24デード目線
奴隷が出ていった扉を見つめ、私はある書類を探す。この屋敷の仕入れに関する物、在庫の物だ。在庫の管理を任せているトーマスを思い浮かべる。やつは、この屋敷を私がいない時でも任せてられると思っていたが……とりあえず、トーマスを呼ぶしかないか、っと私は声をかけた。
数分後、ノックが聞こえトーマスが、入って来た。
「何かございましたか?」
と聞いてきた。私はトーマスの動きを観察しながら、
「奴隷が、暴行された件で呼んだ。何か、心アタリはないか?」
トーマスの目が泳ぎ、汗がふきだしてくる。私は目を薄く睨み付ける。
「なんの事で、しょうか?あの奴隷が何か言っていたのですか?あんな奴隷風情の言う等信じちゃいけません!そうだ!あいつが私にお願いしに来たんです。私は直ぐ帰れと、断った事を根に待ったに違いない。そうに、決まっている。信じて下さい。」
と私に近付いて来た。私は睨み付けたまま。
「そうか。では、もう一つ聞きたい事がある。この在庫表と仕入れ値の事だ。」
私は低い声を出してトーマスに目線向ける。トーマスは、動きを止めて、顔色も悪くなる、これから自分がどうなるのか大体想像がついたのだろう。横領をしてしかも貴族家で平民がだ。良くて、奴隷落ち、最悪死刑だ。町から離れた場所だから気が緩んだのか?バカなやつだ私は呼んでいた護衛にトーマスを連れて行ってもらうのだった。そして、トーマスの部屋を調べさせた。魔道具は出てこなかった。もう、外に売りに出してしまったのだろうか?遅かったか。私は拳を握り締めた。そして、私は、ジョーダンを呼ぶ。彼女はその恰幅の良い体を機敏に動かしノックして入って来た。
「何かご用意でしょうか?」
私は、ほっと息を吐き、
「ああ、トーマスがあの様になって始末たから君に私がいない間この屋敷を任せたい。」
「はぁ、あの男初めから、胡散臭いって申し上げていたじゃないですか。」
「そう言うな。信用できる人の紹介だったんだ。それに、初めから、君に屋敷の管理を任せたら、君の事をご主人様の愛人だと、騒ぎだす奴がいるんだ。」
「私をですか?ご主人様のお母様と同じ年だって言うのにお貴族は何考えているか分かんないよ。」
「ははっまあよろしく、頼んだ。あー、洗濯用の石鹸?がもう、ないらしい早め入荷してやってくれ。」
「分かりました。」
ジョーダンは、礼をして去っていった。
ひとまず、終わったか。
奴隷の男が亡くなった。最後の方は食事を食べる事を拒否していたらしい。忙しく、私が気にかけることがあまりできないなかでの出来事だった。私が彼を生かしていたのは果たして良かった事なのだろうか。あの時、ご主人様を止めず一思いに、終わらせた方が彼は幸せだったんではないか。もう、聞く事の出来ない青白い顔を見つめる。すまない。謝るしか出来ない。許されない謝罪が部屋にこだまする。
町で仕事を片付ける。魔力を魔道具に入れるのも仕事の一環だ。今は、奴隷が手伝ってくれるから、それは後回しでも大丈夫だが魔力の残高の確認は此方がしっかりやらなきゃならない。最近は、ダンジョンにも奴隷達を連れいくとご主人様が張り切っておられた。ご主人様仕事忘れてませんか?後あなたの身の危険を考えて貴方はダンジョンには入れませんからね。立場を考えて下さいね。立場を!!頭が痛い。
森の屋敷に帰ると召喚に使われていた魔道具が無くなっていた。あの大きさだぞ。無くなるはずがない。あの中には、まだ大量遺体も入ったままなのに動かせるはずがない。とりあえず、ジョーダンを呼んで話を聞いてみた。
「何で、あんな大きな物が無くなっているんだ。」
私は驚きを隠せずに聞いてしまった。
ジョーダンは、ケロリとした顔で
「朝、起きたら、無くなってたんでさ。本当、ビックリしましたよ!」
私は、頭を抱え
「何か、変わった事とか、なかつたのか。あのへんな奴隷が何かしたか!!」
「良く分かんないんですがね。ご主人様が亡くなった奴隷の遺体をあの魔道具に運び入れてたのを視ていた者がいたんですよ。」
私は、ビックリした顔をしてジョーダンを見つめる。彼の遺体はどうしただろうか?ああ、埋葬等私の頭になかった。あそこで、今まで味わったことの無い後悔を味わってまた、私は、彼に同じ事をしてしまった。何故同じような、後悔を繰り返して、しまうのだろうか。
呼んで頂きありがとうございます!
 




