一振りする。
ドガン!!
ものすごい勢いで扉が開き置物や絵柄の殆どない殺風景な部屋があらわになる。
徹はベッドに寝転がり頭には《Guranderu》を装着している。
「お兄ちゃん!!!」
私は徹に抱き着いた。
ドクン! ドクン!
生きている!
心臓の音が聞こえのだ。
「理沙! あまり触れない方が良いじゃろう。現実からの介入で死ぬとあった!」
そうだった。
ゆさゆさと揺らすだけでも感知して徹を死に至らすかもしれないのだ。
「う……ん……」
私は気持ちを抑えることができず泣いてしまった。
「お兄ちゃんーー!! うぇ~ん!!」
いくら呼びかけても起きようとはしない。できないのだ。
ピンポーン
誰か来たのだ。
『軍の者だ! 入らせてもらう』
ドガン! と音がたったかと思うとものすごい勢いで階段を駆け上がってきた。
「軍だ。木田徹を安全な場所に移す。これは強制だ。抵抗する者がいるならこの場で木田徹を殺す」
数人の軍服を着て手にライフルを持った人たちだ。
「安全なのじゃな?」
お祖父ちゃんが言った。
「あぁ。収容施設に移動させる」
「そうか……。ならば移動させてくれ」
お祖父ちゃんは悔しそうに言った。
「お兄ちゃんは無事なの!?」
私は問う。
「あぁ。彼はまだ生きている。勇敢に戦っているのだろうな」
「そうですか……」
軍の人はそういうと徹を運びだした。
「では失礼する。彼がゲーム終了まで生きていることを願う」
そう言うと数人とともに立ち去って行った。
私は寝る前に泣いた。真夜中まで泣きやむことは無かった。
だが、私は一つ決心した。
待とう……!
徹が現実世界に帰ってくるまで――。
徹もまた現実世界に戻ろうと奮闘しているのだから……。
帰ってきたら抱き着こう。徹が嫌がってもずっと…ずっと……。
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